1週間前のお話を振り返ります。
---1週間前---
第三王子が編入する事の何が問題かサッパリわからなかったリーリアだったが、その人物像を聞き、さらに大まかな事情を聞き終わったあとは、その人物像と考えを改めた。
新たに追加された第三王子プロフィールは知りたくないことだらけであった。
・自分は偉い、と思っている権力バカ
これは王族である以上ある程度は理解できるし、そう振る舞う必要もあるが、度を越しているらしく・・・
例えで聞いたのが、宰相様に対して自分の部下にくだれ、と言ったとか(後の宰相様の御怒りはそれはもうひどかったらしい)、隣国の姫君に妾にしてやる、と言ったとか(国際問題になりかけ、かなり危険だったらしい)。細かいことで言うと、自分専用離宮を建てさせようとしたり、諌める臣下を勝手に首にしたり、粗相をした侍女を切りつけたり・・・。
なんとも素晴らしい暴君っぷりを聞かされた。
ちなみに、この国は絶対君主制だ。一番偉いのは王である。しかしながら、だからといって王の独裁政治を行っているわけではない。上院、下院と2つの議会があり、最終決定は王にこそあるものの貴族、平民からの声もとりいれられた政策をとっている。そしてこの王に次ぐ地位を持つのは宰相であり、その次が軍を統べる元帥である。王の補佐的立場を担いながら、次代としての研鑽をつぐべく皇太子が擁立された場合は、皇太子が第2位の地位を得ることになるが、つまり言うと他の王族の地位は基本この下になるだ。もちろん王族と貴族という括りで見るならば、貴族というのは王族に仕える身である。貴族出身の今の宰相が王族にそうそう威張り散らした態度が取れるはずもないのだが、だからといって、一介の王族が宰相を貶したり暴言を浴びせる事は憚られる事だ。
・無能ではないが、飽き性
これだけ聞けば、特に問題と思われる点ではないが・・・
王族である以上身に付けなければいけない知識、教養は多々ある。貴族でさえかなりの知識量をたたき込まれるのだ。王族はその比ではないだろう。
が、王宮で講師を招き授業をしても、すぐに飽きて逃げ出す(護衛を振り切るほど運動神経もいいらしい)。気にいったことは手をつけるが、やはりすぐ飽きる。
それが顕著に表れたのが、剣術、魔法の授業らしい。剣術は少しばかりの基礎の教えを受けた程度で、それ以上講師の教えを受けようとせず、実践訓練だと称しそこらの者に斬りかかり、魔法も同様、基本中の基本を知った程度であちこちで魔法を発動しまくり、小火をおこし壁を破壊する始末。さらに魔法に至っては基本も出来ていないのに普通の魔法に飽き、詠唱魔法なる大魔法の習得を講師を脅してしたらしい。言うまでもないが、そこからはもう地獄の様な日々だったそうだ。
結果、知識も教養もまともにない、けれども凶悪な馬鹿ができてしまった。
・堪え性がない
飽き性、と似ているがやや違って、感情が暴発するらしい。
怒りを感じている時は怒りのまま行動し、悲しい時は悲しみのまま行動する。
基本的には怒りのままの行動が多いようだ。そして、その沸点が異様に低く、そして他人には理解不能な時も多いらしい。
はっきり言えば、そんなことで怒るか? というところで怒ったり、わめいたりするそうだ。
ある程度の感情吐露は別に悪いことではないがこれも限度がある。しかも彼は曲りなりにも王族だ。王侯貴族たるもの感情制御は基礎中の基礎と言っていいだろう。
ちなみに、感情がいき過ぎている時には、王族なのですから、第三王子なのですから、偉い方なのですから、と言って宥めるらしい。
権力欲のが強いのね。
結論は、まぁ、つまり偉ぶった手に負えない子ども。
しかもある程度魔力が高く、気に食わない奴は魔術を使ってぶちのめす、くらいは平気でするそうだ。
王宮内では魔法、魔術の使用は制限がかかっているため大丈夫だが、外ではどんな事を起こすかわからず、外に出すこともできないらしい。
だが、このまま王宮にいても性格の改善は見込めないため、近い将来臣下に降らせる、という考えが広まってきている。だが、その臣下に降らせるにも、王宮から出すと何をしでかすかわかったものではない、との不安もある。
そこで王様&宰相様が考えたのが、魔法学院への編入。
何で?
理由としては、学則にある学院内での一切の権力行為の排除。身分差の撤廃。
この2つがあれば、学院内で第三王子は権力に頼った行動をおこせない、とふんだらしい。
そして、ラウール魔法学院という特殊な場ゆえに、第三王子の魔力を使った暴力行為もある程度は防げるだろう、と。
権力の及ばない学院で過ごさせて、考えを改めるなり、素直な人間関係を築くなり、はたまた夢中になれることを探して欲しいと思ったりしたらしい。
・・・程のよい厄介払いな気もするが。
まぁそんな事情で第三王子が編入することが決まったらしい。
で、何故わざわざリーリアのところにそんな話がされたか、というと。
かの第三王子の魔力量は大魔法もぶっ放せるくらいには多いらしい。(レオンハルトが100年に1度なら10年に1度くらいの才)
つまりいうと、大魔法を使われては一般生徒では相手にならない。
流石に講師陣は大丈夫だろうが・・・
第三王子の性格上、気に食わないことがあれば魔法をぶっ放す。一般人でも構わずやる。
だが、一般生徒を巻き込んで、怪我を負わせたり、最悪死なせてしまっては第三王子の面子はもちろん、王家の面子も潰れる。
信頼信用も落ちるだろう。
そうなってからでは、取り返しもつかないので、学院内で第三王子の暴力行為を未然に防いで欲しい、ということだそうだ。
もちろん講師陣も目を光らせているそうだが、目は多い方がいいし、リーリアの協力が得られれば100人力、とでも思われたらしい。
どこで調べたのか知らないが、宰相様はリーリアが家名を隠して魔法学院に通っていることを調べ、その才能も調べ挙げていた。
都合よくいた侯爵家の娘を使わない手はない、とふんで、兄2人に事の次第を話したそうだ。
ちなみに、断る事は不可。
何でって、王命ですからね。
一応。
あ、でも報酬はもらえるそうですよ。
それと、第三王子が無事に卒業できるまで私も学院に通い続けることができるそうです。
思わぬ延長期間にウキウキだ。
大学部にいかなくても、最低あと2年は通うはず。
途中退学なんぞ絶対させてたまるか。
無理やりでも大学部まで進ませてやる。