第二十九話 目標
王宮についた俺達は最初に国王様とアウグスト様と会った部屋に案内された。中には国王様とアウグスト様、それにレーナも椅子に座って待っていた。
「おお、よくきてくれた」
「久しぶりだね」
「お久しぶりです国王様、アウグスト様、レーナも元気になったんだね」
「よかったわ」
国王様とアウグスト様の挨拶に答えながら俺達も会いてる席に座った。
「今日はこないだのお礼と色々と報告があってな」
「報告?」
「そうだ、捕らえた帝国兵やボニフェース伯爵の付き人のアドニスを尋問して色々と分かったことがあってな、まず帝国がマグダレーネを誘拐しようとした目的はマグダレーネの異常な回復力を持つ体だった、あの時ボニフェースが使用した生物兵器の様な物を帝国は開発していて、それの開発にマグダレーネの回復力を解析して取り入れ様としていたらしい」
俺は気になったことを国王様に聞いた。
「あれ?アウグスト様を襲ったのはボニフェースでは無かったのですか?」
「いや、それもボニフェースの犯行だった、元々の予定は私と親しいアウグストを殺して、王宮が混乱しているすきに王女を誘拐するつもりだったらしい、だがそれはレンとリアナが防いでくれたからな、予定を変更してパーティの日の夜にしたらしい。その時なら沢山の貴族が集まるパーティ会場の護衛にかなりの数の兵士と騎士が向かわなければならなかったからそこを狙ったのだろう」
「なるほど、そう言う事ですか」
俺は納得して、そう言葉を返した。
「それとボニフェースの使った生物兵器の入ったクリスタル、あれを渡した人間の名前が判明した、私も初めて聞いた名前だったがどうやらそいつは生物兵器を開発した人間らしくてな、ここ数年で力をつけてきた貴族で、そいつの名前はクラウス・フェルモンドと言うらしい、帝国の現国王が生物兵器に目をつけて帝国の主力にしようとしているらしくてな、そいつはかなり高い地位にいるらしい」
その名前を聞いた瞬間リアナの表情が強張ったがすぐに元の平静な顔に戻った、だが国王様達の方からは見えないだろうが机の下で握りしめた拳が震えている。リアナの本名はオフィーリア・フェルモンド、名字がたまたま同じという可能性もあるがリアナの反応からすると恐らくリアナの血縁者なのだろう。
「それと国境の帝国側に集まっていた帝国兵は王女誘拐は失敗したと判断したのか解散したらしい、何もされてないのにこちらから何かする訳にもいかず何も出来なかったがな、ボニフェースや捕らえた帝国兵の事を言っても知らぬ存ぜぬを通されるだろう」
説明は終わりなのか国王様はここで一度言葉を切った。
「とりあえず、報告は以上だな、次にこれが礼だ受け取ってほしい」
俺は国王様から布の袋を渡されてそれを受け取った。その中には白金貨が何枚も入っていた。
「こんなにですか‼︎」
「王女の誘拐を阻止してくれたのだ、そちらが望むならもっと多くても構わないぞ?」
「いえ、十分過ぎます、有り難く頂きます」
「ありがとうございます」
俺とリアナは礼を言って、俺は布の袋を収納魔法にしまった。
「さて、二人がこの後暇ならマグダレーネの相手をしてやってほしい、二人が来るのを楽しみにしたいのでな」
「お父様‼︎」
レーナは恥ずかしいのか顔を赤くしている。
「お二人がよろしかったら、私の部屋でお話しをしませんか?」
「ああ、今日は暇だから問題ないよ」
「ええ、行きましょうか」
レーナは嬉しそうに笑顔で席を立った。
「それではお父様、アウグスト様失礼します」
「失礼します」
「失礼します」
俺達は挨拶をして部屋を出た。
廊下を歩いて部屋に向かっている途中俺はさっきの事が気になったので、レーナには先に部屋に行ってもらう事にした。
「悪いレーナ、少しリアナに話しがあるから、先に部屋で待っててもらっていいか?」
「はいわかりました、ではお部屋で待ってますね」
レーナは不思議そうにしていたが先に部屋に向かってくれた。
「リアナ、答えたく無いならいいんだがさっき国王様の話しに出てきた奴って」
「ええ、私の父よ」
リアナはすぐに答えてくれた。するとリアナは真剣に俺の目を見つめて行ってきた。
「レン、私は私のお母様を殺したあの男が許せない、それに私の事もいずれ連れ戻そうとしてくるでしょう、だがら私はあの男を殺して決着をつけたいの、だけどこれは私の個人的な問題だからレンを巻き込む訳にはいかないわ、だから一緒に冒険するのはここま「リアナ‼︎」」
俺はリアナの言葉を途中で遮った。
「俺はリアナがどんな状況だろうと1人にする事はない、リアナがそいつを倒しに行くと言うなら俺も協力するよ」
「さっきの国王様が言ってたことをもう忘れたの⁉︎父を倒すって事は個人で帝国に喧嘩を売る事と同じなのよ⁉︎」
「忘れてねえよ、それに忘れてるのはお前だろ、赤の森で言っただろ?1度助けちまったんだからそれを途中で投げ出すつもりはないって、俺のその言葉にリアナも了承してたしな」
俺を止めようとしてくるリアナにそう言い返した。
「なっ‼︎それは火龍との勝負の話しでしょ?」
「よく思い出せよ、俺はリアナが追われてた3人から助けてその延長線で火龍からも助けたんだ、つまり3人を差し向けたのはリアナの父だからその問題はまだ片付いてないんだ、だから俺はリアナを助けるぜ」
「そんな屁理屈で」
俺は肩を竦めながらリアナに言った。
「屁理屈でもなんでも、俺はリアナに協力するよ」
するとリアナは俺が引かないと判断したのか溜息を吐きながら了承した。
「はぁ、もうわかったわよ‼︎そのかわりどうなっても知らないわよ‼︎」
「はいはい」
俺は返事をしながらレーナの待つ部屋に歩き始めた。
「ありがとう……」
「仲間なんだから気にすんな」
後ろからついて来たリアナが呟くように言ったお礼に俺は振り向かずにそう返して部屋に向かった。




