第三十一話 バルネス
レーナが仲間になるにはどうにかしなければならない問題が残ってるな。
「さて、レーナが仲間になったのはめでたい事だが国王様を説得しないとな」
「そうね、どうやって説得しようかしら」
「私が正直に自分の気持ちを話します、まずはそれで話しを聞いて貰いましょう」
「分かった、それじゃあ国王様のところに行くか」
俺達は部屋を出て国王様のいる部屋に向かった。
「お父様マグダレーネです、お話ししたいことがあるのですが」
レーナはそう言って扉をノックした。
「ああ、入ってくれ」
中には俺達が出て行った時と変わらずに国王様とアウグスト様がいた。俺達は席には付かずに立って国王様に話しかけた。
「お父様、大切な話しがあります」
「なんだ?」
レーナの真剣な様子に国王様は姿勢を正して向き直った。
「レンさんとリアナさんは近々バルネスに行くらしいのです、それで、私もレンさん達と一緒に行きたいのです」
「それはつまり冒険者になると言うことか?」
国王様はレーナの顔を鋭い眼光で睨みつけながら言ってきた。
「はい」
それにレーナはしっかりと頷いて返事をした。
「マグダレーネ、お前は自分が王女と言うことを自覚しているのか?」
「分かっています、それでも私はお二人と一緒に行きたいのです」
「本気なんだな?」
「はい」
国王様とレーナは暫くお互いに目を離さずに向き合っていた。だが国王様が脱力して椅子深く腰掛けると言葉を発した。
「はぁ、分かった、認めよう」
「えっ‼︎」
レーナが驚きの声を上げた、レーナだけではなく俺とリアナそれにアウグスト様も驚いている、まさかこんな簡単に許可がでるとは思っていなかったからだ。
「よろしいのですか?」
国王様にそう声をかけたのは、レーナではなく国王様の隣で静かに見守っていたアウグスト様だった。
「本心では行かせたくないのだが、今回の騒動でマグダレーネはこの王宮から誘拐されたのだ、またいずれ同じような事があるかもしれない、それなら誘拐犯やボニフェースを倒してくれたレンとリアナが一緒にいた方が安全かと思ってな、冒険者は危険な仕事なのは分かっているがマグダレーネは妙に頑固でな、私が許可しなくても王宮から勝手に抜け出してついて行くぐらいやりそうだと思ってな」
「ありがとうございます、お父様」
「必ず元気な姿で帰って来るのだぞ?」
「はい」
すると国王様は俺とリアナの方を向いた。
「レン、リアナ、マグダレーネの事をよろしく頼む」
「はい、お任せください」
「はい」
俺とリアナはしっかりと返事をした。
「しかしマグダレーネ、外で王族と知られる事はまずいぞ?」
「はい、ですので私は冒険者の間はマグダレーネではなく冒険者のレーナとして生きていこうと思います」
「分かった、気をつけるだぞ?」
「はい」
すると国王様は思い出したように言ってきた。
「そういえば、バルネスといえばそろそろ武闘大会の時期では無いか?」
「そうですね、来月に開催されます」
「武闘大会ですか?」
俺と疑問にアウグスト様が答えてくれた。
「知らないかい?バルネスでは年に1回武闘大会が開かれていて、魔法の部門と格闘の部門の2つがあるんだ、格闘と言っても魔法の使用禁止以外のルールは無いんだけどね」
「なるほど」
それなら強い奴が集まってそうだな、もしかしたら新しい仲間が見つかるかもな。
「バルネスに行くなら色々と分かると思うよ、色々な所から出場や観戦の為に人が集まるから、確か国王様も観戦しに行く予定ですよね」
「そうなのですか?」
「ああ、かなり規模のでかい祭りでな、国王として行かなければならないのだ、だから案外早い再開になるかもしれんな」
その後少し雑談した後いい時間になったので俺とリアナは宿に帰ることにした。
「それじゃあ、俺達はこの辺で失礼します、レーナ1週間後ぐらいに出発する予定だから準備しといてくれ」
「失礼します、またねレーナ」
俺達は挨拶をして別れた。
