第三十五話 ダンジョン探索
地図屋についた俺達は中に入りカウンターに座っていたお爺さんに声をかけた。
「ダンジョン内の地図を買いたいんだが」
「いらっしゃい、ダンジョン内の地図なら1階から10階までが1枚5銀貨、11階から20階までが1枚50銀貨、21階から25階が1枚80銀貨、26階から30階までが1枚1金貨になるよ」
1金貨って地図1枚で10万円もするのか、でもどうせ必要になるだろうしな。
「全部の地図をくれ」
「全部?」
「そうだ」
爺さんは驚いた表情をしたがすぐに答えてくれた。
「まあ、持っといて損をするものでもないしのう、全部で金貨14枚と銀貨50枚だ」
「はいよ」
爺さんは俺から受け取った代金を数えはじめた。
「はい、確かに」
「おう、それじゃあ」
「気おつけてのう」
地図を買った俺達は店を出て歩き始めた。
「後はテントとか野営道具を買わなきゃな」
「そうね、最下層までどれぐらいかかるのかしら」
俺は頭の中で昨日の移動距離を大体で計算してリアナに答えた。
「道順が分かった帰り道で1つのフロアを抜けるのに1時間かからないぐらいだったから、だいたい30時間ぐらいとして、全部を一階を抜けるペースで進めば2日で下まで行けるが、下に行けば苦戦する魔物も出て来るだろうし、正直どれくらいかかるかはわからないな」
「結構かかりそうですね」
「まあ、問題は無かろう、それに明日から向かうなら武闘大会とやらには間に合うだろうしな」
フレアの言葉で武闘大会の事を思い出した。
「そういえば、レーナとリアナはどうする?フレアは出場する気満々みたいだが」
「私も出場してみようかしら、自分がどのくらい戦えれるのか気になるし、それに対人戦の訓練にもなるしね」
「私は遠慮しておきます、攻撃魔法はあまり得意ではないので」
まぁレーナはしょうがないか、うーんでもそれならダンジョンボスに挑むのは大会の後の方がいいか?
「それなら、俺も出場しようかな、そこで提案なんだけど明日からのダンジョン攻略はとりあえず20階ぐらいを目安にして切り上げないか?大会前に無理するのもあれだし、大会の為の特訓とかもしたいだろ?」
武闘大会があるのは22日後だから問題はないだろう。
「そうね、私はそれでいいわよ?」
「私も大丈夫です」
「我には特訓など必要ないが構わないぞ」
全員から了承を得たのでこの予定で行くことにした。
「それじゃあ、テントとか野営道具を買って今日は明日に備えて宿でゆっくり休もう」
俺達は明日の準備に向かった。
次の日、昨日買った荷物はいつも通り俺の収納にしまい、俺達はダンジョンの入り口に到着した。
「よし、今日の内に出来るだけ進みたいな」
「そうね、レーナもあんまり野営には慣れてないし最初は短めがいいしね」
「心配させてすいません」
「レーナよ、最初は誰でもそんなものだ」
俺達はダンジョンの中に入った。
「フロスト・ランス」
「そりゃっ」
リアナの魔法とフレアの打撃で蛇の魔物は沈黙した。現在俺達は10階の攻略を進めている。
「すいません、私、お役に立てなくて」
「大丈夫よ、怪我をしても治療して貰えるってゆうのはとても心強いのよ」
「うむ、気持ちも大分楽になるからな」
落ち込んでいるレーナをリアナとフレアが慰めている。ここら辺の魔物では怪我をしない為レーナの出番がないのは仕方ない事だしな。
「もう少し進んだら魔物のこないセーフエリアがあるからそこまでいったら昼休憩にしよう」
時刻は昼を大分過ぎてしまったが落ち着いて食べれる場所がなかった為しょうがないだろう。
しばらく進むと広場のように開けた空間にでた、そこにはいつかのテントと冒険者らしき人物達がいた。
俺達は空いてる場所にシートを引きその上に収納から料理を出す。
「わぁ、凄いですね、出来立てみたいです」
「本当に便利な魔法ね」
「うむ、流石レンだ」
