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バイト先の事務所からVTuberデビューすることに

作者: 中野楓
掲載日:2026/07/22

生活リズムを取り戻したい

「透、来てもらって悪いねー。」

「ホントだよ。私だって最近は暇じゃないんだから。」

「どちらかといえば私のほうが忙しいからね!この後も収録やら企画会議やら新人の選考やらあるんだけど。」

「それ大体私と一緒じゃない?てか真由美姉ぇの場合配信入れなきゃ差別化できないでしょ。」

「あーあ、聞こえない~」


都内のオフィスビルの一室に呼び出されて行くとカメラを持ったスタッフと呼び出した張本人であり従姉妹の早乙女美海が待っていた。この時点であやしさ満点だが一応要件を聞いては見る。


「そんなことより、あって話したいってなんかあったの?」

「手短にいくよ。あんた、来月からライバーとして活動してもらうからね。というか、いい加減腹くくってくんないと0期と1期以外の人たちがビミョーな顔してんだから。」

「え~、今だって箱内の企画やら月末の公式配信なんかは出てるんだから。」

「あれに関しては、前この話した時の妥協案としてでしょ?ついでに、運営側もライバーになってもらったほうが、給料の支払いが楽でいいらしい。スパチャとかの配分が出来なくてその分手当出したりめんどーって言ってた。」


まあバイトだからね。


「そもそも、私バイトしに来たんだけどな~。なんで2Dどころか3Dアバターまで与えられてるの?」

「そりゃあ、透があまりにも配信者向けだったからどうせバイトとして働かせるならちょっとずつ表に出していけば、ファンもついてなし崩し的にライバーにできそうだからさ。で、それが今ってわけ。」


正直に言ってここ一年くらいはマネージャー業務というよりはライバーに近い感じのことをやっていたので、怪しんでいた。ライバーデビューに関してもあり得るとは思っていた。


「そーだねー。前と違って断る理由もないんだよね。」

「じゃあ、決定で。アバターどうする?そのままなら衣装くらいは変えてほしいけど。イラストレーターさんにお願いしてもいいし。」

「そうだね。あれもそこそこ時間かけて作ってるしそのまま使うよ。服って私の好きに変えていいの?」

「時期的なことを言ってるならデビューにあたっての正式な衣装って扱いで変えるけど、今までのも好きに使っていいよ。これの次の衣装は間隔開けてから相談かな。」

「りょーかい。名前は?常盤透とかになるの?」

「変えてもいいけど、すぐばれるから変わらないと思う。元々私のこともあって身バレに関しては大丈夫だと思う。」


そんなゆるーいかんじで私のライバーデビューが決まってしまった。

さっきの話にも出ていた通り、数年前からこの話自体はあったんだけど、私が高校生だったり、事実ではあるけど何の経験もない人をいきなりデビューというのは、身内贔屓として炎上のリスクがあったため延期され今という感じだ。


それからひと月、新衣装のブラッシュアップをしたり、ホームページやSNS、チャンネルのアイコンなどに使う宣材写真というか私の立ち絵を新調したり、機材の搬入と設定。元々ぶいてぃープロ(事務所)の立ち上げから手伝っているためそこまで手間取ることもなく準備が進んでいき、SNSや事務所のチャンネルで私のアバターの画像と名前、初配信の日付、チャンネルが告知された。



そして当日。オープニングムービーは発注自体はしたけどまだ完成してないので、取り敢えずサムネ画像とフリーBGMをかけて1分ほど待機して画面を切り替えてミュートを解除する。



「はい、バイトを紹介してもらったらいつのまにかアバターどころかチャンネルまで作られていた、新人?VTuberの常盤とおるです。」


[知ってる]

[ああ、遂に堕ちたか]

[第一声がそれでいいのか?]

