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虹の調律師 ~光と調和の軌跡~  作者: 二一京日
第一章 旅立ち、そして新たな日々
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第44話 重なる不可解

一日に何話もやると、文章が単調になりがちですね。

途中から乗ってくればいい感じにはなるんですけど。

それと、お腹が空きます。

 グレンは転移魔法で、少しの間でも味わっていなかった感覚を再び味わった。

 そんな少しでも、なくては何かと不便に思える機会が多く、すごく久しぶりな感じがした。


「おっと」


 着地の際にバランスを崩しかけてよろめいたが、グレンは無理矢理体勢を立て直した。


「ふぅ、やっぱこれがあると楽だな」


 久しぶりに転移魔法のありがたみがわかったグレンは、周囲を見渡した。

 座標はちゃんと確認できていたはずだが、もし違う場所へ飛んでしまっていたら大変だと思った。

 しかし、周りにオーリン村の人々がいて、彼らが突然のグレンの登場に唖然としているのを見て、ここが間違っていないと確信できた。


「えっと、長老の家は……あそこだな」


 グレンはそんな村人たちのことは眼中になく、急いでリベルが寝ている長老の家へと向かう。

 ようやく、探し求めていた薬草が手に入ったのだから。


「長老、取って来たぞ、っていないのか?」


 グレンが勢いよく長老の家の中に入ると、そこには長老はいないように見えた。

 その代わりに、ちゃんと奥さんやそれ以外のリベルの看病をしてくれてる女性たちがいた。

 今はしっかりと役目をこなしているが、さっきはリベルの頭を撫でたり髪を触ったりとやりたい放題だったことを、グレンは知らない。


「あ、帰ったんですね」


 グレンの帰りに奥さんが返した。


「薬草は手に入りましたか?」

「あぁ、ちゃんとな」


 グレンの成功の知らせに、家の中にいる女性たちは喜びの表情を見せる。

 外の人間に対してこういう表情をするのだな、とグレンは意外に思った。

 そうして、少しぼうっとしていたグレンに、奥さんが急かすように声をかける。


「では、薬を調合しますから、早く薬草を渡してください。薬を飲むのは、早ければ早いほどいいんですから」

「そ、そうだな。ほらよ」


 奥さんっグレンから薬草を受け取ろうと差し出した手に、グレンは倉庫の中に締まった薬草を出現させた。


「それでいいんだろ?」


 想定外の出し方をしたグレンに驚いた奥さんとその他の女性たち。

 そんな彼女たちにグレンがそう尋ねると、すぐに我に返って、奥さんは頷いた。


「えぇ、これで大丈夫です。少し待っていてくださいね」


 そう言って、慌てて作業に入る奥さんたち。

 これでひとまず仕事が終わったグレンは、その場に腰を下ろして、横になるリベルと彼を助けるために動く女性たちを視界に収める。


(やっぱ、人間が集まっている以上、何も一パターンの人間じゃないんだな。まぁ、長老の例があるが、それでもここにいる人たちは嫌々やっている感がないから、おそらく同じような人たちなんだろうな。これで内部で亀裂が走らないか心配なところだが……それは考えても仕方のないことか)


 リベルが直り次第、この村からは出て行くのだ。そんな村のことを気にする必要はない、とグレンは自分の中で結論付けた。

 と、そこで気になっていたことを聞こうと思ったのだが、さすがに一生懸命にリベルのために薬を調合してくれているところを邪魔するのは悪い気がしたので、グレンは自分で、長老がどこにいるのかを探した。

 使い慣れた探査魔法で。


(こうして魔法に頼りまくりな生活は、きっと俺を人間としてダメにしていくな。うん)