あれから1週間、レーナとお茶会をしたりリアナに教わりながら乗馬の練習をしたりして旅の準備をしてすごした。流石にレーナの冒険者登録は王都でするとばれる恐れがあるのでバルネスのギルドですることにした。そして今はレーナを王宮まで迎えにきて国王様とお別れをしている。レーナの格好は何時も王宮で見ていたドレス姿ではなく真っ白のローブの様なものを着ていて良く似合っている。
「それではお父様、行ってまいります」
「ああ、気をつけてな」
出発まで1週間の時間があったので別れはすぐに済ませ、俺達は借りた馬が止めてある所まで向かっている。
「でもレーナが馬に乗れてよかったよ、移動がかなり早くなるからな」
「乗馬はもしもの時の為にと教えられていたんです、何かあった時に逃げられるように」
「ああ、そうゆう理由だったのね」
「はい、でもこんな形で役に立つなんて思ってませんでした」
話している内に目的地に着いた。
「よし、それじゃバルネスに向かいますか」
「ええ」
「はい」
俺達は、1人一頭の馬に乗りバルネスに向かって出発した。
「バルネスまでどれぐらいだっけか?」
「馬ですと5〜6日といった所です」
「てゆうとカルダムから王都までの距離と同じぐらいよね?」
「それぐらいじゃないか?」
俺達は雑談をしながら進んでいった。バルネスまでの道のりは穏やかに進み、俺達は特に問題も無く6日後の昼前頃にバルネスに着くことができた。
「やっと着いたな」
「長かったわね」
「こんな長旅初めてしたので結構疲れました」
「今日はギルドでレーナの登録をしたら宿をとってゆっくり休むか」
俺達は街の入場検査の列に並んで街に入ってギルドに向かった。
「それじゃレーナの登録を済ませちゃうか」
「そうね」
「はい」
ギルドについた俺達は受け付けに向かいながらは言った。
「はい、これでレーナさんのギルド登録が完了致しました」
「よし、それじゃあ飯でも行くか」
「あの、レンさん達は一緒に冒険者をやられるんですよね?」
受付から離れようとした俺達に受付嬢が声をかけてきた。
「ああ、そうだぞ」
「パーティー登録はなさらないのですか?」
「パーティー登録?」
「はい、されていませんよね?」
そういえばそうだ、個人の登録をした後に緊急依頼が起きてその後すっかり忘れていた。
「そういえば、すっかり忘れてたな」
「丁度いいし3人で登録しちゃいましょ」
「そうだな、それじゃあ3人で登録してくれ」
「分かりました、ギルドカードをお預かりします」
俺達はギルドカードを受付嬢に渡した。
「パーティーについての説明をお聞きになられますか?」
「ある程度の事は前に聞いたから、俺達のパーティーのランクが何なるのかと後どうやったらランクが上がるかを教えてくれ、基本的な説明はレーナには後でするから」
「はい、分かりました」
レーナが頷きながら答えた。
「それでは説明させて頂きますね、まずレンさん達のパーティーランクはCランクになります、パーティー登録の際の最初のランクは登録されている方のランクで決まるので、例えば全員がBランクだった場合はパーティーランクもBランクになります、ただしパーティー内のランクが違う場合はそのパーティー内のランクを見て決めさせて貰います、今回の場合レンさんとリアナさんはBランクですがレーナさんがFランクの為このランクになっています、Bランクの方とFランクの方がパーティーを組んだ場合、中間のDランクになるのですがレンさん達はBランクが2人なので1つ上のCランクになっています」
「なるほどな」
「次にランクアップの方法は個人のランクアップと同じで依頼をこなしたりギルドへの貢献度で決めさせて貰います、ただしパーティーランクなので依頼はパーティーで受けた物しか反映されませんので、後は個人のランクが上がってもパーティーランクがランクアップします、例えば登録時にパーティーメンバーが全員BランクでパーティーランクがBになったとします、だけど個人での依頼などで全員がAランクになった場合そのパーティのパーティランクはAランクになります」
