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1-8話 失踪
大切なものは
手の中 いれて
壊そうか
‐オニゴッコ‐
カチャリ―――っと刀を握り直しながら妖艶に微笑む白梅さんと
恐怖で動けなくなった私達。
だけど、やっぱり白梅さんは私達を見ようとせず
空を見ながら自分にたいして呆れたように
「…童ごときに時間を使った僕が馬鹿でしたね。もう、貴方は必要ありません」
そう言った。
白梅さんがそう言った後だったのか前だったのか
よくわからなかったが
言葉が聞こえたと思った時には
もう、健太の首から上と下は
繋がっていなかった。
血が飛び散り、
重力に逆らうことなく
崩れ落ちていく体。
目の前が真っ黒になったような気がした。
現実味のない、
まるでテレビを見ているような気分でもあった。
白梅さんにとっては
何でもないことらしく
健太の頭を踏みつけながらなお愉快だと笑っている。
その日、
真島 健太 死亡のニュースと
私、涼風 さち
失踪のニュースが
各地で流れたのだった。




