第一部 あらすじ
かつて、都市の片隅にひっそりと佇む「駄菓子屋まるふく」は、ただの店ではなかった。そこには、戦うべき理由を失いかけた者たちが、もう一度“信じるもの”のために拳を握り直す、密やかな拠点があった。
その店主、(コードネーム:シルエット)は、諜報組織《CAIN》に所属するエージェント。表の顔は駄菓子屋の気のいいおっさん、だが裏では国家規模の陰謀に立ち向かう男だった。彼のもとには、かつての仲間たち――戦場を共に歩んだ者たちが再び集まり始める。
ヘッドライト。タクシードライバーでボス。
ノクターン。盲目の狙撃手、ピアノ調律師。
ヴァンプ。クラブのホステス、潜入捜査員。
グリッチ。情報のプロ、PC修理業者。
物語は、謎の薬品による暴走事件から始まる。
人間を一時的に“能力者”に変えるその薬は、都市の闇に広がり始め、子どもたちすら巻き込む惨劇となる。
学校への潜入捜査の中で、ユウという少年の失踪事件が浮かび上がる。
だが、それは始まりに過ぎなかった。
CAINの地下本部が何者かによって襲撃され、仲間たちの多くが命を落とす。ユウナが覚醒し脱出。ノクターンの裏切り。
それでも残された者たちは、真相を追って地下闘技場、そしてヘリオス製薬の地下研究施設へと潜入していく。
待ち受けていたのは、かつての仲間をグールに変えた非道な人体実験の痕跡。そして、CAIN内に潜む裏切り者、《ノクターン》の存在。
ヘッドライト、パッチワーク、グリッチ――。
ひとり、またひとりと倒れていく仲間たち。
それでもシルエットとヴァンプは、生き延びるため、守るべきもののため、そして復讐のために拳を握る。
シルエットはラプスを使用し、自らの“影”の能力に覚醒。
自我の崩壊と引き換えに怪物を打倒するも、影の誘惑に心を呑まれかける。
だが、仲間の幻影と、ヴァンプからの呼びかけにより正気を取り戻し、瓦礫の中を翔ける。
ラストシーンでは、ユウナを抱えたヴァンプと、傷だらけのシルエットが再会する。
失った仲間たち、壊された日常、そして謎のまま残る《ヘリオス製薬》の存在。
愛し合うには、あまりに多くを失いすぎたふたり。
だが、それでも歩く先はある。
残された時間の中で、未来を信じるために――。
ふたりは、再び「駄菓子屋まるふく」へと帰っていく。
そして物語は、第二部へと続く。