 そう心の中で頷きながらも、グレンは魔法を止めない。

 その理由は至極簡単。

 便利だから。

 その一言で片付く。

 魔法は使用するたびにその魔法によってそれぞれの魔力量を消費し、完全に枯渇すればもう動くのがだるくなるほど全身が疲れてしまう。

 今日は洞窟でそれなりに戦い、特に魔獣大集合の時なんかはバンバン魔法を使った。

 普通ならあれだけで魔力が尽きそうなものだが、グレンはさらにその後も巨大魔獣と戦った。

 ここまでくれば、上級の魔法使いでなくては耐えられないほどなのだが、グレンは普通にピンピンしている。

 これは単にグレンの魔力量が尋常ではないからだ。

 しかし、サソリ型魔獣を倒して薬草を手に入れた直後は少し危なかった。

 あの状態でまた戦闘となったら、さすがにグレンも逃げたくなるほどに消耗はしていた。

 そうなのだが、今は平然と余裕がある。

 その理由はなぜか、というと、グレンが封印の一部を解除したことで、抑えられていた力と魔力が解放されたからだ。

 これだけで、もう十分と言えるほどに魔力と気力が戻っていたのだ。

 そんなグレンが魔法の使用を躊躇する理由は、どこにもなかった。


(さて、長老はっと……見つけた。これは、櫓の上か?目立つ所にいて助かったが、もしかして黒蛇でも探してんのか?確か、今までは連続で現れたことはなさそうな感じだったが。次に現れるまでは十年っていう長い期間があるって……)


 グレンの考えている通り、黒蛇が次に現れるとしたらもう年単位で後のこと。

 もう何度も見つかっていないのに、今更見つかるとは思えない。


(今すぐ警戒する必要があるか?気持ちはわからなくもないが、今までから考えると……いや、違うか。今回は今までが通用しないんだ)


 グレンは、黒蛇について長老から教わったことと今回の黒蛇について照らし合わせる。


(長老の話だと、十年間に空く。その理由はわかっていないが、それが今まで。だが、長老の話を思い返すと、今回の黒蛇は)


『前に現れたのが五年前で、これまでの周期で考えると、あと五年は大丈夫と思える』


(前回から五年後、か。そこがおかしいってことだな)


 グレンが疑問に思ったのは、一つは感覚の短さ。

 これまで何度か来たようだったが、そこからの経験を無視した期間。

 確かに、万全に数を積んでいるとは言い難いため、データが足りていなかったと言われればそれまでだが、気にすることではある。


(気になることは他にもある。長老の話だと、毎度毎度多くの村人が死んでいるらしいな。毒とか飲み込まれてとか。いろんなので死んで、村人はそのたびにに集落を森の中で移動して、毎度毎度苦労していたみたいだが、今回はまだ誰も死んでいない。リベルが死にそうにはなったが、この調子だと薬のおかげでどうにかなりそうだな)


 これでリベルが助かれば、黒蛇が出てきて、初めて誰も死ななかったことになる。

 それは喜ぶべきことなのだが、だからこそ二回目を警戒する。

 警戒せずに、浮かれたままの村に黒蛇が再び来れば、それはもう大惨事になる。


(それで長老は櫓の上に。他の奴らも何だかピリピリしてるし。まぁ、黒蛇だけが理由じゃねぇんだろうけど)


 長老以外の村人たちも緊張しているのは、黒蛇の存在だけでなく、リベルや、特にグレンがいるからだろう。

 薬草探しに出かける前のグレンの様子から、村人たちはグレンを完全に危険な人だと思い、近づくことすらない。

 そういう反応はグレンも仕方ないと思っているため、今更どうこうは思わない。


(そう言えば、今回は毒に関しては大丈夫だったのか?確か、黒蛇に近づいた奴がいたらしいけど、そいつの方の治療はなかったのか)


 グレンは探査を精密にして詳しく調べる。

 しかし、この村で寝込んでいるのは今のところリベルただ一人。

 他の村人たちは健康そのものだった。


(毒に耐性がある、のとは違うか。長老の言い方からすると、そんなのは関係なさそうだし。じゃあ、毒を浴びなかったか。だが、情報からするとかなり近くまで行ったらしいし、皮膚から放出しているなら、浴びないはずがないんだが。これはそいつが特殊なのか、それとも……)


 グレンはたった今も寝込んでいるリベルへと目を向ける。

 そのまましばらく考え込むと、グレンは決断した。


「ちょっと外す」


 そう断ってから、グレンはその場で立ち上がって、長老の家から出る。

 居場所は探査でもう掴んでいた。

 こんな状況下では外に出ることはなく、家の中にいるようだった。

 グレンはその家の方向に向かって歩く。

 黒蛇の近くまで行った少女に、話を聞こうと。

グレンに関してです。


・『第二話 二人』ではグレンのことを見た目はリベルより少し年上で十代後半から二十代前半の青年となっています。


・オーリン村の長老と知り合い。


・前に長老に会った時に結界の補強をして、それからしばらくしてから黒蛇が現れ始めた。


・黒蛇はこれまで十年に一度の頻度で現れた。


・黒蛇は今まで何度も現れた。


これらのことから、グレンとはいったい何者でしょうかね。

これらの設定は、作者のミスによる矛盾ではありません。

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