第十六話 依頼達成
「裏ギルド?」
「ああ、知らないか?」
「知らないな、何なんだ?裏ギルドって」
俺の問いにエドガーは答えた。
「普通のギルドじゃ受けて貰えないような仕事を請け負ってる奴らだ、窃盗から殺し、今回みたいな野盗に見せかけた暗殺まで、表のギルドじゃやってくれない依頼を受けてくれる奴らだから、ついた名前が裏ギルド、勿論そんな奴ら認められる訳がない、だから各国で見つけ次第捕まえる事になってるが、貴族の中にも利用している奴がかなりいるらしくてな、なかなか捕まらないんだ、そもそも見つけるのも大変でな」
「なるほど、つまり犯罪組織だろ?」
「まあ、簡単に言うとそうだな」
俺達はアウグスト様達の所に言って今話していた憶測を話した。
「不味いですね、誰かに雇われたのだとしたら王都に向かっている他の貴族も狙われている可能性があります、少しペースを上げて向かいますか」
「分かりました」
その後俺達は俺の収納にいれてあった修理道具で車輪を予備と取り替えて王都に向けて出発した。
「裏ギルドの奴らって全員追い込まれたら自殺するような奴らなのか?」
「いや、恐らく最後に自殺した奴は訓練された奴だったんだろうな、最初に襲ってきた奴らは腕は良かったが尋問すれば吐いただろう、最後の奴はあいつらが失敗した時のために見張りと、後始末をする為に裏ギルドの上の奴らに派遣されたんだろ、裏ギルドには幹部みたいな奴らがいてそいつらが仕切ってるらしいからな、野盗のふりして襲ってきた奴らはただの構成員だろうな、それと最後の奴みたいに裏ギルドで特殊な訓練をされた奴もいるらしい、訓練っていっても戦闘の訓練以外に弱い奴には洗脳に近い事をしているらしいがな、だがそいつが来てたって事はそれだけ雇い主が大物の可能性があると思う」
「まあ、普通の訓練で自殺するような人間に出来るはずないよな、それと大物ってやっぱり貴族か?」
俺とエドガーが話しているとアウグスト様とリアナも話しに加わってきた。
「その可能性が高いだろうね、王都で何か起きていないか心配だよ」
「貴族って言っても王国のとは限らないわよ、裏ギルドはあらゆる国に根を張っている組織らしいしね」
裏ギルドってかなりでかい組織なんだな
「なるほど、その可能性もあるのか」
「王都についたらそこら辺も調べなければいけないね」
その後も会話をしながら俺達は王都に向かった。
襲撃の後は何事もなく進み、ペースを上げた為に予定より早くつき、カルダムを出発した6日後の夕方頃につくことが出来た。
馬車に収納魔法で預かっていた荷物を積み終わったらアウグスト様が声をかけてきた。
「レンさんリアナさん護衛お疲れ様、二人のおかげで無事王都までつくことが出来たよ、これが依頼達成書だよ」
俺はアウグスト様から依頼達成書を受けとった
「この後の二人の予定は?」
「しばらくは王都で活動しようと思っていますが詳しくは決めてませんね」
「そうかい、何かあったらこの宿まで来るといい、王都にいる間はここに止まっているからね」
簡単に書かれた地図を受けとった。
「それでは、また」
アウグスト様は馬車に乗ると王都の奥に進んで行った。
「それじゃあ俺達も宿をとって今日は休むか、ギルドへの報告は明日行けばいいし」
「そうね、久々にベットでゆっくり眠れるわ」
俺達は宿を探しに歩き始めた。
「さて、ギルドに報告に行くか」
宿で朝食を食べた俺とリアナはギルドに向かっていた、馬車は宿で聞いたので問題ない。
「ここか、カルダムのギルドよりもでかいな」
「そうね、やっぱり王都の方が冒険者は多いのかしら」
俺達はギルドの中に入った、中の作りはカルダのギルドと同じだったので受付に行き、受付嬢に声をかけた。
「依頼の達成報告にきた」
依頼達成書を受けとった受付嬢は内容を確認している。
「はい、確認しました、それではギルドカードを水晶にかざして下さい」
受付嬢は手許で何かを操作するとそう言ってきた。俺とリアナは言われた通りに机の上にあった水晶にカードをかざした、するとカードと水晶が一瞬だけ鈍く光った。
「はい、これで大丈夫です、依頼達成お疲れ様でした、あとお二人のランクがDからCにランクアップしましたのでギルドカードの書き換えをするのでお二人のカードを貸してください」
「ああ、わかった」
俺とリアナはギルドカードを渡した。
受付嬢はカルダムのギルドにもあった受付の奥にある大きな水晶のところに行って何か操作をした後にカードをかざすと戻ってきた。
「これで、お二人はCランク冒険者です、これからも頑張って下さい」
「ありがとう」
「ええ、ありがとう」
俺とリアナは礼を言いながらカードを受けとった。
その後、俺とリアナは何かいい依頼がないかボードにはってある依頼書を見ていた。
「すいません、レン殿とリアナ殿でしょうか?」
後ろからかけられた声に振り向くとそこには鎧をきた1人の男が立っていた。
「俺がレンだが、お前は?」
「はい、自分は王国に使える騎士のネルソンといいます」
「王国の騎士が私達になんのよう?」
リアナのその問いにネルソンは姿勢を正して答えた。
「国王様よりお二人を王宮に招待しろとの命を受けやってまいりました」
また面倒な事がおきそうだな。




