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第百九十六話 策略

 

 

  <リアナ・シューフェン戦場>


 

  リアナは、シューフェンの蹴りをくらってしまう。それはリアナの腕にあたり、リアナは後ろに飛ばされたが、空中で体勢を整えてしっかりと着地をした。


 

  「くっ、足でも攻撃出来たのね」


  「ええまあ、しかし予想よりも硬いですね、その鱗、腕を斬り落とすつもりだったのですが、まさか私の脚での攻撃で、ダメージがほとんどないとは、驚きです」



 リアナの腕に当たった一撃は、リアナの鱗に少し斬り裂き、血が出ているが、ダメージは対した事はない。


 

  「まあ、耐久値があっても攻撃パターンは同じようですし、問題はなさ」


  パキッ‼︎


  「おや?」


 

  シューフェンは言葉の途中に、氷の割れる音と、脚に違和感を感じて、自分の脚を見下ろした。すると、ちょうどリアナを蹴り飛ばした、足の位置が凍っていて、そこから徐々に範囲を広げ始めていた。


 

  「貴方の攻撃が当たる瞬間に私の魔力を流し込んだのよ、リヴァイアサンと同化した私は前よりも、精密な魔力コントロールを出来るようになったの、まあ水と氷魔法限定だけど、凍りなさい」



  リアナがそう言うと、シューフェンの足の氷の広がる速度が速くなった。


  ザンッ‼︎


  「これで問題ありませんね」


 

  しかし、それは簡単に止められた。シューフェンが足の凍結が広がるよりも速く、凍っている部分の肉だけを、自らの腕で斬り落としたのだ。



  「躊躇なくやるのね」


  「私達には痛覚などという、余分なものはありませんからね」


  「余分……ね…」



  リアナの最後の呟きはシューフェンには、聞こえていないようだ。シューフェンは足の事など気にせずに、リアナとの距離を詰めた。


  また、そこからは、激しい近接戦が始まった。リアナは途中途中に、魔法を挟み込んでいるが、シューフェンには全く聞いていない。リアナの方が、押され始めていた。


 

  「貴方のそれはただの見掛け倒しだったようですね」


 

  距離をおいたシューフェンが、リアナに話しかける。



  「確かに、身体能力や耐久力は上がっていますが、ただそれだけです。無意味な魔法を繰り返し放ち、ただ無駄に魔力を消費するだけ、それでは、」


「そろそろいいかしらね、コントロール・アイス」



  シューフェンは、話している途中だったが、それはリアナの言葉で遮られた。



  「くっ‼︎これはっ‼︎」



  シューフェンが、驚愕の声をあげた。リアナが魔法を発動すると、シューフェンの体が、胸のあたりから凍り始めたのだ。それはすぐに広がり、シューフェンの体をどんどんと氷漬けにしていく。



  「そうそう、貴方のさっきの言葉を訂正するわね、この姿は見せかけなんかじゃないわ、私は言ったわよね?この姿になると、魔力コントロールの制御が上がるって」


  「しかし、私は2回目以降は、貴方から魔力を注がれるのを、防いでいたはず」



  そうなのだ、シューフェンは一度リアナに脚を凍らされてからは、リアナに攻撃をするとき、触れるさいには、自分の魔力で押し返し、リアナに魔力を注がれるのを防いでいた。そうしてる、間にもシューフェンの、凍結は進み、足はほとんどが凍り、もう身動きは取れなくなっている。



  「そうね、貴方は外からの私の攻撃は全て防いでいたわ、だけど貴方、私の魔力で作り出した氷を、吸いすぎたのよ、あれだけ私の氷を近距離でこなごなにすれば、当然呼吸のさいに体の中にはいる。私はそれを遠隔で操作して、徐々に体内を凍らせていたのよ」


  リアナは考えなしに、効かない氷魔法を放っていたのではなく、私の氷を相手の体内に取り込ませる為に、行なっていたのだ。



  「そうですか…あの攻撃は…そういう意図でしたか……」


 

  シューフェンの体は既にほとんどが凍っていて、声も出づらくなっているようだ。残りは頭を残すのみだ。それも首を伝って氷が広がってきているが。


 

  「私が最後に使った魔法は、凍る速度を早めただけ、その前から体内を徐々に凍らせていたから、貴方が余分と言った痛覚があれば、すぐに気づけたかも知れないわね」


  「なる……ほど……まさか…それが…仇になる…と………は……」



  シューフェンの体が全て凍ると、その体は光の粒子に変わり、シューフェンは消滅した。


 

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