俺は確認の為に聞いた。
「つまり、自分達のランクよりもパーティランクが上になるのはパーティーとしての貢献度を上げた場合ってことか?」
「その通りです」
すると受付嬢が別の質問をしてきた。
「パーティー名はどうなさいますか?」
「パーティー名?」
「はい、パーティーに対しての依頼をするときやそのパーティー全員を指すときなどの為に決めているものです。それとパーティー名は1度決めたら変えられないので慎重に決めて下さいね」
俺はリアナとレーナの方を向いて聞いた。
「どうする?」
「すぐには思いつきませんね」
「私も」
俺達が悩んでいると受付嬢が声をかけてきた。
「それでしたら、今日の所は仮登録にしておいて後日決まったら言って頂ければ登録しますので、ですがまだしっかりと登録していない状態なので依頼をしても貢献度などはプラスされませんので」
「それじゃあ、それで頼む」
「分かりました、それでは後日決まったら言いにきて下さい、私で無くてもギルドカードを渡して説明して頂ければ通じますので」
「ああ、ありがとな」
俺達はギルドカードを受け取ってギルドの外に出た。
「それじゃ、今度こそ飯行くか」
「そうね」
「はい」
俺達は飯屋を探して歩き始めた。暫く歩いているとリアナが顔を近づけてきて小声で話しかけてきた。
「レン、誰かにつけられてるわ」
「なに?本当か?」
「ええ、視線を感じて後ろを確認してたらずっとついてきてる奴らがいるわ」
「どうかしましたか?」
するとレーナも話しに入ってきた。
「リアナが言うには誰かにつけられてるらしい」
「えっ、全然気付きませんでした」
「それでレンどうする?」
俺は少し考えてから言った。
「このままつけられてても何も分からないから、ちょっと裏路地に入って誘き寄せてみるか」
「分かったわ」
「分かりました」
俺達は裏路地に入って何度か角を曲がってから後ろに声をかけた。
「おい‼︎つけてるのは分かってる‼︎俺達に何の様だ‼︎」
すると角から冒険者らしき装備をつけたチンピラみたいな男が4人出てきた。
「気づかれてたか、いや別にお前には様わねえよ、その2人の姉ちゃんにちょっと相手して貰いたくてな」
男が下卑た笑みを浮かべながら言ってきた。
「お前ら登録したばかりだろ?先輩が手取り足取り教えてやるよ、あははっ」
最初に声を発した奴とは別の奴が言ってきた。目当てはリアナとレーナか、それにしても胸糞悪い連中だな。俺の仲間を気持ち悪い目で見やがって。俺が収納魔法でさっさと片付けようとするとリアナが手を出してきてそれを制した。
「リアナ?」
「私がやるからレンはレーナと下がってて」
「了解だ、殺すなよ?」
「それぐらいの手加減できるわよ」
リアナは余裕の表情で言ってきた。
「リアナさん気をつけて下さいね」
「こいつらぐらいすぐ終わるわよ」
俺とレーナは一歩後ろに下がった。
「ああ?舐めてんのか?てめえ1人で俺らとやろうってのか?」
「舐めてるのはどっちよ、気持ち悪い顔で見てきて、不愉快なのよさっさと消えなさい」
リアナのその言葉に男達は頭に血が上ったのか全員が腰にさしてあった剣を抜いた。こいつら沸点低いな〜、てゆうか全員が剣ってパーティーバランス悪くないか?俺達もあんま人のこと言えないけど。
「舐めやがって、ぶっ倒した後に楽しませて貰うとするか‼︎」
「あはははっ、1人で勝てるとか本当に思ってんのか?登録したての新人が」
こいつらなんか勘違いしてるけど、登録したてはレーナだけなんだよな、まあレーナ1人でもこんなチンピラ回復魔法の過剰回復で倒せると思うけど。するとリアナが手をかざして魔法を発動しようとした、だがそれはチンピラ達の後ろから聞こえた声で中断された。
「おお‼︎やっと見つけたぞ‼︎」
チンピラ達も振り返り体の位置がずれたことで、声を発した主を見ることが出来た。
「いや〜以外と見つかるものだな‼︎」
そこには腰まで伸びた燃える様な真っ赤な髪にそれと同色の瞳をもつ1人の幼女がいた。




