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C型血の少女は、誰も救わないと決めた  作者: くじら


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第61話:運命は、もう変わっている

黒瀬はゼロの言葉を思い出してた。


ゼロは何と言ってた?



蒼真に家を出ない方がいいと言わなかったか?


蒼真を透の元へ向かわせたのが正解だったのかは分からない。


気になる。気になるのは事実だけど、今は目の前の問題が先だ。



「……菜々美」


黒瀬は目の前の人物を見つめる



「あ!お前!えっと誰だっけな〜……この女と一緒にいた、兄弟か?」



あの日の記憶を探るように、菜々美は首を傾げる。



「ん〜」


唸りながらゆっくり歩いてくるその姿は、どう見ても、ただの女にしか見えない。


——少なくとも、“見た目は”。


ーーだけど。



「ん〜ま、いいや、面倒、死ねよ」


そう言った次の瞬間、黒瀬に切りかかる。


だけど警戒してた黒瀬は瞬時に飛び退きナイフを避ける。


「おっと、反射神経いいねお前。殺しがいあるわ」



そう言いながら笑うその姿は、今まさに人を殺そうとしたとは思えないほど可憐だった。



ーーくそっ、分が悪い



しかも蒼真の妹。



一瞬、蒼真の泣きそうな顔が蘇る。


だけど、どうしたって危険人物なのは変わらない



「おい、なんでそこまでする」


時間稼ぎにもならないとわかってるが、それでも黒瀬は聞いた。


「そこまで?人を殺すことを話してるのなら俺に答える義理はねぇよな!」


そう言って、菜々美は再び切りかかる。


だけど黒瀬は違和感を感じてた。


なぜ能力を使わない?


あの“スロー再生”の能力



あれを使えば簡単なはず。



だけど使わないと言うことは、



使えないと言うこと?



「なぜここに居る?」


「は?お前に関係ないだろ。てかお前こそなんでここに居るんだよ」


ナイフの先を人差し指で軽く弾き、菜々美は睨みつける。


黒瀬は思う。



ゼロが言ってた敵は絶対こいつの事だろう。


それなら、絶対に阻止しないといけない——そう思うのに、


ゼロの言葉がグルグルと脳裏を刺激する。


本当に阻止するのかーー。



ゼロは死人が出るって言ってた。



本当にそれでいいのか。


——考えろ。







一瞬躊躇う。



このまま退くべきかと、迷う。


その一瞬の油断が、


——運命を狂わせたのか。




「おい、犬……」


「犬?」



黒瀬は一瞬、何のことか分からなかった。


だけど、すぐに思い至る。


「な、なななに由良くん」


菜々美と一緒に居た男が、オドオドと声を上げる。


「ぼ、僕……あの……っ」


「お前、今すぐあの女のところ行って





攫ってこい」



それくらい出来るよな?


そう言って、菜々美は目線だけをゆっくり動かした。


「……わ、わわわかった」



——嫌な予感がした。胸の奥が、ざわつく。


まさか——こいつの狙いは……透か?



――その頃。


「……あれ?」


透がふと足を止める。


胸の奥が、ざわつく。


「どした?」


「……いや、なんか……」


うまく言えない。


けど、足の感覚が……おかしい?



……いや、消えた?


「蒼真っ」


そう言った瞬間、


――足が、勝手に動いた。


その足取りはとてもゆっくりで、


だけど確実に、足は勝手に動き出す。止まらない。



「透!?どこ行くんだよ?海月ゾーンはコッチだぞ」



そう言いながらアリアを抱いた蒼真がキョトンと呟き、慌てたように駆け寄る。


「っ……蒼真っ!足が勝手に動くっ」



それは透の意思とは裏腹に、一歩一歩、確実に進んでいく。


足が、自分のものじゃないみたいに動く。


抗おうとしても、まるで“見えない糸”に引かれているみたいに。



——どこかへ“連れて行かれる”。


抗えないまま。



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