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C型血の少女は、誰も救わないと決めた  作者: くじら


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第30話:欠けた最後の記憶




あの時、彼女.....アリアに聞かれた。


「あなたは本体? それともコピー?」


俺は答えた。


「分からない」と。


これは、嘘だ。本当は分かっていた。


あの瞬間、俺の中には“終わった記憶”がなかった。


融合の感覚も、


爆発の記憶も、


最後の一瞬だけが欠けていた。


だから理解していた。


俺は――本体ではない。


なのに、なぜ嘘をついたのだろう。


些細な抵抗か?


いや、違う。


ただ、なんとなく。


あの女も言っていたじゃないか。


「あなたが何者だろうと、どちらでもいい」と。


今思えば、彼女は最初から決めていたのかもしれない。


俺を殺すことを。


こうして、コピーの物語は幕を閉じた。



――視点:本体、時は少し進み


彼は再び、母国の砂浜に立っていた。


誰もいない島。


波の音だけが、虚しく響いている。


「父さん、母さん……リリア……」


誰もいなくなった。


あんなに笑い合っていた日々。

泣いた日々。


その記憶を辿った瞬間、頭を強烈な痛みが襲う。


そして――


流れ込んでくる感情と記憶。


……もう、何体目の俺が殺されただろう?


何体の俺がいるのか、見当もつかない。


何をすればいい?

何を考えればいい?

どこへ向かえばいい?


その時、背後で叫び声が響いた。


「ここにも生き残りがいるぞ!!!」


振り返る間もなく、誰かが走り寄ってくる。


顔も見たことがない男。

黒い瞳、黒い髪、黄色い肌。


そいつは迷いなく、俺に斬りかかった。


刃が体を貫く。


その瞬間――俺は俺を“作った”。


俺を殺したと思った男は、どこかへ電話をしながら去っていく。


俺は死ぬ。


そして、死ぬと同時に融合する。


新たな俺になる。


俺は……本当に何者なのだろうか。


何体か前の俺の記憶が蘇る。


あの日、俺たちを皆殺しにし、祖国を滅ぼした女。


彼女もまた、特別な血の持ち主だった。


抗えない感情。

命令されるまま、俺はすべてを話した。


そして彼女は聞いた。


「死にたい?」


流れ込んできた感情に、恐怖はなかった。


俺は、自ら死を望んだ。


最初はあんなに憎んでいたはずなのに。


今は、不思議と負の感情がない。


……あぁ。


これが、上層部の言っていた“代償”か。


彼女がいた場所は――日本。


「日本か……」


呟いた言葉は、砂浜に溶けて消えていった。



最後まで読んでくれてありがとうございます!!!

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