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C型血の少女は、誰も救わないと決めた  作者: くじら


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第55話:未来への警告



夜風が少し冷たかった。


研究所の敷地を出て、三人は並んで歩く。


 


誰も喋らない。


 


重い空気が続く。


 


蒼真が耐えきれなくなったように口を開いた。


 


「……なぁ黒瀬」


 


視線すら寄越さず、黒瀬は答えない。


 


「正直に言え」


 


黒瀬は前を見たまま短く言う。


 


「何をだ」


 

「何を?何をって、俺らになんか隠してるだろ」


感情は上手く隠しているつもりだった。


表に出しているつもりはなかった。



だけど幼馴染2人にはお見通しだったらしく、黒瀬は一瞬だけ透を見つめる。


「保護を外れる」


短命の事はどうしても言えなかった。


まだ、自分自身信じたくない気持ちもある。


「保護?」



一瞬キョトンとした蒼真だったが直ぐにハッとし透を見つめる。


「それ大丈夫なのかよ!?」


「いや、全然大丈夫じゃないだろうな


だから用心しろはフラグか?」


焦ったところでどうしようもない


そう言いながら黒瀬がふっと笑う。


 

「なんか空気重い〜」


 


そして背伸びをする。


 


「お腹空いた」


 


蒼真が呆れる。


 


「お前なぁ……」


 


透は軽く手を振った。


 


「私は大丈夫だよ。強いし」


 ケラケラ笑いながら手を振る透


「じゃ、私はこっちだから」


家の方向へ歩き出す。


 


振り返り、笑った。


 


「また明日、学校で!」



 


黒瀬と蒼真はその背中を見送った。


 


透の姿が角を曲がり、見えなくなる。


 


沈黙。


 


黒瀬が言う。


 


「蒼真」


 


「なんだ」


 


「ちょっと付き合え。話しがある」


 


その時だった。


 


「——やぁ」


 


突然、声がした。


 


二人が振り向く。


 


街灯の下に、男が立っていた。


 


見覚えのない顔。


 

2人は警戒しながら一歩後退する。


蒼真が眉をひそめる。


 


「……誰だよ」


 


ゼロは軽く笑う。


 


「俺はゼロ。どっちが蒼真でどっちが功一?」


 


蒼真が警戒する。


 


「だったら何だ」


 


ゼロは答えない。


 


ゆっくりと二人に近づく。


 


その瞳はどこか遠くを見ているようだった。


 


「俺もC型って言えばわかるかな?」


 


静かな声。


 その瞬間、咄嗟に身構える黒瀬と蒼真


「おっと、警戒しなくて大丈夫」


 

ゼロは両手を上げ敵意が無いことを示す。


だが、黒瀬の視線はますます鋭くなる。


 「どう見ても怪しいだろ」


黒瀬は続けた。


 


「まず要件を言え」


 


「そうだな、何を言ったとしても警戒は解いちゃくれない」


 


 


蒼真が睨みながら舌打つ


 


「お前も透を狙ってるのかよ」


 

「狙ってる?あ〜日本語は少し難しいけど、答えはnoだ」


ゼロは否定する。


 「手短に話そうか?俺のもう一つの能力。



未来が見えると言ったら信じるか?」



そんな馬鹿なことあるか!?と2人は思う。



「正確に言うなら幾つもある未来が見えるかな。その未来は100パーセントでは無い。だけど確実に起こりうる未来だ。


そして、その代償で、俺はもうすぐ消える」


 


蒼真の表情が変わる。


 


「……は?」


 


ゼロは淡々と続けた。


 


「だから伝えに来た」


 


黒瀬が低く言う。


 


「何を」


 


ゼロは少し空を見上げた。


 


そして言った。


 


「今から


 


約一日と七時間後


 


透が襲われる」


 


蒼真が一歩前に出る。


 


「ふざけんな」


 


ゼロは気にしない。


 


「目的は拉致だ。だけど止めるな」


 


蒼真が怒鳴る。


 


「ふざけんなって言ってんだ!」


 


ゼロの視線が蒼真に向く。


 


「止めれば——」


 


一瞬の間。


 


「死人が出る」


 


沈黙。


 


黒瀬が口を開いた。


 


「……理由は」


 


ゼロは少しだけ笑う。


 


「全部言うことは出来ない。


 


だけど“彼女”が思い出す」


 


