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一人暮らし
「行ってきまーす」
家に出る時にいつも
言っていたこの言葉、母さんはいつも
「行ってらっしゃい」
と返してくれた。慣れた習慣のようなものだったけど、もう二度と言うことはないのかもしれない。
家の玄関から出ると、僕は荷物を持ち直して歩き出し
た。近くの駅までそう時間もかからないだろうから、すぐに新しい住居につくだろう。
大したことも言わずに出てきたけど、良かったのかな。そんな考えが頭に浮かんだけど、大丈夫。また戻ってくるんだから。
見慣れた町並みを歩き進めるにつれ、家も遠くなっていく。
なぜか突然、不安になった。なぜだろう。
いつもより早く、駅についてしまう。電車が来るにはまだ早い。
ポケットに残っていた一口チョコを取り出して、口に放り込む。
新生活について色々なことを考えているうちに、電車が来た。
置いてあった荷物を持ち上げ、こけないように慎重に乗り込む。
――今日僕は、一人暮らしを始める。