−「笠木 結」の物語 4 −
診察台みたいなベッドに私は横になった。
これから何が起きるんだろう。
でも、不安よりも期待の方が大きかった。
やっと、お父さんを殺した犯人が分かるかもしれない。
「嬢ちゃん、覚悟はできてるみたいだな。
あぁ、そういえば俺の自己紹介がまだだったな。
俺は晴れる屋の社長兼社員をやっている、
空我晴也って言う。」
「ブフッ!
自分の名前を店にしてるの!?
マジウケるんですけどー!」
「うっせぇな!
いいじゃねぇか、復讐屋とかだといかにもだし、
ただ復讐するだけではなく、
依頼者の心が晴れる様にって思ったんだよ。」
「ふふ、晴也さん、優しいんですね。
私は良い名前だと思います。」
「あー、結ばっか良い子ちゃんでずるいじゃーん!
あ、そういえば、なんであんな格好でビラ配りしてたの?」
「ん?あれは雰囲気だ。
ミステリアスな方がそれっぽいだろ?」
「うわ、軽っ。中身うっす。」
「うっさいわ!
でも、その結果お前らは来たじゃないか。
普通なら怪しくて来ねぇと思うけどな。」
「あぁ、自覚はあんのね。」
「まぁな。
…でも、困ってる人を救いたいのはほんとだ。
悪い事をされた方が悲しいままなんて、
そんなの許せないからな。」
「へー…じゃ、結のことよろしくです。」
「あぁ、任せとけ。
つか、待たせたな。すまん、すまん。」
「いえ、楽しそうで何よりです。
よろしくお願いします。」
「あぁ。
そしたら、リラックスする必要があるから、
目を瞑って深呼吸してくれ。寝ても構わない。」
「はい…」
目を瞑り、何度か深呼吸をしていたら、
すごく眠くなってしまいました。
これから一体、何が…起こるの…でしょうか……
「寝た様だな。」
「結にエッチィことしないでね!」
「するかアホ!
お前なんなの!?」
「だから、結の保護者ですー。
…あの子、隠してるけど、いつも辛そうなの。
正直あなたは怪しいけど、悪い人じゃなさそうだから、
お願い…あの子を助けてあげて。」
「…あぁ、任せとけ。
つうかお前、真面目な話しできんのな。」
「当たり前でしょ。
何か尻尾出すかと思ってたんだけど、
普通にノリツッコミしてくれて良かった。
ありがとね。」
「あ、あぁ。」
「ほら、早くしてあげて。
きっと待ってるから。」
「そうだな。では、始めるとしよう。」
「やることは簡単だ。
ただ、依頼者の頭に手を置き、この言葉を言うだけ…
…アクセス!」
「ダサッ。笑」
「うっせ。」