蒼真が眉をひそめる。


 


「彼女?」


 


ゼロは答えない。


 


ただ静かに言った。


 


「透の未来に必要な人物だ」


 


「だから」


 


「見て見ぬふりをしろ」


 


蒼真が吐き捨てる。


 


「怪しすぎるだろ」


 


ゼロは肩をすくめた。


 


「まぁいい


 


今のお前達は俺の事を一ミリも信じていないはずだ」


 


黒瀬は黙っている。


 


ゼロは言った。


 


「だから


 


俺が言ったことが当たったら


 


その時、また会おう」


 


蒼真が睨む。


 そんな蒼真をチラッと見ながらゼロは呟く


「君はその日、家から出ない方が良い」


 「は?」


訳が分からないと蒼真は眉を寄せる。


ゼロは少し笑った。


 


「君が蒼真だろ?」


 


そして蒼真と黒瀬の横をゆっくり通り過ぎる。


 


「では」


 


歩き出す。


 


「次はおそらく」


 


「三日後だな」


 


闇の中へ消えていった。


 


 


しばらく沈黙が続く。


 


蒼真が吐き捨てた。


 


「あんな怪しい奴信じるのかよ」


 


黒瀬は答えない。


 


蒼真が続ける。


 


「俺は反対だ


 


透が攫われるの黙って見てろとか


 


……意味分かんねぇ」


 


黒瀬が静かに言う。


 


「俺も信じた訳じゃない」


 


蒼真が振り向く。


 


「じゃあ」


 


黒瀬は続ける。


 


「だが


 


能力の事もある


 


一概に敵とも言えない」


 


蒼真が苛立つ。


 


「だからって透が攫われるの見てるのかよ!それに家から出るなとか、マジ意味わかんねぇし!」


 


そして吐き捨てる。


 


「だいたいお前の親父っ……」


 


黒瀬が言った。


 


「……その事で」


 


蒼真が睨む。


 


「もう一つ


 


お前に言わなきゃならない事がある」


 


蒼真の顔が曇る。


 


「……なんだよ。まだなんかあんのかよ」


 


黒瀬は一度目を閉じた。


 


そして言う。


 


「その前に約束してくれ」


 


蒼真が苛立つ。


 


「は?」


 


黒瀬は真っ直ぐ蒼真を見る。


 


「今から俺が何を言っても」


 


「透への態度を変えるな」


 


蒼真が眉をひそめる。


 


「普通に接しろ」


 


蒼真が怒鳴る。


 


「なんだよそれ!」


 


「一体あの後何があったんだよ!」


 


そして吐き捨てる。


 


「それともやっぱ親父には逆らえねぇのかよ!」


 


黒瀬は黙っている。


 


蒼真はさらに言う。


 


「言っとくけどな


 


黒瀬の親父だろうと容赦しねぇ


 


ぶっ殺してやる」


 


黒瀬が叫んだ。


 


「……聞け!」


 


蒼真は止まらない。


 


「いいや聞けるか!アイツが菜々美に——」


 


黒瀬が言った。


 


「その妹の事だ」


 


蒼真の動きが止まる。


 


「……なんだよ」


 


黒瀬は静かに言った。


 


「そもそも


 


あの男が


 


そんな簡単に殺すか?」


 


蒼真の瞳が揺れる。


 


黒瀬は続けた。


 


「言ってた事を思い出せ」


 


「菜々美も


 


特別になり得る存在だった」


 


蒼真の呼吸が止まる。


 


黒瀬は言う。


 


「この言葉の意味は?」


 


沈黙。


 


黒瀬が静かに言った。


 


「菜々美は


 


本当に死んだのか?」


 


蒼真の拳が震える。


 


 


その時だった。


 


黒瀬の脳裏に


 


先程、横を通り過ぎた瞬間のゼロの声が蘇る。


 


 


——この後取る君達の行動は賛成できない。


 


 それと短命の事は今は伏せた方がいい。君は此処で話そうと思ってるかもだけど



これは警告だ。


——でも


 


 


——どうせ聞かないんだろうけど。


 




黒瀬は小さく息を吐いた。


 


そして言った。


 


「……だから


 


もう一度確かめる」


 


 


夜の風が静かに吹いた。


 


 



この時の選択を

俺は後に、何度も後悔することになる。


これは俺の最大の過ち。



最後まで読んでくれてありがとうございます!!!

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