ライオネル街道 ─道中─
ロゼの手を引いて街道を走り続ける。
クイールは攻撃しない限り攻撃をしてこないが、ダンジョン後半に湧くゴブリンは、近づくと交戦状態になる。
「大量トレイン……害悪プレイヤーまっしぐらね」
俺たちの後ろに総勢20体近くのゴブリンが付いて来ている。
マップを思い出しながら、街道沿いにある大きな橋が見えてきた。
「ここの橋を渡ったら、もうすぐボス部屋だよ」
そう伝えると、俺達は橋を渡る。橋の先にはモンスターが居ないようだ。
すると、前にはあったはずのボス部屋の入り口が無くなっていることに気づいた。
その代わりに目の前には宝箱が設置されていた。
「ウソ! 行き止まりじゃない!」
「そんな事言われても、αテストの時はここがボス部屋の入り口だったんだよ!」
ジリジリとゴブリンの集団が迫ってくる。
もう戦うしか選択肢は無かった。
「上手く当たると良いけど……蒼龍の炎!」
橋の真ん中に大きな青い炎が立ちはだかる。
──すぐに、断末魔がダンジョン内に響き渡り、キラーンという効果音が流れた。
ゴブリンの集団は一瞬にしてHPが無くなった。
「流石、MP50消費魔法はだてじゃないわね」
「トレインがマナー違反じゃなければ、効率よく狩れるんだけどね」
モンスタートレインは通常モンスターが沸かない所までモンスターを連れてこれてしまい、トレインした結果、他のプレイヤーにターゲットが切り替わる事があり、モンスターを使ったプレイヤーキル、通称MPKが発生してしまう為、マナー的にご法度だ。
ゴブリンが居た場所には、ゴブリンの肉がドロップしていた。
「流石に生のままじゃ食べられないか」
インベントリにゴブリンの肉を回収した。
レベルアップでスキルを獲得出来るのだが、強力な魔法を手に入れてしまったので、魔法のスキルツリーを伸ばさず、盾のスキルツリーを伸ばすことにした。
一番基本的なスキル、【シールド】を取得し、スキルスロットに装備した。
「見てみてー! 盾と魔法のスキルカードが入ってたわ!」
盾を付け替えて自慢してくるロゼに対して、せめて盾だけはくれよとせがみ、渋々盾だけ貰った。
アイテムを分けるのはパーティプレイのマナーだろと突っ込みたくなったが、言わないことにしよう。
MAPを確認すると、橋の下の川沿いに小さな小道があるのを発見した。多分この奥がボス部屋だろう。
「何だかんだで状況は良くなったし、うまいことボスが倒せれば良いけど」
「どうせ倒せなきゃアルツベリオル城に送還されるだけよ。デスペナで経験値とかアイテムロストするからなるべくしたくないけど」
俺たちは小道の奥のトンネルを進み、ボス部屋へと向かった。
【マーシュ】
種族 ヒューマノイド
LV 3
HP 220
MP 60
ATK 12
MATK 18
DEF 22+3
MDEF 22
AGI 6
LUK 8
装備品
──
旅立ちの剣+0
見習いの盾+3
所有スキル
───
パッシブ【マナ自動回復++】
パッシブ【自動ガード性能++】
パッシブ【知力増加】
アクティブ【リバースラーニング】
アクティブ【蒼龍の炎】
アクティブ【シールド】