生きる意味とは何か!?②
雛月さんの相談を受けた翌日の放課後、俺は相談部のみんなに、生きる意味や生きがいについて聞いてみることにした。急な質問にみんな困惑しているようだった。「急にどうしたんだ?」と霜月に言われたので、「ちょっと思うところがあって」と曖昧な返事をしたが、みんな真面目に答えを考えてくれた。
最初はベルさんが答えてくれた。ベルさんは毎日ハッピーに生きることが生きがいだと言っていた。そこまで真剣に考えたことはないけど、毎日ハッピーなことを意識して探しているらしい。その方が楽しいと思うからと言っていた。
次に如月さんが答えてくれた。如月さんは、生きる意味は考えたことがないからわからないと言っていたが、ベルさんと似た感じで、自分が好きなことをしている時が、楽しいと言っていた。たとえば、料理をしたり、友達と話したりすることが楽しいから、それをしているらしい。それが生きがいかどうかはわからないけど、楽しいから続けていると言っていた。
次に霜月が答えた。霜月は、自分が生きる意味は特にないと言った。生まれたから、生きているだけで、それ以上でも以下でもないらしい。ただ、せっかく生まれたのだから、自分の好きなように生きたいと言っていた。
次は、一度神無月に視線を送ったが、そのままスルーして二宮さんとカスミンを見た。すると、カスミンが答えてくれた。カスミンは生きる意味なんて考えても意味がないと言った。二宮さんと一緒に美味しい物を食べたり、好きな絵を描いたりして、毎日楽しく過ごせればそれでいいと言っていた。二宮さんも頷いて同意していた。カスミンは何か食べているのだろうか、と思ったが、あえて聞かないことにした。
ここで終わろうと思ったが、せっかくなので、一応、神無月にも聞くことにした。神無月は「そうだな、俺の生きる意味は…」と言って少し考えた後、俺と霜月を指さした。そして、「お前らを倒して、一位に返り咲くことかな!」とカッコつけて言った。なんともくだらないことと思ったが、そんなもんだとも感じた。
世の中には、たくさんの人がいて、一人ひとりが違った価値観を持っている。無論、生きる意味も人それぞれだ。世界を変えることが生きる意味だと言う人もいれば、身近な人と安心して暮らすことが生きる意味だと言う人もいるだろう。人間は何事にも意味を見出そうとするが、そもそも生きる意味に答えなんてないのである。自分が満足すればそれでいいと思う。
今の俺も、自分の生きる意味がわからない。しかし、わからなくても生きることはできる。人によって答えの異なることを、無理に理解しようとしなくてもいいと思う。時には、神無月のように単純に考える方が役に立つことがあるのかもしれない。それに、こうやっていろんな人の意見や価値観を知ることで、自分の大切なものを見つけられることができるかもしれないと思った。
それから数日が過ぎ、雛月さんとカフェに行ってから一週間程経ったある日の放課後、部室のドアをノックする音が聞こえた。霜月が「どうぞ」と言葉を掛けると、雛月さんが入って来た。早速新しい悩み相談かと思ったが、今回は違ったようだった。相談に乗ってくれたお礼にプレゼントを持って来たらしい。女子には、雛月さんが監修しているコスメグッズで、男子には香水をくれた。みんなとても喜んでいて、雛月さんも嬉しそうだった。
そして雛月さんは部室を一歩出たところで、俺たちの方に振り返った。
「また時々遊びに来てもいいかな?」雛月さんは少し躊躇いながら言った。
「もちろんデス! いつでも来てくだサイ!」ベルさんが嬉しそうに答えた。
「またお話しようね!」如月さんが笑顔で答えた。
「しょうがニャいから、相手にニャってやるニャ」カスミンが上から目線で答えた。
それを聞いた雛月さんはホッとした後、嬉しそうな笑顔だった。そして俺に指鉄砲を向けてきた。
「今度は私がキミを虜にするからね! 『翔くん』!」雛月さんはそう言って、バキュンと撃ってから、帰って行った。
そして部室は少し沈黙が流れた。
「チョット! 今のはどういう意味デスか!? 水無月サン!」さっきまで笑顔だったベルさんが、険しい表情になり俺の方を向いて問い詰めてきた。
「ふっ、二人はいつの間にそんなに仲良しになったの?」如月さんは顔を引きつっているようだった。。
「水無月くんも隅に置けニャいニャぁ」カスミンが煽ってきた。
「え!? なに? お前ら付き合ってんの?」神無月がそう言うと、空気が一気に凍り付いた。
「そんなわけないだろ! この前、偶然街で会ったから、ちょっとカフェに行っただけだ!」事実を言うと、女子三人と性別不明の一匹がさらに問い詰めてきた。
「この前っていつデスか?」ベルさんが言った。
「どこのカフェに行ったの?」如月さんが言った。
「それって本当に偶然ニャのかニャぁ?」カスミンが言った。
「何を注文したんですか?」二宮さんが小さな声で言った。
「いや、そんなに一気に聞かれても…」俺はそう言ったが、止まる様子はなかった。
「どのくらい一緒にいたんデスか?」ベルさんが言った。
「どこの席に座ったの?」如月さんが言った。
「もしかして待ち合わせていたんじゃニャいの?」カスミンが言った。
「美味しかったですか?」二宮さんが小さな声で言った。
女子と一匹の問い詰めに圧倒され、すべてに答えるのが面倒だったので、霜月に助けを求めようと視線を送ったが、巻き込まれたくないようで、逸らされた。仕方なく神無月に視線を送ったが、神無月もそっぽを向いて口笛を吹いていた。俺は助っ人に見放され、さらに4人の視線が重く感じられたので、買い物の用事があるということにして、荷物をサッとまとめ、逃げるように帰った。とりあえず、一日冷静に考えて、明日説明しようと思った。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回もお楽しみに。




