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どんな悩みも水無月くんにお任せ!!  作者: たかべー
相談部始動編!!
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新入部員!!

最初の相談を受けてから数日後の昼休み、俺と霜月は、部室で昼食を食べていた。俺は一人で落ち着いて食べたかったので部室に来たのだが、なぜか霜月もついてきた。

昼食をとっていると、ドアをノックする音が聞こえた。急だったので、焦った霜月が口の中の物を急いで飲み込んでから「どうぞ」と言うと、如月さんが入って来た。手には二つの小さな袋を持っていた。そして、俺たちに近づいて来て、その袋を渡してきた。

「どっ、どうぞ。これ。この前、相談に乗ってもらったお礼です」そう言った如月さんは、照れているのか、顔が少し赤くなっているようだった。

「え! いいの!」霜月がそう言って確認すると、如月さんは頷いた。

俺と霜月は袋を受け取り、中身を確認すると可愛くラッピングされたクッキーが入っていた。

「おお! クッキーじゃん! これ如月さんが作ったの?」霜月がテンション高めなトーンで尋ねた。

「あ、はい。私、たまにお菓子作りをしたりするので。…今日の朝、作ってきました!」

「今食べていい?」霜月はウキウキした様子で確認していた。

「はい」と如月さんが答えたので、霜月は袋を開けて、一枚クッキーを食べた。

「うっま! めっちゃ美味いんだけど!」霜月は、一口食べた瞬間に感動し、次々と食べ始めた。

「はぁ~、良かったぁ」

霜月の感想を聞いて如月さんは安心したように言った。

「これって、この前、俺がお菓子欲しいって言ったから作ってくれたの?」霜月はクッキーをボリボリ食べながら尋ねた。

「あ、はい。そうです」

「そうなんだ! ありがとう」

霜月と如月さんの会話を見ていた俺はなんとなく状況を理解した。もしかしたら、如月さんのプレゼントを渡したい相手というのは、霜月のことかもしれないと思った。それなら相談に来たことも、プレゼントを渡した理由も辻褄が合う。如月さんは、霜月に好意を抱いているようにも感じた。

「そういえば、翔って甘いもの苦手じゃなかったか?」霜月が唐突に俺の方を向いて言った。

「え!」如月さんが驚いた顔をして俺の方を見た。

「だったら、それ俺にくれよ。美味しかったから!」霜月は、まだ自分の分が残っているにもかかわらず、俺のクッキーに手を伸ばしてきた。

「別に苦手じゃない。ただあまり食べないだけだ」俺は体を盾にして、貰ったクッキーを守る態勢になった。

「ごっ、ごめんなさい。私、知らなくて。無理に食べなくても…」

如月さんは少し落ち込んだように見えた。如月さんの気持ちを考えると、受け取らないわけにはいかないような気がした。

「いや、ありがたく貰うよ。嫌いとかじゃないんだ」

フォローしたつもりだったが、如月さんは、まだ少し落ち込んでいるように見えたので、俺はその場で袋を開けてクッキーを全部食べた。たしかに霜月の言う通り、クッキーはとても美味しかった。

「うん! 美味しかった。ごちそうさま」

俺は両手を合わせてそう言った後、如月さんに視線を送った。如月さんは驚いた顔をしていたが、そのあと笑顔に変わった。


クッキーを全部食べてしまったので、中身がなくなっただろうと思い、袋を片付けようとすると、底にもう一つラッピングされている物が見えた。気になって取り出そうとした時、「あ、あの…」と如月さんが突然大きな声を出した。

