10話 村での買い物
ギルドを後にした俺は、村の雑貨屋に向かっていた。
残念ながら、武器や防具を扱う専門店はこの村にないらしい。
そこで雑貨屋に行けば、数は少ないがあるだろうとのこと。
俺は必要な装備やアイテムを買うついでに、そこで情報収集もするつもりだ。
「ギルドで聞いたのはこの辺りか。」
ふむ。看板には袋のエンブレム。
この店が雑貨屋で間違いないだろう。
扉を開けて入ると、店主であろう男と目が合う。
「こんにちは。」
声をかけ、色々と見せてもらう。
うーん。
武器は剣や槍、斧に、弓、杖――それに盾か。
聞いてみたところ杖と盾は木製。他の武器は銅製だった。
杖の先には小さな石がついている。
むう。
これだと今の鉄製の剣の方がいいよな――。
杖は魔法が使えるようになってからで。
盾は今のところ必要ないが、いざという時のために買っておこう。
他の武器については扱えないだろうし、やめておく。
それに関するスキルを持ってないからだ。
そういえば――。
なぜ剣術しかないのだろう。
槍術とか斧術とかあってもいい気がする。
分からないな。
さて、武器はいい。次は防具だが――。
とりあえず皮製の帽子と皮製の靴を買うことにしよう。
鎧以外ではこれしかなかったのだ。
まあ。いいだろう。
そして最後に雑貨。
これは見た目では全く分からなかったので、素直に聞いてみることに。
まず安価な治癒薬として、塗り薬がある。
これが銅貨50枚。
他に高価な治癒薬では、飲み薬がある。
こちらは即効性があり2種類あるらしい。
青ポーションが体力回復、そして緑ポーションが魔力回復だ。
それぞれ価格は銀貨1枚、銀貨3枚。
状態異常回復薬は丸薬。
この店には毒、麻痺の丸薬が売られていた。
価格はどちらも銀貨1枚。
――。
どうするか――。
薬関係が高いように感じるな。
とりあえず青ポーションを2個と丸薬1個ずつでいいか。
店主にそれら買うものを告げると――。
盾と防具が銀貨4枚と銅貨60枚。そして薬が銀貨4枚の締めて860ゴル。
さらに小物や日用品などをいくつか買った。
おかげでほとんど財布はすっからかんだ。
まあ。必要な買い物だったよな――。
俺は買ったものに満足しながら店を後にすると。
周囲に人目がないことを確認して物陰へと移動した。
そう。
マイルームで休憩するためだ――。
☆ ☆ ☆
ふう。
コーヒーを飲みながら考えをまとめる。
とりあえず何とかなったな。
村でのことを考えつつ、一先ず安堵する。
だが問題も出てきた。
まずギルドの緊急依頼だ。
いきなり発生するとは思えないが、今起きたらマズイ。
間違いなく、俺は死んでしまうだろう――。
まあ。いざとなればマイルームに逃げればいいがな。
しかしそれをすると、その後ギルドでの活動は難しいだろう。
そうなれば金銭的に苦しくなる。
うん。
あくまで最終手段だな――。
ギルドで話を聞いて感じたことは。
やはり、この世界は安全ではないということ――。
いや。再確認ともいうべきか。
自分の身は、自分で守る必要がある。
そのためにはどうするべきか。
現状、これ以上の装備はこの村で望めない。
ならば。
なるべく早く、より大きな町に行くべきだろう。
明日あたり休日にしてのんびりしようと考えていたが――。
やめておくか・・・。
今は一体でも多く魔物を狩り、強くなる方がいい。
しんどいが正念場だ。
今この決断が、俺の今後の異世界ライフに良い影響を与える――はずだよな。
何かの物語やゲームだったら、きっとそう――。
「ふう。――よし!」
俺は一つ大きく息を吐き、立ち上がると。
休憩を終了して村へと戻るのだった。