第四十一話 武闘大会本戦①
次の日、宿で朝食を済ませた俺達は闘技場に向かっていた。
「早く戦いたいな」
「とりあえず、トーナメント表を見ないとだろ?」
トーナメント表は、今日の朝に発表の為まだ誰が1回戦の相手か分からないのだ。
闘技場についた俺達は受付に行ってトーナメント表を受け取った。トーナメント表はAブラックとBブロックにそれぞれ8人ずつ分かれており、決勝はAブロックとBブロックで勝ち上がった者同士で行う予定だ。
午前中にAブロックの4試合で午後にBブロックの4試合が、行われる
「我は午前中最後の4試合目で、相手はチャスと言う奴だな」
「うーん、予選のどのグループ奴だかは、分からないな、まあ時間まで客席で一緒に見てるか」
俺達は客席に向かった。
客席についてから暫く待っていると闘技場内にアナウンスが響き渡った。
『長らくお待たせ致しました、まもなく武闘大会を開始したいと思います、まず始めにエスモンド・キャベンディッシュ国王様による開会宣言です』
するとモニターに、レーナの父である、国王様が映し出された。
『国王のエスモンド・キャベンディッシュだ、ここにいる皆は試合を見にきているのだから長々と私が話しをする必要はないだろう、選手の諸君良い戦いをしてくれることを期待している‼︎ここに武闘大会開催を宣言する‼︎』
その言葉の直後に、観客達から大きな歓声が上がった、凄い盛り上がり様だ。
「こんなに盛り上がるのか」
「数少ない娯楽ですからね」
するとモニターに実況席のような場所に座った獣人の女性が映し出された。
『皆さん盛り上がってますかあああぁぁぁ‼︎実況を担当させて頂くビセットです‼︎よろしくお願いします‼︎そしてこちらは解説をしてくれる現役Aランク冒険者で前回の武闘大会、格闘部門準優勝のハロルドさんです‼︎』
『紹介にあったハロルドだ、どうぞよろしく』
次にモニターに映ったのはダンジョンで声をかけてきた男だった。
「あの人結構有名な人だったのかしら?」
「どうだろうな、でもわざわざ解説に呼ばれてるし、準優勝なら有名なんじゃないか?」
2人のアナウンスは続いていた。
『ハロルドさんは、今回出場しなくてよかったんですか?』
『ああ、前回の大会でリオンにボコボコにやられたからな今回はパスだ』
『結構善戦してたじゃないですか〜、おっと、選手が入場してまいりました‼︎Aブロック一回戦はベイルvsカサルです‼︎』
出てきたのは茶髪の剣士、俺とリアナが冒険者になる前に出会った冒険者だった。
そうだ、確かベイルって名前だったな。
ベイルは剣を抜くと正眼に構えた。もう1人のカサルと言う男は双剣持ちかなり前傾姿勢の構えをとっている。
『武闘大会Aブロック第1試合始め‼︎』
マイクを持った、職員のような男が試合場の外から開始の合図を出した。その職員はすぐに闘技場の中に引っ込んだ。
カサルは開始の合図と同時にベイルに向かって駆け出した。
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<カサル視点>
クカカッ、こいつの戦い方は予選で既に見てるからな、基本に忠実に攻撃して、受けては相手の隙を逃さずに倒す。なら、隙を与えずに開始と同時に速攻で手数で押し切って倒せばなんの問題もねえ。
俺は双剣を抜くと両手に持って、すぐに突っ込めるように構える。
『武闘大会Aブロック第1試合始め‼︎』
俺は真っ直ぐにベイルに向かって走る。速攻で終わらしてやる。
だが ベイルとの距離が残り5m程の所で、ベイルは正眼の構えを解くと、剣を振りかぶり俺に向かって投げてきやがった。
「うおっ‼︎」
俺は予想外の行動に動揺して反応が遅れるが、顔に向かって飛んできた剣をなんとか避けた。
しかしそのせいでベイルから目を離してしまい、気づいた時には1本の短剣を持ったベイルが目の前にまで迫っていた。
「はっ‼︎」
気合いと共に放たれた斬撃を体を逸らして避けようとするが躱しきれずに右肩を深く斬られてしまった。
「くそがっ‼︎戦い方が予選と全然ちげえじゃねえか!」
俺はかなりの血が出ている右肩を、抑えながら悪態をついた。
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<レン視点>
ベイルは腰の後ろに隠してあった短剣を構えて相手を見据えている。
『くそがっ‼︎戦い方が予選と全然ちげえじゃねえか!』
カサルの悪態がスピーカーを通して聞こえてきた。
『最初の攻撃に成功したのはベイル選手です‼︎いきなり剣を投げるという、奇襲でカサル選手にダメージを与えました‼︎』
『ベイルは予選では基本に忠実な戦い方をしてたんだがな、勿論それはカサルも見てただろうから余計奇襲が効いたのかもな』
『なるほど、する筈が無い、と言う思い込みが反応を余計に遅らせたと言うことですね‼︎』
なるほどな、俺も予選を見ただけだが、ベイルがああ言う戦い方をするとは思わなかったもんな。
「全て計算通りって事か?」
「恐らく狙ってやっただろうな」
フレアは試合場を見ながら答えた。
試合場では、ベイルがカサルに追撃をしている。
『くっ!』
カサルは左手だけでベイルの短剣を防いでいる。右肩を怪我した状態での戦闘はかなりキツイようで、徐々に後退している。
『妙だな、怪我をして動きが鈍ってるカサル相手ならもっとダメージを与えられそうなものだが』
『ベイル選手はわざと手加減していると?』
『ほら見てみろ、今もカサルが右肩を庇って体制を崩したのに深くは攻め込まない、動きも大振りになってるしな』
カサルはなんとか堪えているが、どんどん追い込まれている、するとベイルが大きく短剣降ったため、カサルはに大きく後ろに下がった。
カチャッ!
『うおっ‼︎』
するとカサルが何かを踏み大きく体制を崩してしまう。そこにはベイルが最初に投げた剣が転がっていた。
その隙を逃さず、ベイルはカサルの首に短剣を突き刺し、切り裂いた。倒れたカサルは光の粒になり消えた。
『Aブロック第1試合の勝者はベイル選手です‼︎』
実況の勝利宣言で会場の盛り上がりが増す。
『なるほどな、最後の一撃で確実に倒す為にわざと大振りに降って、後ろに下げさせていたのか』
『カサル選手は剣の場所まで誘導されていた訳ですね‼︎』
ベイルは歓声に笑顔で手を振り返しながら退場していった。




