第23話:対象:夏川透
《観察対象ファイル》No.1
観察対象:夏川 透
年齢:17歳
生年月日:10月25日
性別:女
性格:
・基本的に温和
・他者への共感性が高い
・情に厚く、損をしがち
・自己評価が低く、他責より自責に傾きやすい
趣味:
・音楽鑑賞(主に90〜00年代邦楽)
・夜の散歩
・写真(風景・空)
嗜好:
・甘い飲み物(特にミルクティー)
・静かな場所
・人の少ない時間帯
口癖:
「……大丈夫」
「ごめん」
良く行く店:
・駅前の小さなコンビニ
・商店街の古いパン屋
・家の近くの公園
友人:
・桐生蒼真
・黒瀬恒一
・朝霧陽菜(故人)
備考:
・過去に強い喪失体験あり
・特定の人物名を意図的に避ける傾向
・危険察知能力は低いが、他者防衛行動は顕著
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澪は、その画面を無言で見つめていた。
指先で、スクロールを止める。
そこに表示された名前を、もう一度だけ目でなぞる。
「……やっぱり」
小さく、息を吐くように呟いた。
「夏川さんで、間違いないみたい……」
声は低く、感情の波はほとんどない。
蒼真と黒瀬のあの過保護ぶりと、彼女が怪我してからの言葉や行動。
それらが全て、答えは夏川さんだと教えているようなものだと澪は思う。
その顔と声はーー昼間、透の前で見せている柔らかな声音とは、まるで別物だった。
そのとき。
――ピリ、と空気を裂くような着信音。
澪は一瞬だけ画面から視線を外し、端末とは別の携帯を手に取る。
表示された番号を見て、表情が完全に消えた。
迷いなく通話ボタンを押す。
「……はい」
一拍。
そして、次の瞬間。
その声は、冷たく、硬質なものへと変わっていた。
「はい了解です」
窓の外では、街の明かりが何事もないように瞬いている。
誰も知らない。
今日、観察対象が――三名から、一名に絞られたことを。
そしてその一名が、
今はまだ“ただの友達”だと思っていることを。
そして澪はおもむろに違う端末を取り出す
そして特定の人物を呼び出すとメッセージを開く
「今日は……楽しかった。
また遊ぼうね。
ふふ。
私も、楽しかったよ? 夏川さん」
端末裏に張ったプリクラ
初めて撮ったそれは記念にと、半分に分けて手元に何枚かある。
だが、それも――任務期間の間だけだ。
そして、今日.....対象者が少しだけ話した過去の話し。
既に知ってた情報だけど
「本人から聞かなければ意味が無い」
これで、懐に飛び込んだも同然
朝霧澪はウッソリと笑い、小さく呟く
「……思ったより、簡単」
それが“任務”の感想なのか。
それとも――




