第十七話 国王様
「国王様が?」
「はい、自分も詳しい内容は聞かされておりませんので同行して頂けると助かります」
まあ、別に予定は無いから問題無いが、一体なんの様だ?アウグスト様関連ぐらいだろうけど。
「まあ、行かないわけにはいかないか」
「私は別に良いわよ、断ると余計に面倒臭そうだしね」
ネルソンは黙って俺達の返事を待っている。
「分かった、それじゃあ王宮まで案内してくれ」
「ありがとうございます、それではついてきて下さい」
俺達はネルソンの後に続いて王宮に向かった。
「国王様は既にお待ちらしいのでこのまま直接国王様がいる部屋にご案内します」
俺とリアナはネルソンに案内されて辿りついた王宮の中を歩いていた。
すると前から高価そうな服を着た男とその男の斜め後ろに付き従うように歩く痩せ気味の男が歩いてきた。
「おいお前、そちらの方達は?」
高価そうな服を着た男がネルソンに声をかけた。
「はい、国王様より王宮に招待された冒険者の方達です」
「そうか」
それを聞いたその男は眉根を寄せたがすぐに元の顔に戻り通り過ぎていった。すれ違い様に俺とリアナの事を睨んでるように感じたがなんだったんだ?
「なあ、さっきの人は誰なんだ?」
「あの方はメンデル・ボニフェース伯爵です、気分を害してしまったのなら申し訳ありません、あの方は王宮に冒険者や平民の方を入れるのをこころよく思って無いらしいので、とても気位の高いお方なのです」
なるほど、まあ貴族ならそんな事を思う奴もいるか。
「気にしてないから大丈夫だ」
「そう言って貰えるとありがたいです」
その後すぐに部屋についた。ネルソンは部屋にノックをして、俺達はその後に続いた。
「失礼します、レン殿とリアナ殿をお連れしました」
「ご苦労であった、お前は下がって良いぞ」
「はい、失礼しました」
部屋の中には椅子に座って寛ぎながらお茶をしている、恐らく国王様であろう人とアウグスト様がいた。
「良くきた、私が国王のエスモンド・キャベンディッシュだ、よろしく」
「Cランク冒険者のレンと申します」
「同じくCランク冒険者のリアナです」
俺とリアナは頭を下げながら自己紹介をした。
「2人とも無事にランクアップ出来たみたいだね」
「こっちにきて座りなさい、話したい事があるのでな」
俺とリアナは言われるままに席についた、円形の机を頂戴4人で囲む形だ。
「まず、今回2人に来て貰ったのはお礼を言いたくてな」
「お礼ですか?」
「ああ、親友の息子を守ってくれてありがとう、感謝する」
そう言って国王様は頭を下げてきた。
「頭を上げて下さい、国王様」
「そうですよ、私の為に頭をお下げになるなんて」
俺とアウグスト様で慌てて頭を上げるように言う。
「礼をしているのだ、頭を下げるのは当たり前であろう?」
「もう大丈夫です、十分伝わりましたから」
国王様が頭を上げてくれると、その後にアウグスト様が話し始めた。
「2人には一応報告しておこうと思って呼んだんだけど、王都に向かってる貴族の中で襲われたのは私だけだったみたいなんだ」
「アウグスト様だけですか」
「そう、相手の目的もなんで私だけだったのかもまだ何も分かってないから、念のため2人にも伝えておこうと思ってね」
「そういう事ですか、何か心当たりはないんですか?」
俺の質問にアウグスト様は悩んでから声をだした。
「私の他の貴族と違うところと言うと国王様と親しくして頂いている事ぐらいしか思い浮かびませんね」
「それだけで狙う理由になるとは思えないがな」
「そうですか」
国王様の言う通りで狙う理由としては薄いと思う
「まあその辺はこっちで調べておくさ、念のため注意しといてくれって言うことを伝えたくて呼んだんだ」
「分かりました、注告感謝します」
国王様はそう言った後に続けて言葉を発した。
「それと2人には頼みたい事があってな」
「なんでしょうか?」
すると国王様が、真剣な顔で言ってきた。
「俺の娘に会って貰いたいんだ」




