ダンジョンからの帰還
青い魔法陣に入ると転送先が選択できて、ダンジョンの入口か、最後に訪れた街へと戻れる様になっている。俺たちはアルツベリオル城へと戻った。
【アルツベリオル城 ゲートエリア】
青白い光を放つ門をくぐって出てきた。ここがリスポーン位置になっている。
ゲートの付近に様々な種族の冒険者が座っていた。
「あんたもモンスターにやられたのか?」
革の鎧を着たヒューマノイドの男が語りかけてきた。
「いや、ダンジョンをクリアして戻ってきた所だけど」
そう答えると、その男はハァ……とため息を付いた。
「俺明日仕事あるんだけどさ、ログアウト出来なくて困ってるのよ。だから一回死んだらログアウト出来るかなーと思ったんけどさ」
俺はステータスウィンドウを開き、オプションのタブを開いたが、ログアウトのボタンは灰色になっていて、相変わらず押すことは出来なかった。
「1日ならまだ大丈夫かも知れないけど、何日も続いたらどうなることやら……」
座っているキャラクターの殆どは動きがなかった。
「あいつらは、スリープモードに切り替えて寝てるんだろうな。街の中なら基本的に安全だからな。噴水の前で寝るとかホームレスかよって話だけど」
あー俺も寝るかーと言って、その男は動きを止めた。
実際の所、もう夜も更けてきて眠いが、その前に粘液まみれの服を変えたい。
「今日は色々あったけど、服を変えてさっさと寝ましょ」
俺たちはNPCにクイールの革を売って、そのお金で宿に入ろうと話し合っていた。
【アルツベリオル城 商業地区】
真夜中だというのに人の往来がそこそこにある。俺たちは露天をやっているNPCに声をかける。
「クイールの毛皮なんだが、20枚を300ルピーで買ってくれない?」
「へい!ありがとな!またよろしく!」
すぐにトレードが成立し、俺とロゼが持っていたクイールの毛皮をまとめて売った。
「さっさと宿屋に直行ね」
ロゼはそう言うと、商業地区の裏側にある宿屋街へと向かった。
【アルツベリオル城 宿屋街】
「まさかこのエリアで金を使うとは思っても無かったがな」
ゲームの世界には雰囲気を重視するため、宿屋街が用意されているが、ゲームのキャラクターに取って、ポーションや回復アイテムでHPは回復できるため、わざわざお金を払って宿に泊まるなんて事はしなかっただろう。
歩いていると、1泊50ルピーと書かれている看板の宿屋を見つけて、すぐに入った。
入ると同時に、すぐに店主が声をかけてきた。
「悪いねぇ! 今日は人で一杯で泊まれないよ!」
俺たちはすぐに追い出された。
「考えることは皆同じか」
時間は深夜2時を過ぎていた。流石に安い宿は埋まっているだろう。
早くお風呂入りたいーと嘆くロゼが煩かったので、1泊200ルピーする宿に入ることにした。
「悪いね嬢ちゃんと坊や、あと一部屋しか空いてないんだ。それでもいいかい?」
ロゼはイヤイヤと首を振ったが、背に腹は代えられない。
俺たちは代金を支払って部屋に上がり込んだ。
「はぁー疲れた! ちゃちゃっとお風呂借りるわよ」
部屋に入った瞬間、ロゼはすぐに風呂場へと向かった。
──
さっぱりした顔で風呂から上がるロゼ。着ていた服を装備から外して洗濯しているせいで、下着姿だった。天使の輪っかと白い小さな羽がつやつやしていた。
「あんまりジロジロ見ないでよ、服が汚れてるから仕方ないのよ。いーい? ベッドは一つしか無いから、わかってるわよね?」
俺はハイと頷くしか無かった。俺も服を洗濯し、風呂に入った。
風呂から上がる頃には眠気の限界が来て、すぐに敷いてあった絨毯の上で寝落ちした。
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