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1-1話 まえぶれ
白い梅木は赤染まる
ゆらり ゆらりと
人、地に落ちた
‐オニゴッコ‐
いつも通りの朝だった。
自分が病気になったわけでもないし、
親や友達が怪我をしたわけでもない。
特に何かがあったわけでもない普通の朝だった。
だけど
どうしてか私はおかしかった。
一つ、一つの動作にもびくびくしてしまう体。
友人に声をかけられただけなのに
どくどくと激しく動き出す心臓。
回りの視線に恐怖が止まらない。
どうして
こんなにも
不安になるのかわからなかった。
学校に行く道の途中で
泣きそうになる。
自分が自分じゃないような気がして立ち止まりたくなった。