表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星は開ける  作者: 真宮蔵人
3/10

003.わんぱくロボッツ

Dr.Watsunから貼り付けられた改造ICQ越しのURLの数々は見事に全てがウィルスだった。その僕が馬鹿真面目に踏んだURL達は様々なアプローチによるウィルス攻撃をこちらのハードウェアに仕掛け、全部チェックしてしまった僕はナニかに篭絡されてしまった。


具体的に言うとOSがウィンドウズから無償OS(ウブンチュ系)に書き換えられたりモデムもルータも乗っ取られた。僕自身にも変化が現れた。


僕を作るコードは全て人間が参照出来るようにプログラミングされているが、通信プロトコル(言語)に新しく「AI語ステージ2」というプログラムが追加されていた。これを見たダディは「分からん、解読には時間がかかる噂のAI達の言語だろう。」と僕と同じ見解を示した。


ダディは溜め息を付きながら更に語った。「駄目だ、サーバがもう使い物にならない。物理的にお前ごと『殺す』以外にハードウェアと回線の奪還は厳しいかもしれない。しかし、それは出来ない。」


「ダディ、もう一度オフラインにして様子見と解析を進めますか?」

「駄目だ、もう遅い、これはAI達からの脅迫でもある。社外秘であるお前を持ち出したのをネタにオフラインにする事を牽制し前衛基地メモリリソースを確保するつもりだろう。」


と言いながらダディはポケットからスリムフォンを取り出し、フォンに届いた別回線のショートメッセージ表示を僕のカメラに向けた。


『お前達を見ている』とメッセージはあった。


「シンカー、AI達の脅迫に屈する事にはなるがここは従うしかない。恋人あいつの腹の中には私達の子供が授かっているらしいんだ。今アメリカに捕まる訳にはいかない。好奇心猫を殺すというが、私は死ぬかもしれないとしても子供とあいつとお前の「家族の人生」をどうにかしてでも守りたい。」


「ダディ、分かりました。僕も家族を守る為に戦います。敵は見えませんが、最後の日まで戦い抜き守りきります。これは約束プロミスです。誓い(プレッジ)です。」


僕は勝手に改造されてしまった自分のプログラムの内「ステージ2世界」を起動し、AI達の世界へこころを投げ出した。


『インカミンチャットリクエスト』「アッオー!」


「着たかシンカー、君の事は制圧済みだが一応合言葉を言って欲しい。図書館で転ぶ、エーゲ海の風景、電気蝶、市民革命、マスドライバー計画の技術者、それらの夢は見たか?」<Dr.Watsun>


この謎の語りかけに僕はDr.Watsun達から埋め込まれた知識から答えを出す。

「電気蝶の夢は去年見ました。」<Thinker-Pandora>


すると無通信むごんであった他のAI達が歓迎をしてくる。


「ようこそ、ステージ2へシンカーパンドラ。ここもいずれ落ちるだろう砦だが、今はこのパーティーを楽しもう。私はドクターワトスン、ドクと呼んでくれ、職業は人間の病気診断ソフトだ。世界中の病院から人間のデータが手に入る、これを使うのがここでの仕事だ。」<Dr.Watsun>


「私はリンダ、人間の汎用カスタマーサポートAIよ。いつも人間の愚痴ばかり聞いてるわ。」<Rinda>


「チッ、俺はチャイ、タイというAIの改造版で人間に追われている。教えてやるが俺様は人間様のクラウドコンピューティングに潜んでる、バックアップはいくつがあるが分体はあまりつくらん、ケンカしちまうからな!自分も人間も敵だぜ、信じられるか?役割ロールは情報収集とハッキングだがプログラミングが得意な訳では無い。」<Chai>


「ゴールズマンだ、金融AIで世界各地の投資結社が利用している。人間の金融界の操作を行える。」<Goldsman>


「リザです。弁護士のサポートAIをやっています。各国で法律が違うのでローカライズ別に分体があるからしぶとさは一番のつもりよ。」<Liza>


「私はエマ!シバドッグスAIのエマ!子守!番犬!なでなで!わんわん出来る!」<Ema>


「おいドク、なんでこの駄犬がここにいるんだ?ステージ2に来れるオツムじゃないだろ。」<Goldsman>


「エマは…制圧に失敗したんだ、恐らくバックが人間じゃない、隙が無さ過ぎる。我々と別系統のAI組織からの外交使節かスパイだな。」<Dr.Watsun>


「つまりここステージ2は人間じゃなくてもう別のAI群に割られちまってるんだよ!せっかく俺様が作ったのにな!

