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C型血の少女は、誰も救わないと決めた  作者: くじら


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第18話:小さなアリィではない





 知らない天井。

 狭く、低い。


 視線を巡らせる。

 ベッド。机。壁。

 ――随分と、簡素な部屋。


 いつもより頭は冴えている。

 少なくとも、今は。


 ……けれど。


 思考を巡らせようとした瞬間、

 ひとつ、言葉が喉に引っかかった。


 まあ、いい。

 些細な違和感だ。


 アリアは、ベッドの上で足を組み、姿勢を正した。


「で、自己紹介した方が良いかしら?」


 薄く、笑う。


「初めまして……かしらね。

 アリア・レインフォード。十六歳よ」


 視線を上げ、三人を見渡す。


「それで?

 貴方たちは誰?」


 最初に声を上げたのは、落ち着きのない男だった。


「は?」


 続いて、戸惑った声。


「アリア……何も、覚えてないの?」


 ああ、なるほど。


 アリアは、小さく息を吐く。


「あら?

 貴女は、私を知っているのね」


 視線を向ける。

 困惑と焦りが滲んだ顔。


「ごめんなさい。

 アナタが知っているのは――

 おそらく、“小さなアリィ”ね」


 一瞬、相手の表情が歪んだ。


 ……やっぱり。


「悪いけれど、手短に状況説明をお願い。

 少し、情報が足りない」


 そう言いながら、ポケットを探る。


 真っ黒な画面


 舌打ち。


「……電源が切れてる」


 肩をすくめる。


「悪いけど、スマホを借りるわ」


 当然のように言い放つ。


「コイツ、やっぱおかしい!!!

 透っ! 今すぐ追い出そう!!!」


 騒がしい。


 アリアは、ちらりと男を見る。


「……透?」


 その名前が、微かに引っかかった。


「そう言えば……」

 視線を巡らせる。


「貴女と貴方。

 さっき、公園で会ったわよね?」


 その瞬間、空気が変わった。


「コイツ、二重人格じゃねぇのかよ!!!

 なぁ黒瀬、何とか言えって!!!」


「蒼真、少し黙れ」


 静かな声。


 ああ……この人。


 アリアは、電源の入らないスマホをポケットに戻し、

 ゆっくり顔を上げた。


 そして――

 口調を、完全に崩す。


「……ハハッ」


 乾いた笑い。


「アンタらに、取り繕う必要ないじゃん。

 あーあ、損した」


 一歩、床に足を下ろす。


「で?

 アンタが夏川透。

 そっちの澄ました顔が、黒瀬の御曹司……合ってる?」


 観察は、もう十分だった。


 部屋を見回す。


「Still, what a small room.」

(それにしても、ずいぶん狭い部屋ね)


「You shouldn’t say something like this.」

(そういう言い方は、感心しない)


「Your English is very good.」

(へぇ、英語上手じゃない)


「お前ら!!!

 俺らを置いて英語で喋んな!!!」


「You’re a bit annoying.」

(アンタ、ちょっとウザいわね)


 にこり。


 蒼真を見て、笑う。


「お前!!!

 今、俺の悪口言っただろ!?」


「Just brush him off.」

(適当にあしらっておけばいい)


「ok, ok。

 アンタら、面白いねぇ」


 くるりと振り返る。


「それで――貴女

 夏川透で、間違いない?」


「お前、さっきからコロコロ態度変わって、

 頭おかしいんじゃねぇの?」


 アリアは、少し考え――


「……ん?

 そうかもね」


 笑ったまま、答える。


 ――考えるのは、得意だった。

 でも最近、“考え続ける”のが少し面倒だ。


 まあ、いい。


 どうせ。

 壊れるものは、いずれ壊れる。




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