第十話 600体VS2人
俺は川に向かいながら作戦の内容を説明していた。
「俺の収納魔法で川の水を収納して持って行けばリアナが凍らせることが出来るんじゃ無いかと思ってな」
「なるほど、それなら出来るかもねでもそんなに大量の水入れられるの?」
「ああ、俺の収納魔法は無制限に入るらしいからな。」
「無制限…」
俺の言葉にリアナが驚いている。
「でも収納出来ても魔物の大群を飲み込めるほどの量を一度に出せるの?」
「それも問題無いと思う、収納から取り出す時のゲートは物に寄って大きさを変えられるから、ゲートを大きくすれば一度に出せるはずだ」
俺は試しに収納から一枚の銀貨を取り出しながらゲートが大きくなるようにイメージした、すると出てきた銀貨は一枚だがゲートをイメージ通り大きくすることが出来た。
「それなら大丈夫そうね」
俺達は門を出て川に向かった。
川に着いた俺は出来るだけ川の勢いが強い場所で収納魔法を使った。すると川の水がどんどんと収納の中に入っていく、川の水の中には魚なども泳いでいるが収納魔法に生物は入れることが出来ないので弾かれて水だけが入っている。
「良し、これぐらい入れれば大丈夫だろう」
「お疲れ様」
川から出た俺にリアナが労いの言葉をかけてくれる。
「それじゃ街に戻って他の物も準備しなきゃな」
移動にまあまあの時間を使っているため時間に余り余裕は無い。
「分かったわ、すぐに戻りましょう」
俺達は街に向かって移動を開始した。
「間に合ったみたいだな」
俺とリアナは南門に到着した。街に戻ってから魔力回復のポーションを手に入れるのにかなりの時間を使ってしまったがなんとか間に合ったみたいだ。
「それじゃ早く行って説明しなきゃね。」
リアナはそう言うと南門からかなり離れた所で防衛の準備をしている冒険者や兵士の集団に向かって行った。俺もすぐにそれに続く。
「今ここの指揮をとってるのは誰だ?」
「ん?お前らも防衛に来たのか?向こうでギルドマスターと兵士の隊長が指揮をとってるよ」
「そうか、ありがとな」
俺は近くにいた冒険者に聞くとギルドマスターのいる所に向かった。
人が集まってる所にギルドマスターを発見した、鎧を着てロングソードを装備している所を見るとギルドマスターも防衛に参加するらしい、あの慣れた様子から多分元冒険者とかそんな所だろう。ギルドマスターの隣にいる他の兵士とはデザインの違うしかし貴族の紋が入った鎧を着ている人が兵士の隊長だろう。その周りには他の冒険者もいて話し合いをしているようだ。
「なあ、俺達2人には600体の魔物を抑えられる方法があるんだが防衛に参加させて貰っていいか?」
俺がそう声をかけると話し合いをしていた全員が俺達の方に注目した。
「お前今言った事は本当か?」
「ああ、本当だ俺達2人なら出来る」
ギルドマスターの問いに俺は自信満々に答える、少しでも言いよどめば信用して貰えなくなる。
「見ない顔だがランクは?」
「俺達2人とも今日ギルドに登録したばかりのFランクだ」
「は?」
俺達のランクを言うと、全員が怪訝な顔で見てきた。
「ふざけてんじゃねえぞ‼︎今は街の一大事なんだよ‼︎Fランクに何ができる‼︎」
「そうだ‼︎ガキは街で避難誘導でもしてろ‼︎」
すると近くにいた冒険者が俺達に怒鳴ってきた。イラっときたが、なんとか堪えて冷静に反論しようとすると俺よりも先にリアナが声をあげた。
「煩いわね、貴方達はランクでしか強さを測れないの?今レンが今日登録したばかりって言ったじゃない、初日なんだからランクは低くて当たり前、冒険者になる前に私達が何をしていたかも知らないのにどうして役立たずだと決めつけているの?相手の強さをランクでしか判断出来ないなんて三流以下ね」
「なっ⁉︎」
