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第二日〜第三日まで


1:11


神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上に生えさせよ」。そのようになった。




『……えー、ここで、植物が現れましたね』


『そうですね。現れましたよね』


『かなり、なんと言いましょうか、具体的に、種類を複数あげているように聞こえますが』


『そうですね、単なる草と、種をつける草、あとは種々の果樹ですね』


『植物、と一緒くたにするのではなく、こうして細かく分けて指示を出したのはなぜでしょう』


『まあ、サラダみたいな感じですよね。一種類よりも、いろいろなものを組み合わせた方がいいだろう、と』


『サラダ……ですか』


『まあ、基本サービス精神ですよね。そもそも、それがなくして、あらゆる創造は起こり得ません、もしそれで起こったとしても、それを他の観察者に察知させることはないわけでね』


『はあ』


『しかしたとえば、日記がありますよね。日記は一見すると、誰に見せるためのものでもない、サービス精神無用な創造と言えますでしょう。が、ですね、書いた自分がいつか見返すかどうか、と考えるとこれは無きにしもあらずと言えないこともなくなりますよね』


『えっと、つまり、なんでしょうか』


『つまりクッキングなんですね』


『は、ええ、あ……そうですか』




1:12


地は青草と、種類にしたがって種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ木とを生えさせた。神は見て、良しとされた。




『さあここは重複しておりますよ。前節の最後で、そのようになった、と結ばれているのに、この節ではまた色々と生えている描写が繰り返されるわけです』


『これは、どういった狙いが考えられるでしょうか』


『読む人が思っているよりも、二倍たくさん生えていったんだよ、ということですよね』


『え、そうなんですか』


『もう、わっさわっさと生えていったんですね。一旦、神の指示どおりの量が生え揃って、そのようになった、という段階から、さらにもう一回、もっと生えていったわけですからね』


『とすると神様は、ちょっと多いな、くらいに思わなかったのでしょうか』


『ああ、思ったより生えたなあ、まあ、良し。ってなもんですよね』


『本当ですか』


『ええ。それにですね、野菜なども、思ったより多く摂らないといけないわけでね。植物って、まあそういうところがあるわけなんです』




1:13


夕となり、また朝となった。第三日である。




『あれ、ちょっと寂しい文章量ですが』


『まあ、情報の分割の都合上、こうなっちゃったんですね』


『先ほどの、植物の大発生と並行して、この時間経過があった、と捉えてよろしいでしょうか』


『そうですね。植物がわっさわっさ生えていって、いつ間にか時間が経っていたと。それほどに熱中していたのでしょう。ガーデニングブームを想起しますよね』


『クッキングではなかったのですか』



1:14


神はまた言われた、「天の大空に光があって昼と夜とを分け、しるしのため、季節のため、日のため、年のためになり、




『さあ、情報の分割は、ここでより顕著になりましたよ』


『あ、本当ですね、セリフの途中で切られています』


『第三日になり、この日は空に着手していくわけなんですね』


『天の大空に光、というのは……あ、いえ、次にお伺いすることにします』


『消極性を会得しましたね』



1:15


天の大空にあって地を照らす光となれ」。そのようになった。



『だんだんクセになってきましたでしょう、もう、絶対、そのようになるんですね』


『ええ、まあ、ならなかったら大変だとは思います』


『光が昼として、また闇が夜として機能していたのですが、ここでようやく、太陽らしき存在が現れるわけなんです』


『とすると、これ以前の昼夜というのは、考えますと非常に不思議な感じがします。つまりただ純粋に、明るい、暗いの繰り返しだったんでしょうか』


『そういうイメージに落ち着きますよね。おそらく太陽がある以前は、どうにかこうにか、明るくしていたんですよね』


『不思議ですね』




1:16


神は二つの大きな光を造り、大きい光に昼をつかさどらせ、小さい光に夜をつかさどらせ、また星を造られた。




『あ、ここでいよいよ太陽と月らしき……あ、いえまだ断定はしませんが、大きな光が現れましたね、大きな光です』


『別に太陽と月でもいいと思いますよ。むしろ他に何があるんですか?』


『え、え……』


『この節で注意していただきたいのは最初の、二つの大きな光、という部分ですね。なのに後で小さな光も出てきちゃってますから、ここは本当は、大小の光、が正しい記述に思えますが、そこは翻訳マジックです』


『ああ、確かに、違和感がありました』


greatグレートなんですね』


『はい。えっと、どちらがでしょうか』


『最初の、二つの大きな光、の大きな、という部分がですね。その大きな、は本当は偉大グレートな、なんですね。まあ、それだけのことなんですけど』


『あ、ええ、つまり最初は、二つの偉大な光をつくり、そのあとそれぞれがどのように配置されたか、という説明の節だったわけですね』


『まとめましたね、勝手に。まあ、あとですね、最後、しれっと星も造っちゃってますからね。この辺り、さすがの神様ですよね』




1:17


神はこれらを天の大空に置いて地を照らさせ、




『あら、この短さでも分割しちゃうんですね』


『それほど強調したいんだ、ともとれますよね。高い料理屋さんに行くと、やたらにでっかい皿の真ん中に、ちょこんとコンパクトな料理がのって出てくることがありますが、まあそれとはちょっと違うかもしれません』


『なる、え、違うんですか、ちょっと翻弄されてしまいました』


『そうですか、ええ。まあ、ひょっとすると、そういう振れ幅をつけたかったのかもしれませんよね』


『ほう、そうなんですか』


『でもまあ手品じゃあるまいし、ねえ』


『え、なんですか』





1:18


昼と夜とをつかさどらせ、光と闇とを分けさせられた。神は見て、良しとされた。




『またなんとなくですが、重複していように思えますでしょう。光と闇を分けるのは、これで三回目でしたか』


『ああ、ええ、そうですね。これは繰り返して強調する、ということでしょうか』


『そうですね。いろんな星を新たに加えましたから、光と闇の具合を微調整したのでしょうね』


『やはり、光と闇は神様のお気に入り、ということになるのでしょうか』


『え? なんですかお気に入りって』


『え、え? いやあの、先ほど、郷土さんが、そのように……お聞きしたと思うんですが』


『初耳です。なんでしょう、ちょっとこわいですね』


『え、うそそんな……あっ、そうかまた翻弄なさっていらっしゃるのですね?』


『さっ、ここまでで、第三日が済んだことになりますね、はい。すなわちこの日は、天の大空に星々を配し、昼と夜とをつかさどらせた、というわけなんですね』


『……はい』







神は見て、つづくとされた。

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