第四十七話 武闘大会決勝
開始の合図と同時にリオンがフレアに突っ込んだ。
だが、直前で方向を変えてフレアの裏に回り込んだ。
ガキンッ‼︎
フレアはすぐに反応してリオンの一撃をガントレットで弾いた、フレアはすぐに反撃をして、リオンに打撃を放つが、リオンは余裕で躱すと、また斬りかかってきた為、フレアはまた受けて反撃に転じる。その後を激しい攻防が続く。
『両者一歩も譲りません‼︎リオン選手がフレア選手を四方八方から斬りつけます‼︎』
『だが、お互いにまだノーダメージだな』
リオンは一度フレアから距離をとった。
『この程度なら、余裕で対処するか』
『まあな、それじゃあ、今度はこっちから行かせて貰うぞ』
フレアそう言うと、一瞬でリオンの目の前まで移動して、リオンに拳を突き出した。
フレアが今までの戦いで余り、移動していなかった為、移動はそうでも無いと思っていたリオンは、驚きに目を見開くが一瞬で冷静さを取り戻し、剣でフレアの拳の軌道をそらして回避した。
そこからは試合場を駆け回る、高速の戦いが続いた。
暫く戦いは続き、試合場はあちこち陥没していてボロボロになっていた。
フレアがリオンとの距離を、つめながら、手につかんでいた、試合場の破片の石をリオンに投げつけた。
フレアの怪力で投げられた石は高速でリオンに迫る、リオンは何とか躱したが、反応が遅れてフレアの拳が顔の目の前まで迫っていて、リオンは咄嗟に左手で庇う。
『ぐっ‼︎』
だがリオンはそのまま吹き飛ばされてしまった。
試合場の床を削りながら飛ばされたリオンは、すぐに立ち上がった、だがフレアの攻撃を庇った左手は、手首がおかしな方向に曲がっていて、指も折れ曲り、手から血が滴り落ちている。
『ふふっ、はははっ、あっははははははははっ‼︎』
立ち上がったリオンは、ダンクとの戦いの時の様に笑い始めた。リオンは笑いながら、残った右手で剣を構えると、フレアに正面から突っ込んだ。
『あっははっ‼︎そおらあぁっ‼︎』
リオンの一撃をフレアは問題なく躱した、だがリオンが右手では無く、潰れた左手でフレアの顔面を殴った。
『ぐあっ‼︎』
フレアは、リオンのまさかの行動に反応出来ずにくらってしまった。
『リオン選手‼︎なんと壊された左手でフレア選手をぶん殴りました‼︎』
『今の一撃で左手は完璧に潰れたな』
フレアは吹き飛ばされて、地面を転がった。フレアは顔から血を出しており、それと地面にぶっかった為ダメージを受けている。リオンはその隙を逃さずフレアに追撃を仕掛ける。
フレアはそれを躱して、リオンの左手を掴むと思いきり握りつぶして、そのままふりとばした。
『くっ‼︎』
リオンが苦痛の声をあげて、立ち上がる。手を掴まれて飛ばされた為、左腕の肘が逆方向に曲がっている。
『あははっ‼︎まさかここまでなんてっ‼︎面白い‼︎だが貴様はまだ全力では無いな‼︎私は全力のお前と戦いたい‼︎私の本気の技でお前の本気を引き出してやる‼︎』
『我の本気か、出させられる物ならやってみろ‼︎』
フレアの言葉を聞いたリオンは、今までの構えとは違って、体勢をかなり低くして構えた。
『リミッタアアアアッ解除おおおおおおおっ‼︎‼︎‼︎』
リオンがそう叫びながら、フレアに突っ込んだ、その速度は今までよりもかなり速く、剣の攻撃も鋭くなっている。今のリオンの見た目は、体には血管が浮き上がり、目が充血して赤くなっている。
フレアは、何とかガントレットで弾くが、捌ききれずに斬られてしまっている。リオンの斬撃もフレアの攻撃も早すぎて会場にいるものの殆どがよく見えていない。
「リオンのあれは何だ?」
「わからないわ、あんなの見た事ない」
「リオンさんかなり無理してますね、明らかに体に異常をきたしてますよ」
レーナはそう言って心配そうにリオンを見ている。
「何かしらの代償が必要なのかもな」
試合場に目を戻すと、フレアが体のあちこちから血を流しており、かなり辛そうだ。
リオンは一度距離をとると、フレアに話しかけた。
『さあ‼︎貴様の本気を見せてみろ‼︎』
『随分な変わりようだな、一体何をした?』
『脳のリミッターを解除しただけだ‼︎今の私は本当に体を全力で使う事が出来る‼︎その変わり体は耐えられずに少しずつダメージが溜まっていくがな‼︎ライオンの獣人である私なら、自然治癒能力が高い為‼︎長時間この状態でいる事ができるのだ‼︎』
そういえば、日本にいた頃に、人の脳は力をセーブしていて、力を抑えない本来の力はもっと凄いと聞いた事がある。でも脳が力をセーブするのは、抑えないと体に害を与えてしまうからで、それを解除すると言う事は体への負担を考えずに、行動すると言う事になる。
『なるほどな』
『さあ‼︎貴様の本気を見せてみろ‼︎それともこのまま負けるのか‼︎』
すると、フレアは身体中から血を流しながらもしっかりと立ち、リオンを見据えた。
『確かに、このままでは勝てないな。しかし、我が本気を出すと闘技場を壊してしまう、だがお前を倒す為に少し本気でやらせて貰う、それじゃあ、我も身体能力強化を使わせてもらうぞ』
『なに?』
フレアの言葉にリオンが何を言ってるのか分からないといった顔をしていた、いや、それはリオンだけで無く、俺達以外の観客も全員が同じ様な顔をしていた。
『今まで我は身体能力強化を使っていない、素の身体能力で戦っていた。目を離すなよ、勝負は一瞬だ』
フレアのその言葉に会場がざわついている。
すると、フレアの雰囲気が変わった、遠く離れた客席からでも分かるぐらい、フレアから圧力のような物を感じる。それは他の客達も同じようで、観客や実況すらも静まり返り勝負の行方を見守っている。
『あははっ‼︎面白い‼︎貴様の本気見せてみろ‼︎』
『行くぞ』
リオンは本当に楽しそうに笑いながら武器を構えた、それにフレアは静かにそう言った。
ドガアアアアアアアアアアッッ‼︎‼︎‼︎‼︎
闘技場に轟音が響き渡った、フレアが言葉を発した次の瞬間にはコマ落としの様に気づいたら、さっきまでリオンがいた位置にフレアが立っていた。そこから放射状に地面が深く抉れていて、その先には恐らくリオンであったであろう肉片が転がっているが、それもすぐに光の粒になり消えた。
誰も言葉を発さずに闘技場は静寂に包まれた。
『はっ!えっと、武闘大会格闘の部、優勝はフレア選手です‼︎』
我に返った実況がフレアの勝利宣言をして、その直後に歓声が爆発した。
皆口々にフレアを褒めたたえ、さっきの静寂が嘘の様に、闘技場は歓声に包まれた。
フレアは歓声に手を振って応えながら、試合場を退場して行った。




