期限付きクエスト
昨日は大量の人でごった返していた、大広場地区にはそこまでの賑わいはなかった。
設置されていたステージは撤去されており、大型モニターの代わりに大型のクエストボードと掲示板、小さなテレビが設置されていた。
小さなテレビには現実で流れているニュースが流れていた。
Gomazon社システムにトラブル発生!被害総額は数億円規模!といったテロップが流れていた。
TVを見ていたフードを被ったヒューマノイドのおっさんが呟いた。
「どうやら、わしらがクエストをクリアせんと、現実世界で人が死ぬかもな」
さて、とおっさんが立ち上がって、おもむろにスキルを唱えた。
「こんなスキルも使い様があるんじゃな。拡散発声!」
『全プレイヤーに告ぐ。今日中に確認出来る人間は必ず【アルツベリオル城大広場地区】の掲示板を確認せよ。繰り返す、【アルツベリオル城大広場地区】の掲示板を確認せよ。これは、わしらの命に関わる話である。わしの名前はアイル・ツヴァイだ。』
おっさんの声がワールド全体に響き渡る。
「おっさんどういうことだよ!?」
俺はツヴァイに声をかけたが、少し待ってくれ今まとめるからと、ツヴァイは黙々と掲示板に文字を書き始めた。
「昨日から、そこのTVで情報を集めておったのだ。それを纏めただけだ」
俺とロゼは掲示板に貼られている内容を読んだ。
──
名前: アイル・ツヴァイ
現在の得られた現実世界の情報を纏めた。
・タナトスというプレイヤーがこのゲームを改ざんしたが、既に逮捕されている。
・ゲーム内のクエストボードの項目をクリアしないと、Gomazon社のネットワークの一部を破壊する。
・初日にクリア出来なかったクエストのせいで、一部国の交通機関が一時的に停止したとの事。タナトスは本気を出せば我々の生活インフラを止める事も出来る事を供述していた。
・Gomazon側はゲームに対して、現状介入が出来ないらしい。
・ログアウト出来ない人間は、Gomazon社の用意された生命維持が出来る施設に搬送されつつある。
以上の事から、このサーバーに生存しているプレイヤーでクエストをクリアしなければならない。
クエストの内容を確認したプレイヤーは、明日の昼12時にこの大広場で会議をする。参加不参加は自由だが、出来れば参加したほうが身のためだろう。
──
掲示板の内容を読んだ俺とロゼは落胆した。
「俺たち戻れないのか?」
「恐らくそうでしょうね」
悲観しても仕方がない。そう思いながら俺たちはクエストボードを確認した。
そこには恐ろしい量のクエストが張り出されていた。
タイムリミット順にクエストが並んでいる。
──
未完了のクエスト
・アイテム納品『ゴブリン肉』
・アイテム納品『奇怪蝶の鱗粉』
・規定数達成『ギルド作成数』
……
進行中のクエスト
・聖火リレー
・伝説の行商人
・伝承の存在【四龍】
……
完了済みクエスト
・討伐『スライム』
・討伐『マジックラビット』
・討伐『ゴブリン』
・討伐『巨大デンデン』
・作成『ヒールポーション』
・作成『マナポーション』
・規定数達成『伐採』
……
未達成クエスト
・討伐『該当プレイヤー:タナトス』
…
──
クエスト全部を読むのは無理だと思ったが、どうも引っかかるクエストがあった。
伝承の存在【四龍】を詳しく読んでみた。
──
伝承の存在、四龍が世界各地で目撃報告が上がっている。
おとなしい筈の四龍だが、暴れまわっているとのことだ。討伐隊を組んで心して挑んでくれ。
・討伐【レッドドラゴン】
・討伐【イエロードラゴン】
・討伐【ホワイトドラゴン】
──
どう考えても1体分表示が足りていなかったが、恐らく俺が倒したのがブルードラゴンだったのだろう。
クエストをざっと確認したが、簡単そうなクエストはリミットが1週間に設定されており、連続する様な進行形のクエストは全て6ヶ月がリミットになっていた。
「初見でタイムアタックしろって訳か」
「このクエスト量、常識的に無理じゃないかしら?」
「いや、このクエストボードはこのサーバー全員が共通で達成出来れば良さそうだ」
実際、昨日俺が戦っていないスライムの討伐やら、ポーションの作成がクリア済みクエストに入っていた。
「それじゃあこの膨大なクエストを皆で1個1個クリアしていくしか無いわけ?」
「多分そうだと思う」
MMORPGにはクエストは存在するが、大抵はそこまで重視する物ではない。一部クエストは職業の開放や、転職に必要で仕方なくやることが多いが、基本的にはオマケ的な位置づけの代物だ。
「これはクエストってよりかは実績見たいなもんか」
俺はこの異常な状況を少し楽しんでいた。どうせログアウト出来ない訳だし、目標はあったほうが断然いい。
「そうと決まれば、早速狩りにでも行こうぜ!」
ロゼの手を引いて走り出す。
「なんであんたは直ぐに気持ち切り替えられるの~?」
ロゼは少しだけ元気になったのか、ふふっと笑っていた。
◇◇
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