[登録者20万人おめ]


「えーちょっとした愚痴をこぼしてしまいましたが改めて。初めまして、Virtual Theater Project通称ぶいてぃープロ所属のVTuber。箱内で一番無敵の人こと常盤とおるです。」


[初配信とは思えない落ち着き様]

[これは大型新人?が来たな]

[事務所の古参定期]

[ライバーより面白いと噂のスタッフ]


「はい、プロフィールなんかは箱推しの方はご存じだと思いますが、初配信に釣られてやってきた初見さんの為にスライドなんかも用意してあるのでご覧ください。」


[なるほど]

[初見なのでたすかります]

[お祭りと聞いて参りました]


「おい、私の初配信を祭りとか言ったセンパイはダ・レ・デ・ス・カ?」


[こわ]

[こ、公式SNSの方に…]


「まあ、今は見逃してあげますよ。とりあえず、名前は常盤とおる。現役大学生で身長は158cm。最近の趣味はセンパイの配信を見る(珍獣観察)こと。公開されてるんでバンバン言いますけど、一応ぶいてぃープロの立ち上げメンバーになるのかな?あの0期生の常盤真由美の従妹です。」


[なんかルビが・・・]

[お、おう]

[珍獣て]

[余りにも無敵だ]


「配信のスタイルですが、しばらくは雑談メインで行きます。歌みたなんかは他の人のところのを消化してからですかね。」


[そういえば、なんか上がってたな]

[初配信前にコラボしていくスタイル]

[公式チャンネルに上がってるソロのやつってどうなるの?]


「ぶいてぃープロ公式のソロのやつはそのうちこっちに上げなおすかな。・・・そう言えば、この姿(アバター)について触れてなかった・・・。え〜、イラストは私が書いたものを使っています。3面図なんかは気が向いたらTwiterなんかに上げますね。」


[そういや、言ってたな]

[衣装変わったよな]

[服装はだいぶラフになったな]


「箱企画なんかを見てる人は気付いたかもしれませんが、服装は新たに描いて見ました。今回のは部屋着くらいのものを仕立てました。今までの衣装は立場的にも硬めのやつが多かったんで身内でどんなのがいいかアンケート取ったらこれになりました。」


[かわいい♡]

[先輩方ナイス!]

[さすが、俺たちのツボをわかってる]


「っと、スライドはこれくらいですか。では質問コーナー兼雑談していきますか。あと、質問が多そうなので先に触れますが、私がこうしてライバー側に立つことになった経緯なんかはこの配信が終わった後に公式チャンネルの方で上がるのでそちらで確認してください。正直デビューする気はなかったんですけどね。」


[ほう、楽しみにしておく]

[どうせ、まともな感じじゃない]

[そもそも、スカウトされてきてるよな]


「いやスカウトというか、『人手足りないからバイトしてくれない?』って感じで引っ張られてきて手伝ってる間にライバーにされたんで。こんなんをスカウトと一緒にしたらダメでしょ。」


[軽いな~]

[ホント雑だな]


「後にも先にもこんなデビューの仕方は無いのでさんこーにはならないんで。あと、チャンネルの再生リストの中に私の出てる公式配信のアーカイブまとめてあるんで暇つぶしでも見ると、初々しい私が見れるかもしれません。」


[初配信で歌みたやらば公式番組出演回の再生リスト…]

[新人?古参の間違いでは?]

[初出演時も初々しかったか?]

[歌みた10曲以上やってんだな]

[いやあなたの編集丁寧だった気が?]


「しょうがないね、気付いたら予定に入ってたんだから。あと私は新人って感じ自分でもないし周りにも同じなんで、ほんとに新人の3期生と私を比べないであげてね。」


[そりゃそう]

[似非新人だもん]

[そこらのスタッフより歴長いでしょ]


「事務所のマネージャーの誰よりも長くいるかな。そういえば、忙しくてぶいてぃープロのホームページ見てないや。どうせ紹介文とかで遊ばれてるんだろうけど。」


[あっ]

[え、あれ本人が書くものなんじゃ]

[当たってるし]


「ああ、うちの場合は紹介文は本人から要望とかなければ好き勝手書かれるね。私のこととかいいおもちゃと思われてそうでちょっと心配なんだよねー。えっと、これで映ってるね。なになに?『万能ハイスぺモンスター。ぶいてぃープロ唯一の良心(?)と言われてるが、本性は自由奔放な猫のような性格の狂人』っと。」


あの人達そんなふうに見てたんだ。たしかにほかのライバーと比べればまともな人間だとは思うけど、そこまでハイスペックじゃないと思うんだよな~。


[うーん、ぶいてぃープロだな]

[さすが新人(笑)]

[まとも?]