リアナに反論された冒険者は最初は、リアナが反論してくると思ってなかったのか驚いて固まっていたが今では顔が真っ赤になり怒りに震えている。
「このっ‼︎女だからって」
「やかましい‼︎」
その冒険者が武器に手を掛けようとしたがそれはギルドマスターの声に止められた。
「その嬢ちゃんの言ってる事は間違っちゃいねえよ、ランク=強さじゃねえ、それで本当に魔物をどうにか出来るのか?」
「ああ、確実に」
ギルドマスターは俺の目を真っ直ぐと見つめてくる、俺は目を逸らしていけないと思い魔物を止める覚悟を決めて見つめ返す。
「お前ら名前は?」
「Fランク冒険者のレンだ」
「同じくリアナよ」
するとそこに他の冒険者の声が聞こえてきた。
「魔物の大群が見えました‼︎もうすぐに来ます‼︎」
「クソッ‼︎迷ってる暇はなさそうだな、レン、リアナお前らは防衛の最前線に言って魔物をどうにかしてみろ‼︎お前らが失敗したら俺達はこっちで決めた作戦通りに行動するお前らにやれるチャンスは一回だけだ」
「ああ、それで十分だ」
「他の奴らは俺が合図を出したら作戦通りに行動しろそれまではその場で待機だ‼︎」
俺とリアナは最前線に向かって駆け出した。
最前線に到着した俺とリアナは迫り来る魔物の大群をその目に捉えていた。
「こうして見ると凄い数だな」
「そうね」
「ところでさっきなんであんな怒ってたんだ?」
「別にそこまで怒ってないわよ、たださっきまたいなFランクだからとか決めつけで言ってくる人が嫌いなだけ、女だからとかね。それより、もう話してる時間は無いみたいよ」
そう言われて前を見ると魔物の大群をもうすぐそこまで迫っていた。
「リアナいけるか?」
「私はいつでも大丈夫よ」
「良し、やるぞ」
俺は両手を前に出して収納魔物を使用した、すると俺の手の前にいつもの黒い円が出現した、その円はどんどん広がりかなりの大きさになった。
「行くぞ‼︎」
すると大量の水が一気に吹き出しまるで津波のような勢いで魔物の群れを飲み込んだ。俺は出来るだけ勢いの強い場所で水を収納したのでそのままの勢いで一度に大量に出したためかなりの威力になっている。
リアナは勢い良く吹き出してる水に触れるぐらいの距離にまで横から手を近づけると魔法を使用した。
「フロスト‼︎」
すると水がどんどんと凍っていき魔物を飲み込んでいる場所までいっても止まらずにそのまま魔物ごと凍らしている。やがて全ての水が氷に変わった時ほとんどの魔物は死に生きていても身動きが取れない状態になっていた。
「うっ」
魔法の発動を止めたリアナがふらりと倒れそうになり俺は急いでそれを支えた。
「大丈夫か?」
「ええ、一度に魔力を使い過ぎたから貧血みたいな感じになっただけポーションを飲んで少し休めばすぐに良くなるわ」
「そうか、お疲れ様」
「レンもお疲れ」
ん?そいえばなんでこんな静かなんだ?俺は疑問に思い後ろを振り向いた。するとギルドマスター含めて全員が口を開けて呆けた顔をしてこっちを見ていた。俺は後ろで合図を出す為に待機していたギルドマスターに向かって声をかけた。
「ほら、魔物600体倒したぞ」
俺の声はあたりが静寂に包まれていた為よく響いた。するとそれを聞いた冒険者や兵士達の歓声が爆発した。
「よっしゃああああ‼︎‼︎生きてる生きてるぞ‼︎」
「すげぇええええ‼︎なんだあの魔法‼︎一度にあんな大量の水出せる奴初めて見た‼︎‼︎」
「あっちの女もすげぇぞ、あの量の水を1人で凍らせるなんて‼︎」
「ありがとおおおおう‼︎‼︎本当に死ぬかと思ったあああああ‼︎」
冒険者や兵士は俺達を讃えるものや近くの仲間と生きてる喜びを分かち合う者など様々だ、みんな街や街に住む人を護るために死ぬ覚悟を決めてこの防衛に参加していたのだろう。
俺はリアナを支えながらその光景を眺めていた。




