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C型血の少女は、誰も救わないと決めた  作者: くじら


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第49話:全部話したあとで





蒼真の口が、ゆっくりと閉じた。


部屋に沈黙が落ちる。


ついさっきまで、視点の定まらない表情が徐々に視点が定まり、光が宿ると、ハッとしたように目を見開く。



そして隣に居る黒瀬を一旦見たあと、透に視線を向ける。


透はそれを静かに見ていた。。


その腕の中には、小さな少女。


アリア。


蒼真は、ゆっくりと口を開く。


「……俺……」


声が震える。


「今……」


喉が引きつる。


「今のは……」


黒瀬が答える。


「どうだ気分は?」


冷たい声だった。


蒼真の瞳が揺れる。


黒瀬は続けた。


「全部喋った感想は?」


蒼真の呼吸が止まる。


記憶はある。


はっきりと。


自分の口が動いていた感覚。

止めようとしても止まらなかった言葉。


だけど、あれが全てじゃない。


「……っ」


蒼真の指が震えた。


蒼真は違うと言いたかった。


だけど、今更、口を開いたところで何になる?


信じて貰えるのか?


透は黙ったまま、アリアを抱き上げている。


その時。


アリアが透を見上げた。


「と〜?」


透は目を落とす。


アリアは蒼真を見て、首を傾げた。


「や?」


少し考えてから。


小さく首を傾げたまま聞く。


「メッする?」


その言葉に身体を揺らしたのは蒼真で顔を青くしながら仰け反る。


透はその様子を黙って見ていた。


それから静かに言う。


「……どうしよっか」


アリアの顔がぱっと明るくなる。


「ん!メッ!メッ!」


小さな手をブンブンと揺らしながら蒼真をニマッと見る。


ビクッとする蒼真は可哀想な位顔が青い。


「でも……」


「と〜?」


「だめ」


「ムゥ〜」


不満気な表情でアリアは足をバタバタさせる。


その様子を見て、黒瀬がゆっくり口を開く。


「透」


透は視線を向ける。


黒瀬はアリアを一瞥した。


「お前、今


何したか分かってるか?」


透はニコッと笑い「さぁ?」と呟く。


黒瀬は口の端を少し上げる。


「アリアの能力


途中で止まった」


部屋を見回す。


「催眠は解けている」


蒼真が息を呑む。


黒瀬は透を見る。


「お前が止めた」


沈黙。


透は小さく言う。


「……そうだね」


黒瀬の目が細くなる。


「停止?いや、留める?休止?それとも固定」


少し楽しそうに笑う。


透の表情を見ながら黒瀬は瞳を細める。


「なるほど


固定、だな」


透は言葉を繰り返す。


「あたり……」


黒瀬は頷く。


「どこまで固定する?状態、能力、時間?」


「どうだろ」


「透、誤魔化すな」


明らかに性格の変わった透を前に黒瀬は態度を変えなかった。


黒瀬にとって、透の性格が変わってようが、大した問題ではない。


透が存在し、笑ってる。それだけで黒瀬は受け入れる。


黒瀬とは反対に蒼真は少しだけ戸惑っていた。


どう接したら良いか


その前に何か言い訳をしなければ


そんなことを考える。



「分かった。私もよく分からないけど、今のところ、代償と能力の固定」


この2つだけーーー。


そう言って透はアリアを抱え直す。


アリアが透の肩に頬をつけた。甘え足りないのかスリスリとしながら透の頬に手を伸ばす。


「と〜」


透はニコッと笑い直ぐに視線を戻す。


蒼真はソッと視線を反らす。


そして膝が、ゆっくり崩れる。


床に手をつく。


「……俺……」


声が掠れる。


「違う……」


でも、言葉は続かない。


違うと言いながら。


全部、事実だった。


黒瀬は静かに言う。


「言い訳は話したあとにしよう」


一拍。


「俺も蒼真も」


視線が冷える。


「全部話した後だ」


蒼真の肩が震えた。


透はそれを見ていた。


何も言わず。


ただ、静かに。


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