自分のことを知りたい時は他者に聞こう!
芙蓉さんの相談後、如月さんと芙蓉さんは一緒に帰って行った。俺と霜月も荷物をまとめて帰る準備をしていた。そこで俺は、さっき気になっていたことを霜月に聞いてみることにした。
「なぁ霜月。俺って地味だよな?」
「は!? どうした急に?」霜月は、突然の質問に意味がわからないといった感じの反応だった。
「いや、俺ってさぁ、結構目立たなないキャラと思うんだけど、さっき芙蓉さんが俺のこと有名人とかいうから、ちょっと気になって…」
「えっ、今頃!?」
「え!?」
「翔って学校じゃ結構有名人だよ。え!? もしかして自覚なかった?」
「え!? なんで!?」俺は霜月の答えが予想外で混乱していた。
「なんでって、そりゃ目立つでしょ! 翔、普通じゃないし…」
「いや、でも…普段は一人で勉強してるだけだし、学校もよく休むし…」
「それが目立ってんの! 普通は翔みたいに先生にあんなに意見言ったり、無断で休んだりしないからな」
霜月の話を聞いて、俺はようやく自覚した。自分では目立ってないと思っていたが、俺は悪目立ちをしていたようだった。たしかに、ほとんどの学生は先生と仲良くしたり、学校も休まずに来ていたりするのが一般的だ。その中で、俺の行動は逸脱しており、それが結果的に目立ってしまうことになっていた。盲点だった。そういえば、自分から見た自分と他者から見た自分の印象は違うと聞いたことがある。このことを俺はすっかり忘れていた。
「そっか。そう言われればそうだな」俺は納得した。
「そうだろ。でも、ほとんどの人は翔のことを勘違いしているんだよ」
「は? どういうことだ?」
「翔って、良くも悪くも自分の意見をはっきり言うじゃん。相手が誰であろうと…。それに学校もよく休むから、あまり知らない人には不良とか怖い人って思われてるんだよ。実際関わってみると、そんなことないんだけどな」
「そうなのか…」
俺は霜月のおかげで自己認識を少し高めることができた。俺は地味で不愛想なので、みんなには知られていない、関心を持たれていないと思っていたが、学校をよく休んだり、遅刻したり、早退したり、先生に意見を言ったりしているので、不良とか怖いと思われていたらしい。予想とは違ったが、知れてよかった。
「翔はやさしいんだけどな」
「俺がやさしい? そんなわけないだろ」
「本心だよ。翔はやさしくていいやつだ!」
「そんなことねぇよ。別に俺はやさしくない。ただ、自分のやりたいようにやっているだけの自己中だ」
「それも自覚してないんだな」霜月は呟くように言った。
「それを言ったら霜月の方がみんなにやさしいだろ。それに、みんなに好かれているし」俺は話題を変えて反撃に転じた。
「俺は八方美人なだけだ。自分の言いたいことを言えないだけ…」
「なんか悩んでんのか?」
「いや…」
霜月は否定していたが、その時の顔は何か思い詰めている表情に見えた。その後も何も言わなかった。俺は霜月が何を悩んでいるかはわからないが、自分から話したいと思うまで待つことにした。
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