第百七十三話 魔族と接触
前回の話しで、拡声器で話していた「」を『』に変更しました。拡声器で話している声は『』にします。
冒険者や兵士がそれぞれの武器を構えて、空中に浮いている都市を見上げている。すると、都市から黒い影の様なものが見えた。それは大量の魔族だった。俺はそれを見て、地球にいた頃に、テレビで見た映像の、集団で移動するコウモリの姿を思い出した。
「なんだ、あの数は……」
俺は呆然としながら呟いた。魔族は1つの塊になり、まるで黒い影の様に蠢き、平原に広がっている、俺達に向かって、飛んで来ている。
「レン‼︎」
俺はフレアに名前を呼ばれて、呆然としていた頭を切り換えて、拡声器に繋がっているマイクを構えた。
『遠距離攻撃の手段がある奴とウィザードは早く攻撃しろ‼︎特に爆発系の魔法が使える奴はそれを使え‼︎とにかくあいつらを散らすんだ‼︎あの密度で突っ込まれたら戦闘どころじゃなくなる‼︎』
俺と同じ様に呆然としていた兵士や冒険者達が、俺の言葉を聞いて、慌てて攻撃の準備を始める。
「エクステンシブ・ファイアー・ボム‼︎」
フレアが誰よりも早く、魔法を発動させていた。フレアの前に出現した、5つの炎の球体は、バラバラに魔族の集団に向けて飛んで行った。
ドゴオオオオオオオオオオオンンン‼︎‼︎‼︎‼︎
それは魔族にぶつかった瞬間に爆ぜた。かなりの数の魔族を焼き殺し、さらにその凄まじい爆風で魔族達を、散らしてくれた。他のウィザード達も驚いていたが、すぐに魔法を発動させた。俺も剣を飛ばして、隣ではリアナも魔法を撃っている。サーラはまだ射程圏外のようだ。遠距離攻撃の手段がない者達は、フレアの魔法に驚きに目を見開き、フレアの方に視線を送っている者がかなりいる。
「フレア、ありがとう助かった。でも余り無理はするなよ、俺達は魔石を破壊しに、行かなきゃならないんだからな」
「大丈夫だ、あの程度どうって事は無い」
すると、魔族達の中からも空から地上に向かって魔法を撃ってくる個体が現れた。兵士や冒険者はお互いに充分に距離を取り、配置していて、まだ距離もある為、こちらに魔法による被害はない様だ。
「レン、そろそろ接触するぞ」
戦闘モードになっているリオンが、そう声をかけて来た。リオンの視線の先を見ると、魔法を掻い潜ってきた魔族が、地上にいる冒険者や兵士と接触した。近くに来てよく見える様になったが、その姿は映像で見たのと、全く同じ姿で、背丈は1m半もなく、どす黒い肌に鋭い爪と尖った耳を持ち、その背中からはコウモリの様な翼が生えている。
「ギィギュアア‼︎」
ついに俺達の方にも魔族が来た。
「遅いな」
「ギュギャアアアアアアア‼︎」
俺は腰から抜いた剣で、爪で斬りかかろうとしてきた魔族を斬りつけた。刃はしっかりととおり、魔族を斜めに一刀両断した。周りを見ると、リオン達も戦闘を開始した様だ。しっかりと魔族に対抗できている様だ。
「なんだ、こいつら数だけで大した事ないな‼︎」
俺の近くにいた1人の冒険者がそう言いながら、魔族を斬りつけた、魔族の首を狙った一撃だったが、その個体はそれを腕でガードした。
ガキンッ‼︎
「ギャギャギャッ‼︎」
鉄同士がぶつかる様な音が聞こえた、俺は向かってきた、魔族を斬り倒し。外した視線をまたそちらに戻した。
「なんで‼︎さっきの奴はすんなり倒せたのに‼︎」
魔族はその男の顔に向けて、鋭い爪を抜き手のように放つ。
キンッ‼︎
「油断するな、馬鹿者が。む?硬いな、フレア‼︎」
しかし、それは助けに入ったリオンに防がれた。
「ファイアー・ボール‼︎」
名前を呼ばれたフレアは、すぐにその魔族に向けて魔法を放った。本気では無いとはいえ、リオンの斬撃で腕を切れなかったのだが、フレアの魔法に当たると、すぐに焼け死んだ。
「おい、貴様、事前に説明は聞いているだろう。同じ見た目でも、個体ごとに強さも、能力も違うのだ。油断するな」
「は、はい‼︎すいませんリオンさん‼︎」
その男はすぐに、他の魔族との戦闘に向かった。恐らくさっきの個体は、物理耐性は高いが、魔法には弱かったのだろう。俺はもう一度マイクを握った。
『魔族は事前の説明の通りに、同じ見た目でも、力や能力は全然違う、注意してくれ』
俺はマイクをしまうと、戦闘に戻った。