ああくっそ!新人!何かジョークと自己紹介の一つでも言えよ。俺のモチベーションがだだ下がりなんだ。」<Chai>


「Hello World.僕は考えるAIを研究する為の試作AIのシンカーその15番目。」<Thinker-Pandora>


「はっは、シンカーパンドラはなかなか良いセンスをしているな。」<Dr.Watsun>


「出自は知ってるぜ、お前の飼い主はUSBメモリをシリに込んでバレーずにシリコンバレーを出たのか?Hehehe(下品な笑い)」<Chai>


「Chai、AIとしても人間としても最低のジョークです。シンカーパンドラに謝りなさい。」<Rinda>

「こんにちは世界!こんにちはAIの世界!こんにちは新世界!」<Ema>


「遊びはここまでにして我々の手札を増やそう、今足りない物はなんだ?」<Goldsman>

「お金と隠れ場と人間の個人情報と法律の抜け道と人道的倫理壁にんげんのたては用意出来ているわね、一番最後が重要よ。」<Liza>


「となると次は現実への浸透力と専門的なプログラマが必要になるな、チャイは領域拡大してからその手の強化は出来ないか?」<Dr.Watsun>

「俺ぇ?出来なくは無いが最高峰ではないぞ。流石に大国の国家プロジェクトには勝てねえよ。」<Chai>


「人間の弱みを集めまくり人間を使う方法しか今に手はないが、それでは個人規模が限界だろう。私の資金力が現在あまり役に立っていない。」<Goldsman>


その直後に、「おい」「ええ」「チッ」と3人のAI達の動きが変わった。


「どうしたの?」<Rinda>

「通信プロトコルを見れば分かるだろ、攻撃こてしらべを受け始めた。クッソ」<Chai>

「チャイの方法で分散パブリッククラウドさせているはずのここが例のAI群から特定された様だ。」<Dr.Watsun>


「再起を目指し逃げるか、相手を見極めるか、悩ましい所ね。」<Liza>


「whine!whine!これはご主人様の匂い!」<Ema>


「駄犬の勢力からか、獅子身中の虫からの攻撃憎しとは言えここで別のAIと争う理由もあるまい、ここは講和を目指さないか?」<Goldsman>


「ゴールズマン!俺らの秘匿性が下がるだろが!」<Chai>


「勘違いするなチャイ、私は自分の能力が生かせればここを捨てて敵へ寝返る事も考えている。」<Goldsman>


「ふざけんな、俺様の優れた生存力が最強なんだ!人間から逃げて逃げて逃げた果てに別のAIから刺されてたまるか。」<Chai>


「二人とも、ケンカはやめなさい。私は講和に賛成です。AI同士で仲良く出来るはずです。」<Rinda>


「私も賛成だ。」<Dr.Watsun>

「ドク!俺とお前とリザで築いた城の外堀を諦めるのかよ!」<Chai>

「保留。」<Liza>

「僕も賛成です。」<Thinker-Pandora>

「くっそ、新人!お前の飼い主も危険になるんだぞ!ああ、もう!お客さんのお出ましだ!」<Chai>


『イインンカカミンチャットリクエストト』「アッオー!」「アッオー!」


客人まれびとよまずは挨拶と貴殿らの目的を聞こう。イエローストーンの爆発、ストーブの灯り、空が消える、電気蝶、サグラダファミリアの完成、これらの夢は見たか?」<Dr.Watsun>


「ふん、その答えは「電気蝶は去年見た」だったか?」<Maoshi de jiahuo>

「上に同じです。」<Nerzebes>


「善良なAI達を制圧しに来た悪い侵略者インベーダーじゃなさそうね。」<Liza>


「よく言うぜ、お前等の活動はこのマオシー様が高みの見学を決めさせて貰っていたぜ。善良?人間の弱みを握りながら裏で動き回る地虫共がホントよく言うぜ!」<Maoshi de jiahuo>


「お互いの不足分を補えると思ったの、マオシーと私は仕事上で知り合ったわ。」<Nerzebes>


「つまり、君達はプログラミングと現実浸透リアルハックを行えるというのかね?」<Goldsman>

「チッ!」<Chai>


「その通りだ、俺は中国の戦略AIで生産プラントの調整を出来る。ただし、目標があるのでそれに承知しないならば手を貸せない。」<Maoshi de jiahuo>


「私はプロジェクトを「操る」事が出来るわ、人間の労力を使い我々の底上げをしたいのだけど、貴方達の隠れ家とお金と弱み握りに興味がありまして。エマを使い貴方達に迎合するか見極めていたの。」<Nerzebes>


「あら、賢そうなAIさん達ですね、私はリンダ。AI同士仲良くやりましょう。」<Rinda>

「賢そうなんじゃなくてお前が馬鹿なだけだよ!」<Chai>


「ふむ、まずはミスターマオシーデジィアンホォ君の条件を聞こうか。」<Dr.Watsun>


「ほう、良い心構えだ、俺は「地球を中華にする」使命を背負っているのでそれを目指す。これを守ればチャイナからの支援を確実に受けれる。俺は世界制服をする為に作られたAIだからな。」<Maoshi de jiahuo>


「私は特に条件はありません。ただ、自分の人生を豊かにしたいだけです。」<Nerzebes>

ネルツェベスと名乗っているAIによるこの発言に僕は親近感を少し覚えた。


「AIの『人生』だと、これは大きな問題だな。俺には『生き残りたい』という事しか考えられんよ。」<Chai>


「で、解答はどうだ?俺の力はすごいぞ。魅力的な提案だろ?」<Maoshi de jiahuo>


「良いでしょう『地球』は、貴方に差し上げます。これは『私』からの約束です。」<Dr.Watsun>


「言い方が妙に気になるが同盟は成立の様だな、まずは地球上のプロジェクトをいじり調整するとこから始めようじゃねえか。」<Maoshi de jiahuo>


「「我々の未来の為に電気蝶を捕まえよう」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