「ほぼ人柄とか知られてるんだから、まともなこと書かれるとは思ってないって。というか、ほんとにまともならこんな雑なデビュー配信しないからね?」


[まあね]

[そういえば初配信(笑)だったな]

[え、雑談枠では?]

[一応3期生なんだよね?]


「ああ、私の扱い的には0期生だけど、この間デビューした3期生共々よろしくねー。」


[0期生扱いね]

[初配信ってタイトルから詐欺だから]

[まあ、3期生には混ぜられないか]

[公式からのベテラン扱い]

[やったね、特例だ]


「ちな、0期の人達に言ったら『やっとこっち来たか』だってさ。」


[そりゃね]

[あなた万能ですし]

[なんか恐れ多いよな]


「そんなことないでしょ。私ただの大学生だよ?バイト先がアレで、卒業後の進路が確定してただけだから。」


[そういや、大学生だったな]

[年齢も言ってるからね]

[こんな大学生が普通なわけ]


「いやいや、世の中配信しながら医師免許取る人だっているんだから。あんまり言うと身バレしそうだから言わないけど、文系のそこそこな大学だからね。」


[そこそこ?]

[常盤真由美『なんであの子もっと上行けたのにあそこにしたんだろ?』]

[公式の学力テストいつもトップじゃなかった?]

[ほかのライバー泣いちゃうって]


「いや、本当にそこそこだから。あれは私ってより他の人ができな過ぎなきがするんだけど・・・。まあいいやあんまり言うと今度の番組でねちねち言われるし。」


[言われるのか]

[まあ、問題的にはね]

[そういや、公式のmcは継続するの?]

[デビュー直後に公式番組を考えてる]


「ああ、番組mcね。変わらずやるよ。今のスタッフで変わりはいないし、ライバー側はやりたがらないから。ああでも、次は新人の顔見せのはずだからどうだろう。一応新人ライバーだから。」


[そうだよな]

[いや、そういてたまるか]

[新人(笑)だけどな?]

[うーん、MC側だろ]

[絶対MC]

[MCから逃げるな]


「えー?さすがに大丈夫でしょ?真由美ねぇ辺りがやってくれるって!」


[フラグだな]

[そんなこと言うと回ってくるぞ]

常盤真由美:[次回もヨロシク!!]

ぶいてぃープロofficial:[MCは君に任せた!!!]

[ぜってーMCだな]

[やってくれるか?]

[なんかいるって]

[公式さんに真由美さまだ]


「えっと、なんでいるの?忙しいでしょあんたら。仕事しなさいよ。しかも、次も私がMCやるのね。私は新人扱いされないのね。ついでに聞くけど、初配信って何分やればいいの?今のところ9割雑談配信なんだけど。」


[3期生はリレーなのもあって30分だったけど]

[大抵は30分だよな]

["普通は”30分]

ぶいてぃープロ:[君はご自由にどうぞ。ほかのライバーには『どうせ雑談しだすから1時間経ったら配信OK』とこの配信開始と同時に連絡済み]

[そもそも雑談枠でしょ?]


「あれ?・・・あっ真由美ねぇから連絡来た。『その配信1時間くらいしたら閉めてねー』『その後、0期生で集まってゲームするから』だって。えっ、しかもやるのそれか~、私に勝てそうなのじゃん」


[wwwww]

[それでいいのか]

[1時間ならそろそろいい時間か]

[現在45分経過]


「時間もいい感じだし、ほかの人集まってるみたいだから私も行こうかな。この後は多分真由美姉のチャンネルで0期の集まりあるみたいだからそっちも見てください。じゃあ次の配信でというか真由美姉のチャンネルで~。」

誤字脱字などありましたら教えてください。

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