2-8話 異常
藍 哀 相 合 哇 噫 埃 姶 娃 挨 曖 欸 矮 穢 藹 逢 阨 隘 靄 靉 鞋 会い 合い 逢い 遇い 遭い 阿井 亜依
沢山のあいがあるけど
自分は
あなたを
愛 したい
‐レンカ‐
彼が妖怪だという事がわかった。
それは吃驚する事だったけど
だからといって彼を嫌悪する理由にはならない。
ただ疑問が溢れてくるだけ。
どうして私を殺さないのか、とか。
妖怪とは人を食べる生き物じゃないのか、とか。
私が色々と疑問に思いながらボーッとしていると
鬼化したままの白梅さんは困ったような顔をして言った。
「……今なら、どんな質問にも答えますから何か言ってください」
少しの間をあけてから
「どうして、ここに私を閉じ込めたんですか?」
私はそう聞いた。
ずっと前から聞きたかったのだ。
どうして私を閉じ込めているのか。
白梅さんはきょとんとしたような顔をして首をかしげながら答えた。
「愛してるからですよ?」
どうして
そこに繋がるのかわからず私も首をかしげて聞き返す。
「愛してるからですか?」
白梅さんは私のその問いにこくりと頷いてから
「愛しい人が他の人の目に、しかも知らない男の目に写るなんて許せません。それに閉じ込めてしまえばあなたが何をしたのかくらいは分かりますから」
当たり前のことのように言った。
「……それって監禁って言いませんか?」
恐る恐るそう聞くと
白梅さんは平然と答える。
「さあ?知りませんよ。僕からすれば足枷や首輪をつけてないだけ我慢してるつもりなんですが」
わからない。わかりたくもない答えに私は
恐怖以上に諦めたくなった。
この人はきっと一生変わらない。
そう思わせるぐらい白梅さんの心はおかしい。
正しく言い表すなら
異常だろう。
そんな風に思っていると
ふと、ある疑問が私のなかに浮かんできた。
それは私が前、付き合っていた人達の事。
付き合っていたと言っても友人付き合いとかそういうものだが
彼等、彼女等が大怪我をしていたのはもしかして……。
頭の中では聞くなと言うなという言葉が浮かんでくるが私はそれを無視して聞いてしまった。
「あの……私と交遊関係のあった人達が大怪我をしていたのって……」
白梅さんが何かしたんですか?
最後まで言葉を繋げるより前に鬼化からもとの姿に戻った白梅さんは
私に真正面から抱きつきながら
特に何の感情も込めずに
「ああ、はい。僕が殺しましたよ?」
と、言った。