骸
愛するあなたが死んだから
あなたの骸を抱いて
自分も死のう
‐ムクロ‐
人間とは簡単に僕達を置いて死んでいくんだと知っていたのに
彼女だけは別だと思っていたみたいです。
昨日、愛する人が亡くなりました。
僕の目の前で老いて死にました。
だけど、信じられなかった僕は泣きもしませんでした。
妖怪と人間の寿命は違います。
なので、いくら好きになって共にいても先に死ぬのは人間でした。
弱い生き物だとつくづく思います。
彼女も人なのですぐに死ぬことなんてわかっていました。
だけど、死んだなんて認めたくない。
君がいない世界はいらない。君がそばにいない世界は必要ない。
ぐちゃりと彼女の体に力を加えて腹の肉を千切り口に運んで食べました。
彼女がこの世界の一部に帰る必要はないからとった行動です。
生臭い肉と血の味を舌で味わいながら
彼女の体、全てを食べました。
これで、彼女はずっと僕と一緒です。
離れることもないし、誰かの目から遠ざけたりする必要もない。
なんだ。
彼女が僕の一部になっても困る必要は無いじゃないか。
この後、僕は幸せのまま自らの命をたった。
さちが死んだ後、白梅は狂いそうだなという予想の話でした。
これにて鬼遊びは終わりです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。