俺が出した料理を見て感嘆の声を上げる、収納魔法に仕舞えば物の時間は進まないのだ。この料理は昨日店で大量に作ってもらって、それを収納してきたので俺達は出来立てを食べることができる。
「うまいな」
「そうですね」
俺達は腹を満たして攻略を再開した。
「まだ問題無く倒せてるわね」
「そうだなっと、またきたぞ」
前から来たのは1匹蜘蛛の魔物だった、でも昨日見たのよりもサイズは一回り小さい。
「マジック・ゲート」
俺はその一撃で終わると思ったが、蜘蛛が横に動いて俺の飛ばした石を躱した。
「っ‼︎マジックゲート」
攻撃をかわした蜘蛛は俺に向かって飛びかかってきた為俺は急いでマジックゲート使い蜘蛛を撃ち落とした。
「まさか躱されるとは」
ドパン‼︎
「きゃっ‼︎」
後ろから破裂音とリアナの悲鳴が聞こえて急いで振り返った。
そこには頭を少し屈めた状態のリアナと丁度着地するところのフレアがいた。
「どうした、大丈夫か?」
するとリアナが答えてくれた。
「ええ、大丈夫よ、フレアが助けてくれたから」
「リアナ油断しすぎだもっと周りに気をくばるんだ」
フレアの忠告にリアナは素直に頷いた。
「何があったんだ?」
「リアナの頭上から蜘蛛の魔物が飛びついてきてな私が弾き飛ばしたのだ」
フレアの視線の先を見ると岩の壁に潰れて張り付いている蜘蛛の魔物がいた。
「魔物が強くなってきてるみたいだな、みんな気を引き締めていこう」
「わかったわ」
「はい」
「うむ」
俺達はさらに下を目指した。
その後の攻略は問題無く進み無事に15階のセーフエリアまで辿りつくことができた。今日はここで野営をする事にした広場にはまあまあの数の冒険者達がいた。
ここのダンジョンの階層は広く複数の道が存在する為探索中はあまり冒険者には合わない。
「それじゃあ、レン荷物出して貰える?」
俺は昨日買った野営道具を出した。テントは大きめの3人でなれるテントと1人用のテントの2つを用意した。
「それじゃあ、準備するか」
俺達は野営の準備を開始した。
「おいおいおい、なんでこんなところにガキがいやがるんだよ?」
「てめぇーらみたいなのがスペースとってんじゃねえよ」
声のした方を見るとガラの悪そうな5人の冒険者が俺達に向かって声をかけてきていた。
「ちっ、面倒臭いな」
俺は思わず悪態をついてしまった。
「ああ?なんだとガキが俺達とやんのか?」
「まあ、今ならまだそこの女共を一晩貸してくれるなら許してやるけどよ」
「おら、どうすんだ?」
最初からそれが目的だろうが。そいつらはニヤニヤとゲスな顔でリアナ達を見ている。周りで野営の準備をしていた他の冒険者達も何事かと俺達に注目し始めている。
「餓鬼とは我の事を言っているのか?」
フレアがそいつらに問いかける。
「てめぇーら全員だよ、まあお前は特にガキみたいだかな、ギャハハハハハ」
それにつられて他の4人の冒険者達も笑い始めた。
「あーあ、やっちまったなあいつら」
「馬鹿な奴らね」
「大丈夫でしょうか?」
レーナが心配そうに聞いてくるが問題ないだろう。
「フレア、一応いきなりは殺すなよ、正当防衛なら何やってもいいから」
「全く、人間の決まりごとは面倒臭いな、了解した、先に準備を進めててくれ」
「わかったわ」
馬鹿共はフレアに任せて俺達は野営の準備を進める事にした。
「さて、それじゃあお前達の誰かが私に少しでも傷をつけることができたらなんでも言うことを聞いてやろう、だがお前達が武器を抜いた時点で先に仕掛けてきたのはお前達になる、それで正当防衛が成立する為命の保証はできんぞ?」
俺は準備をしながら横目で様子を伺っていたが、男達はフレアのその言葉を聞いても負けるはずがないと思っているのか、ニヤニヤと馬鹿にした様にフレアの事を見ている。
「ははっ、そりゃあ怖いな、まあ頑張ってくれよ」
男達は笑いながら武器を抜いた。
「抜いたな?」
俺の位置からフレアの表情は伺えないが恐らく凶悪な笑みを浮かべていることだろう。