「じっ、実は…もう一つ…お願いがあるんですけど…」

そう言って如月さんはポケットから一枚の紙を取り出し、それを俺たちの机の上に「バン!」と勢いよく置き、「わっ、私も相談部に入部したいです!」と大きな声で言った。

予想外のことに俺は驚いた。隣を見ると霜月も同じ反応をしていた。

「え! いいの?」確認している霜月の表情は少し不安そうに見えた。

まぁ無理もない。まだ始めたばかりで何の実績もない部活に、貴重な時間を使わせることは少し気が引ける。霜月もなんとなくそう感じているのだろうと思った。

「はい」如月さんは冷静な態度で言った。

「まだ創部したばかりだから、ルールとか何もできてないよ」霜月が事実を述べた。

「大丈夫です」

「これから誰も来なくて、このまま潰れる可能性だってあるよ!」

「承知しています」

「部員はまだ俺と翔だけの二人しかいないけど…それでも?」

「私で三人目ですね」如月さんの表情を見ると、決心は変わらない、といった感じがした。

「なんで入部しようと思ったの?」霜月が動機を聞いた。

「それは……この前、水無月くんたちに相談に乗ってもらって、私、すごく助かったんです。ここに来るまではずっと同じことばかりで悩んでいて、なかなか行動に移せなかったけど、相談に来ただけでこんなにも気持ちが楽になるなんて知らなかったです。それで、私も水無月くんたちみたいに、何か困っている人を助けることができないかなぁ、と思ったので、それなら入部しようと思いました。それに…」如月さんは、理由を述べている最中、なぜか視線を俺の方に向けたり、逸らしたり、とチラチラ忙しそうだった。

「それに? 何?」霜月が続きを尋ねた。

「それに、この部活面白そうな気がしたんです。今まで経験したことのないことができる予感がします」如月さんは力強く言ったが、その言葉がどこまで本気なのかわからなかった。

それを聞いた霜月が、「どうする?」といった表情で俺を見てきた。

「俺は別にいいと思うけど、部長は霜月だ。部長が決めろ!」俺は、責任を霜月に擦り付けた。

「それなら…歓迎します! ようこそ、相談部へ!」霜月が歓迎ムードを作ってくれた。

こうして早くも相談部に新しい部員が加わった。


その日の放課後、俺と霜月と如月さんは部活のルールや今後の流れを話し合っていた。

「じゃあ、こんな感じでよろしくね。あ! もし用事とかあったら、そっちを優先していいから」

霜月の話し方は俺の時とは違い、やさしく気を遣っているのがわかる。霜月がモテる理由がわかった気がする。

それに如月さんも最初は控えめな印象だったけど、話し始めると結構普通に会話している。二人が話しているのを見るとお似合いのカップルに見えてきた。もし如月さんが霜月のことを好きなら、いや、おそらく好きだと思うが、相談部に入部したのも、もしかして、計算しているのかもしれない。人には単純接触効果といって、何度も繰り返し接すると好意的になったり、印象が良くなったりすることがある。如月さんがそれを知っていて、狙っているのだとしたら結構戦略的な人なのかもしれない、と思った。俺は、如月さんを少し警戒することにした。

「あのー、水無月くん」

一人でそんなことを考えていたら、隣から如月さんの声が聞こえた。視線を送ると如月は手にスマホを持っていた。

「よかったら、連絡先を交換しませんか?」

「え、あ、うん。いいよ」

まぁ同じ部活なら当然の行動だな、と思いながら俺は承諾した。俺は鞄からスマホを取り出して、如月さんと連絡先を交換した。交換し終わった後の如月さんは、自分のスマホを見て嬉しそうに笑っていた。

「あー、でも、翔に連絡しても、基本繋がらないし、返信も遅いからな」霜月が嫌味っぽく言った。

「え! そうなんですか!?」如月さんは俺を見ながら聞いてきた。

「あぁ。俺は、スマホを使う時間を決めているから、その時間以外は触らないようにしている。だから返信が遅いのも当たり前だ」俺はマイルールを霜月に訴えるように言った。

「そのせいで俺の電話には全然出ないし、メッセージもその時間帯にしか返信来ないからな」霜月がさらに嫌味っぽく言った。

「そうなんだぁ! その時間って何時ですか?」

「朝なら11時から12時。夕方なら6時から7時くらいかな」

「じゃあ、その時間帯なら連絡すると繋がるんだね!」

「え! あぁ、うん。絶対とは言えないけど…」

その後、俺たちは話を終え解散した。


家に帰り着き、鞄の中身を整理していると、如月さんに貰った袋が視界に入った。そういえば、もう一つ袋の中に何かあったのを思い出し、中身を確認すると、それはボールペンだった。それもMINADUKIと筆記体で書かれた名前入りのボールペンだった。そして袋の底にメッセージカードがあるのに気づいた。そこにはこう書かれていた。

「相談に乗ってくれてありがとうございました。もしよかったら使ってください。如月牡丹」

クッキーもそうだったが、同年代の異性からのプレゼントに俺は一瞬キュンとして嬉しくなった。



読んでいただき、ありがとうございます。

次回もお楽しみに。

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