第百七十七話 脅威
都市からまた、新たな魔族が出てきた。
「おいおい、冗談だろ……」
俺が呆然と呟いた。リアナ達も俺と同じ方向を見上げた。
「何よ、あれ……」
そこには、都市からこちらを見下ろす、1つの巨大な影があった。人形の全身を黒い鎧な様な物で包まれて、手には大剣を持った、全長15メートルはありそうな巨人がいた。その巨人は都市から飛び降りた。
ドガンッ‼︎‼︎
巨人は地面に着地すると、そこにいた人だけでなく、魔族も一緒に踏み潰し、蹴散らした。
「ガアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎‼︎‼︎」
巨人はあたりを見回すと雄叫びを上げた。その声は口元も鎧の様な物で覆われているためくぐもっていたが、思わず耳を塞いでしまうほどの音量だった。
「ガアアア‼︎」
巨人は自分の腰あたりまでの大きさのある大剣を軽々と持ち上げると、そのまま地面に向け無理下ろした。
「ぐあああああ‼︎」
直撃した者はいなかったが、その剣を叩きつけた余波だけで、その周りの者は魔族も人も関係なく、吹き飛ばされた。
俺は急いでシークレットの全員の方を見た、すると俺の伝えたい事が伝わったのか、全員が頷き返してくれた。それを確認した俺はすぐに収納から拡声器を取り出す。
『巨人の相手は俺達シークレットがやる‼︎巨人の近くにいる奴はすぐに離れろ‼︎他の奴は魔族を殺して、巨人の周りに近づけさせないでくれ‼︎』
巨人の周りにいた人達は、魔族を殺しながら巨人から離れ始めた。
俺達は巨人に向かって駆け出す。すると周りの人型や狼型が俺達の行く手を阻もうと向かって来る。
「おらっ‼︎てめーらの相手は俺達だ‼︎」
俺がショット・ソードで迎撃しようとしたが、横から飛び出してきたヘイガンが人型を叩き斬った。
「雑魚どもは俺達に任せろ‼︎」
「ヘイガン、任せた‼︎」
迎撃をしようとしたリオン達も、他の魔族は無視して、巨人に向かいまっすぐに駆け出した。
「グランダーズっ‼︎根性見せろやっ‼︎死んでもレン達に魔族を近づけさせるなっ‼︎」
「「「「「おおおおおおおっ‼︎‼︎‼︎」」」」」
後ろからヘイガンの言葉に答える、頼もしい声が聞こえてきた。
「さて、どうするか、出来るだけ力は温存したいんだがな」
「あの鎧は生半可な攻撃は効かなそうだな」
走りながら言った俺の言葉にリオンがそう答えた。
「レーナの魔法なら溶かせるんじゃないかしら?」
「効くとは思いますけど、あの大きさだとかなり魔力を消費すると思います」
「私の魔法もそうね」
都市に乗り込む前にその消費は良くないな。
「それなら、我がぶっ叩くか?」
俺はフレアの提案を聞いて悩む。外は鎧で守られてるから、剣は聞きづらいだろうな、だけど攻撃を全部フレアに任せるのも、ん?鎧?
「いや、もしかしたら行けるかもしれない。フレア、あいつの口元の鎧を剥ぎ取る事は出来るか?壊すでもいいが、とりあえず口を露出させてくれればいい?」
「任せろ、我が砕いてやる」
もう巨人は目前に迫っている。
「他のみんなは、巨人の注意を引いてくれ。それとリアナ、俺を巨人の顔の前まで魔法で運べるか?」
「氷で押し出せばいけるわ」
巨人は俺達の姿を捉えて、こちらに向かって動き始めた。
「よしっ‼︎それじゃあ俺が合図を出したら頼む‼︎巨人を倒すぞ‼︎」
巨人が俺達に向って、大剣を振り下ろした。




