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2-5話 不明な心
折った花にも
水をあげ続けて
育てていこう
‐レンカ‐
白梅さんは左手を
恋人のように自分の手と絡ませながら私を押し倒したまま
余った右手でなぜか私の髪をなで続けている。
回りから見ればイチャついてるように見えるが
そんな甘いものではないと私は思う。
そんな状態のまま何分間かたった頃、
ようやく白梅さんが手の動きを止めた。
ほっと安心したように私は息をはいてから
近くにある白梅さんの顔を極力見ないように違う方に顔をそらす。
さっきまで髪をなでられていたから動くにも動けなかったのだ。
だが、白梅さんはそれが気に入らなかったらしく
顎に手をかけぐいっと
強制的に自分の方に向けると
ほんの数センチほどの距離まで近づき言った。
「僕以外に興味をしめすのは嫌です。僕だけを見ててください」
それはだだっ子のような言葉だった。
大好きなものをとられるのを嫌がるようなそんな言葉。
だけど、私は
やっぱりその言葉にドキッとはできず
背筋に何かが触ったような奇妙な気持ちになるのだった。