第百六十七話 会議5
フレアは王達を見下ろしながら話し始めた。ジーグルトは臨戦態勢で、コル爺も片手に魔道具を持っていて、すぐに動けるようにしているようだ。
「それで、証明だったか、こうして出てきたが、我も映像に関しての証明は出来ない。だが我がここにいるという事は、魔族との戦闘に龍が参加するのが、本当だという証明にはなるだろう。我も保証するしな」
「確かにその証明にはなりますね」
ベナサールは顎に手を当てて考え込みながら答えた。その顔は先程までの笑顔ではなく、真剣な表情になっている。
「これで龍が参加する事は本当だと分かっただろう。さらに龍がわざわざこんな嘘をつくと思うか?」
ベナサールは考え込んだ後にため息を吐きながら話し始めた。
「そうですね、私はレンさんの話しを信じる事にします。他の皆さんはどうですか?」
様子見ながら思考していた他の王達もベナサールに同意示した。
「そうか、それは良かった」
フレアがそう言った直後、フレアの体が光り始めた、どうやら人化の魔法を使ったようだ。光が治ると人間の姿のフレアがいた。
「とりあえず、席に戻りましょう、火龍様の椅子も用意いたしましょうか?」
「いや、必要ない」
クライヴの提案をフレアは断った。フレアに驚き立ち上がっていた王達は、自分の席に戻った。
「でも、フレアがいたとしても、随分早く信じてくれましたね?」
俺はフレアと交代して俺が交渉を始めた。だがその前に俺は気になった事を聞いた。
「そんなの簡単だよ、この話しを信じなかった時の代償が大きすぎるもん、本当はこれからレン君に、カマかけながら本当かどうか判断しようとしたけど、火龍様に出てこられちゃうとね。さっきまでは、この話しを信じなかった場合、人類が魔族に滅ぼされるかも知れないって事だったけど。今はこの話しを信じないと、本当に来るか来ないか分からない魔族じゃなくて、確実に火龍様や他の龍の方達を敵に回す事になるからね。火龍様を信じないで、その後国に何かされた場合、私達じゃロクな抵抗が出来ないで終わりだからね」
なるほど、そういうことか。まあ龍と敵対したくは無いよな。
「それでは、これから魔族との戦闘について、詳しく話し合いをしましょう」
王達が頷いたのを確認して俺は話し始めた。
「まずは、皆さんの国から出せる。戦力はどの程度か教えてもらえないでしょうか?」
「それならまずは私が言おう。王国から出せる戦力は国中の兵士や騎士を合わせた2万人程度だと思う」
その後に続いて他の国も自分なら国から出せる戦力を言い始めた。
「魔法国はそれほど多くはありません、なんとかかき集めて6000人程度でしょうか」
「獣王国は1万行くか行かないかだな、王国と比べると人口は多くないが、国柄戦える奴は多いからな」
「私の国は1万人と少しと言ったところでしょうか、この間の戦いで、兵士の数はかなり減ってしまったので」
「私の所も8000人くらいかな、うちは商売の国だからさ、それほど多くは無いんだよね」
「私の所は1000人ぐらいだな。悪いなエルフはもともと数が少ないからな」
この世界は、地球と比べてかなり人口が少ない。それに加えて、冒険者という職業があるので戦えるものはそちらに行ってしまうし、国同士で争っていたのも、帝国と王国ぐらいで、基本友好な関係を築いているので、兵士の数もそれほど多くはないのだ。
「合わせて、5万5000人ぐらいね」
この数でも映像で見た時の戦いの10倍以上はある
「だけど、レン君、この戦力の全部を魔族との戦闘に出すわけにはいかないよ」
ベナサールが真剣な表情でそう言った。




