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勇者と美少女の魔族(Ver.1.04)

作者: lassh-leyline

この話はなろうの有志で書かれた競作に投稿した作品の改稿版です。

詳しくはサークルアカウント「みかん犬(272683)」にて


勇者と美少女の魔族(Ver.1.04)



むかしむかし

あるところに裕福な村がありました。

とても過ごしやすいところでこの辺りの領主様の別荘もありました。

ある日、領主様が一人娘のお嬢様を連れてやってきました。


この村には元冒険者の二家族が住んでいて、この村を守っていました。

彼等の子供達も山野を駆け巡って遊んでいました。


たまたま散歩をしていたお嬢様は彼等と出会い、友達になりました。

そして彼女は彼等の夢を聞きました。


ボクはどんな敵が着ても負けない剣士になるんだ。

俺はどんな敵も倒すことの出来る黒魔法使いになってやる。

あたしは白魔法使い。みんなを守る魔法の盾と癒やしの力を手に入れるの。


なら、わたしは一緒に冒険は出来ないけど、じょうほうやになりましょう。

冒険に必要ないろいろな物を用意して差し上げますわ。

ですから私も仲間(パーティー)に入れなさいね

以来彼女は毎年のように訪れるようになりました。


数年後___

若者となった彼等はこの村を修行のために旅立つことになりました。

正義感の強いりりしい剣士。

自信に満ち何事にも揺るぎない孤高の天才魔道師。

その双子の妹にして比類無き慈愛と国一番とも言われる美貌の”聖女”白魔道師。


しかし、出発を祝うその宴の後に悲劇が起こりました。

邪神の信者が白魔道師を攫い、生け贄にしようとしたのです。

白魔道師は邪神の教祖と相打ちになりその命を散らしてしまいました。


出発は延期になりました。

妹の死を受け入れられなかった兄の黒魔道師はいつの頃からか村から姿を消していました。

恋人の剣士は気力を失ってぼんやりとした時を過ごしていました。

ある日、領主の娘が剣士に言いました。

いつまで呆けているの?

あなたはみんなを守る剣士になるのでは無いのですか?

その言葉に再び心に炎をともした剣士。

励まし支える領主の娘

気力を取り戻す頃には二人は将来を誓い合う仲となっていました。


そんなある日、あの黒魔道師が帰ってきました。

その傍らには使い魔のコボルトが恥ずかしげにマントの裾を握っています。

彼はその妖魔に妹の名をつけていました。

そしてあの白魔道師が帰ってきたと言いました。

でも誰も本気にしません。

村を出る前から心を病んでいると村の人たちは口にしていました。

修行の旅に出るつもりでいた剣士はその親友の姿を見て、哀れに思い誘われるままに村を出ることにしました。

全てを聞いた領主の娘は全ての支度を調えて二人を優しく送り出しました。

以前の約束通りに。

剣士と領主の娘は再会の誓いを立て、そして彼等は旅立っていきました。



しばしの時は流れ___


彼等は勇者と呼ばれるまでの実力と名声を手に入れました。


この国にはとても個性的な姿の王様がいました。

ほかの人たちにいつも笑われてるとも思っていました。

自分の姿に不満があった王様は后になってもらえる人もみつからなくて、お金を貯める事と趣味の魔物の剥製作りに日々没頭していました。

勇者達は魔物を捕まえるのに幾度となく依頼を受けていました。


勇者に王は言いました。

金はいくらでも積もう。欲しい物があれば全て与えよう。

妻が欲しければ何人でも用意しよう。

我が僕となれ。


勇者は答えます。

我が剣は民を救うためのもの。弱きものの剣となり盾となるためのもの。ただ一人のためのものでは無い。

また我妻と決めているものはすでにおり、他の者と夫婦になることは出来ないと。


それを聞いた王は、その娘に興味を持ってしまいました。

どんな富や名誉よりも、多くの美姫よりも素晴らしいという少女。

やがて王はその領主の娘に恋をしてしまいました。


それからの王はことある事に勇者を呼び出しては娘の話を聞き、また難しい仕事や断れないような仕事を押しつけてくるようになりました。


恋人の話をするうちに寂しくなった勇者はいつの頃からかコボルトの少女にその心の内を零すようになりました。

野営の時、酒場の隅で、雨の日の宿屋のベットの上で。コボルトの少女は、頭を撫でられながら膝の上で大人しくそれを聞いて過ごしました。

この少女は白魔法をその義兄に教わり何処までも名前をもらった少女そっくりになるよう躾けられました。

今では二人の(パーティー)守りの要であり癒やしでもあります。


勇者が不在にしているうちに王の密偵達は領地を調べて領主に娘を差し出すように仕向けてきました。

しかし、両親は娘の幸せを優先することに決め、街を逃げ出しました。

そしてあの村へと落ち延びていきました。


長い時間をかけ勇者達は王の難題を解決して村に帰ったところでとんでもない事態になっていました。


以前の邪神の信者に率いられた野党により村は壊滅していました。

たまたま(・・・・)近くに来ていた王国騎士団により賊は全て倒され首謀者も捉えられたそうです。

沢山の人が犠牲になり、二人の両親や領主の夫婦も亡くなってしまいました。

そして娘は保護と称して王都に連れ去られてしまいました。


慌てて追いかけようとした二人をコボルト娘が引き留めました。

今はお弔いと村の守りをと。


今は村を守る人も居ないうえに怪我人のお世話や死んだ人たちのお墓も作らなければなりません。

彼女は危険は無いでしょうから落ち着くまで待って。


大丈夫わたしが付いてて守るから。そう言うと転移魔法で王都へ飛んでいきました。


それから数日、村の仕事が一段落した時“彼女”が現れました。



勇者様お久しぶりです。

私は領主の娘です。


しかし、目の前に居るのは知らない少女です。

いえ、今でも夢に出てくるあの“聖女”白魔道師そっくりの美少女です。


この体はあのコボルトだと思っていた少女の体です。

あの子が私と体を入れ替えてくれたのです。でも、ちゃんと彼女の記憶も残っています。

彼女は高位の魔族の子供で、ようやく人化の魔法が使えるようになったんだと仰ってました。


私自身は監視されて逃げ出すことは出来ません。

魔法や呪いでもう城から出ることも無いでしょう。

だからもう私は諦めていたのです。


でもこの子が代わってくださいました。

私の肉体が死ねばここに戻ってくるそうで、それまで好きに使っていいそうです。

その時は一緒に過ごしましょうと。

助けはいらないとも。

王妃が二人も居ては大変なことになると。

変に騒ぐと周りに迷惑が掛かるとも仰いました。


そして祈るように勇者に問いかけます。


勇者様はあの体の私じゃないと駄目ですか?

魔族の体の私じゃ汚らわしいと?


そんなことは無い。

たとえどんな姿でもキミと一緒ならそれだけで幸せだ。

と答える勇者。


すでに正体を明かしていた兄の黒の賢者とともに村人にも紹介しました。

死んだと思っていた白魔道師の娘が帰ってきたと。

しばらくこの村を中心に冒険をし、村の復興を見届けたあと勇者は兄妹と共に村をあとにしました。


ああ、もうこんな時間ですね。____

勇者王の誕生と永遠の美少女白の賢者、黒の賢者のお話は続きがありますが、それはまた次の時にしましょう。



蝉川夏哉/逢坂十七年蝉 杯にて投稿、感想をいただき再推敲してみました。

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