第四話 勝負
ドラゴンが翼を広げ空に飛び上がり空中で羽ばたきながら静止し俺たちを見下ろしている。
「そうだ、多分これ回復に使えると思うから使ってくれ」
「これポーションじゃない、ありがとう使わせて貰うわね」
俺はオフィーリアにポーションの入った小さい箱を渡した、すると上からドラゴンが声をかけてきた。
「その女を見逃すってのは無しでいいんだな?」
「ああ、俺が絶対にお前の魔法を防ぐから問題ない」
「ははっ!面白い、お前の方から約束を破棄したんだ俺は全力の魔法を撃つからな」
「いいぜ、こい‼︎」
するとドラゴンは羽ばたきながら口を大きく開け口の前に炎をため始めた。
「かつて俺はこの魔法で一国を滅ぼした、その一撃を防げるもんなら防いでみろ‼︎」
ドラゴンの口の前にある炎はどんどんその大きさが増している、今ではもう直径で10mはあるであろう球体になっている、それはまるで小さな太陽を作り出したようにもの凄いエネルギーが詰まっていることが分かる。俺はその球体を見てまた体の震えが激しくなっている。逃げ出したい衝動を抑えるために俺は声を張り上げて叫ぶ。
「かかってこい‼︎てめーの魔法なんか完璧に防いでやるよっ‼︎」
そして、ドラゴンは俺達に向けてその球体を放った。球体は勢いよく俺たちに迫ってくる、体が焼けるように熱い、気を抜くと意識を持ってかれそうだ、俺が必死に気を失わないように堪えている間も球体はどんどん俺達に近づいてくる。
「クッソ!なんて熱さだ‼︎」
まだだ、まだ収納魔法の効果範囲まで入ってない、クソ……まずい………意識が…………
「エターナル・フロスト‼︎」
周りの空気が一気に楽になった、まだかなり熱いが意識を失うほどではない、さらに続けて俺の後ろから声がかかる、
「周りの熱は私がなんとか抑えるから‼︎レンはあの球体に集中して‼︎」
絶対に防ぐとか言っといて、助けられて情けねえな、だけどオフィーリアがここまでしてくれたんだ、俺がビビってられるかっ‼︎
「ああっ‼︎絶対防いでやるよ‼︎収納‼︎」
黒い円は一気に球体の大きさまで広がり球体を飲み込み始めた。球体はどんどん円の中に入りやがてその全てが円の中に飲み込まれた。辺りは先ほどまであった破壊の象徴のような魔法が消え静寂が広がっていた。
「やった……のか?」
俺は肩で息をしながら確かめるように呟いた。
「やったー‼︎すごいよレン‼︎本当にあの火龍の魔法を防いじゃうなんてっ‼︎本当っ信じられない‼︎」
オフィーリアが喜びを堪えきれなかったのか後ろから叫びながら抱きついてきた。
「うおっ‼︎ちょっと抱きつくなって‼︎やめろ‼︎」
「今はそんなこといいじゃない‼︎本当にすごいわよ‼︎」
俺はオフィーリアに静止の声をかけるかが興奮していてこっちの声は聞き入れて貰えない。そんなことをしていると上から笑い声が聞こえてきた。
「あっはははははは‼︎まさか本当に防いじまうなんてな‼︎こんなこと今まで生きてきて初めてだ‼︎本当に面白い奴だなお前‼︎」
火龍が空から降りてきて俺達の前に着地した。
「これで俺達は、見逃して貰えるんだよな?」
「ああっ‼︎もちろんだ‼︎だけどこんな楽しいのは久しぶりなんだ、もう少し話そうぜ、なんならお前らが行きたい場所まで俺がおくってやるよ」
火龍は自分の攻撃を受け止められたのが余程面白かったのか物凄い上機嫌になっている。
「それはありがたいな、じゃあ何処に送って貰うか決めるから少し待っててくれ、それとオフィーリアそろそろ離れてくれないか?」
そう、オフィーリアは俺と火龍が話している間俺に後ろから抱きついた状態のままになっていた。火龍が突然話し始めたから離れるタイミングを失ってしまったのだろう。
「あっ、違くて、嬉しくて思わずやっちゃって、だから、えっと」
あたふたと顔を赤くしながら言葉を探している彼女はあった時の彼女からは想像もできないぐらい可愛らしい普通の女の子になっている。でもこのままじゃ話しが進まないから声をかけるか。
「大丈夫分かってるから、それより何処に送ってほしいとかある?火龍が送ってくれるらしいけど。」
「えっと、私帝国にはいられないからできれば王国に行きたいんだけど、レンって何処かに行く予定があるの?」
オフィーリアがさっきの表情とは変わって真面目な顔で聞いてきた。
「いや、特に行く場所は決めてないから俺も王国に行こうかな」
「そう、それじゃ王国まで一緒に行きましょ」
俺も王国に行くと言うとオフィーリアは笑顔になった。
「そうだな、火龍俺達を王国まで送ってくれるか?」
「王国かよ、ここから真逆じゃねえか、まあ送ってやるけどよ」
「そうなのか?実は俺事情があってこの世界の常識をよく知らないんだ」
「なんだそりゃ、お前にはいろいろと聞きたいことが増えるな、取り敢えず俺の魔法をどうやって防いだかも教えてほしいんだが?」
「それは私も詳しく聞きたいわ」
「長くなるから移動しながら説明するよ」
黙っていてもこの世界の情報を集めるのが不便になるしオフィーリアと火龍には俺がこの世界の人間ではないと教えてこの世界の情報を教えて貰おう。火龍にはちゃんと説明しないと納得しなそうだしな。
「あっそういえばあれを使えば王国まですぐに行けるな、よしお前らを王国に送ってやるから取り敢えず俺の背中に乗れ、レンには空の上で説明して貰う」
火龍は首を下げて俺達が背中に乗れるようにしてくれた。
「分かったよ、それじゃあよろしく頼む」
「えっと、よろしくお願いします。」
俺達は火龍の背に乗って背中に捕まった。
「じゃあ行くぞ、それとオフィーリアって言ったか?別に敬語じゃなくていいぞお前らの事は気に入ったしな、むしろ敬語で話すな」
「はい、分かりまし…じゃなくて、分かったわ」
「よし‼︎それじゃ振り落とされるなよ‼︎」
火龍は俺達を乗せて空に舞い上がった。




