第五話 転移
俺達は今火龍の背に乗り空を飛んでいる。
「さて、それじゃあ説明して貰おうか」
火龍が背にいる俺に声をかけてきた。
「分かったよ、まず最初に言うと俺はもともとこの世界の人間じゃない。」
「え?それってどういうこと?」
「もっと分かりやすく言え」
「今から説明するから焦るな」
それから俺は神や何で俺がこの世界に来ることになったのかと、俺の魔法についてなどを説明した。
「なるほど、神から貰った魔法かそれなら俺の魔法を防げたのも納得かもな。それにお前突然森の中に現れたから、何かあるとは思ってたんだがまさか異世界か」
「でもここ以外の世界から来たなんてびっくりね、そいえばあそこが赤の森って知らなそうだったわね」
「お前ら随分とあっさり信じるな。俺が嘘ついてるとは思わないのか?」
「別に何となくあなたが嘘ついてるとは思えなかっただけよ」
「俺のあの魔法を正面から止められるやつなんか多分この世界にいないだろ、だからお前の力が神のものだと聞いて納得しただけだ、まあ俺のあの魔法も複数人で踏ん張ればなんとか出来る奴もいるかも知れないがな。」
「あの魔法そんなヤバいやつだったのか、ちなみに当たったらどうなってたんだ?」
「あれは当たった直後に大爆発を起こして周囲を吹き飛ばすな、あそこの周りには何も無くなるだろうな。もっと分かりやすく言うと赤の森は確実に地図から消える」
火龍が恐ろしい事実を教えてきた。
「お前そんなヤバい魔法使ったのか‼︎ていうか縄張りに入られて殺しに来たのに自分で森吹き飛ばす魔法使うとかバカかよ‼︎」
「うるせえ‼︎お前が本気の魔法撃てって言ったんだろ‼︎あの時はテンション上がっててよく考えてなかったんだよ!」
「本当によく私たち生きてられたわね…」
「ああ、実際オフィーリアが魔法使ってくれなかったらヤバかったからな」
あれ?そいえばあの時魔法使ってたよな?
「なあ、オフィーリアって魔法使えたのか?」
「ええ、使えるわよ、それとレンも火龍も私のことは…そうね、リアナって呼んでもらえる?少し事情があってあまり本名は名乗らない方がいいの。」
「分かったよリアナ、それでなんであの男3人には魔法を使わなかったんだ?」
「あの時は魔力が切れてて使えなかったのよ、火龍との勝負の前にレンがポーションをくれたでしょ?あの中に魔力回復のポーションも入ってたから使わせて貰ったの。ごめんなさいねポーション使いきってしまって」
「いやいいよ、あの時の魔法がなかったら死んでたかもしれないしむしろ俺がお礼を言う方だよあの時助けてくれてありがとう」
「先に助けられたのは私の方だもの、私からも言わせて私のことを2回も助けてくれてありがとう。」
「今は魔力は大丈夫なのか?」
「ええ、ほとんど使い切ってしまってだるいけど大丈夫よ、私魔力は結構多いから」
2人で話していると火龍が気になることを言ってきた。
「それにしてもリアナは氷の最上級魔法が使えるんだな」
「ん?最上級魔法ってなんだ?」
俺の疑問には火龍が答えてくれた。
「魔法には属性と階級があってどの属性を使えるかは人それぞれで階級は初級、中級、上級、最上級、って上がっていくんだその上もあるが今はいいだろ。んでフィリアが使った氷の属性は水の上位の属性だなそれの最上級だからかなりの威力がある。」
「へ〜すごいなリアナ」
俺はリアナに賞賛の言葉を贈ったがリアナはバツの悪そうな顔をして目をそらしていた。
「え〜と、一応使えるっちゃ使えるんだけど実は練習中であの魔法発動すると魔力の暴走で自分ごと周囲を凍らせちゃうから使えなかったのよね、それにあれ攻撃魔法だし」
ん〜?つまりどうゆう事だ?リアナは俺に攻撃魔法を放ったってことか?
「ってどうゆう事だよ‼︎なに?俺攻撃魔法撃たれてたの⁉︎」
「 永久凍結は攻撃魔法だぞ、くらわせた相手を体の芯から凍らせてそのまま凍結させる魔法だな」
「なんてもん食らわせてんだよ‼︎普通に死ぬだろ‼︎」
「しょうがないじゃない‼︎あの時はあれ以外に方法がなかったのよ‼︎ていうかエターナル・フロスト使って気温が少し下がるだけとかあの魔法の威力どんだけよ‼︎」
「はははっ、まあ無事だったんだから良いじゃねえかレンもリアナも過ぎた事をいつまでも気にすんな」
火龍は楽しそうに声を上げて笑っている。
「はぁ、なんかすげー疲れた、まあ結果的に助かったからいいか」
「そうね、そうゆう事にしときましょ」
「おっ‼︎目的地に着いたぜ?」
火龍が大きな洞窟の入り口に着地した。
「ねえ、ここは一体どこ?王国とは逆方向に向かっていたけど」
「そうだったのか?」
「ええ、逆に赤の森の奥に進んでたわね、火龍がここに住み着いてからこの深さまで森に入った人間は私達が初めてじゃないかしら」
「確かにここまで来た人間はいないな、まあ説明してやるから取り敢えず中に入れ」
火龍に勧められるままに俺達は中に入った、入り口はかなり大きく火龍も中に入ってこれている。中にはさらに開けた空間が広がっていて道のようなものが伸びている、その道の先に地面から3mぐらいの高さの一辺が30mくらいの白い正方形の台がある。四隅には先端の尖った柱が立っており綺麗に彫刻されているその正方形の表面には巨大な魔法陣のようなものが描かれている。
「あれはなんなんだ?」
「あれはな転移魔法の魔法陣だ」
「転移魔法⁉︎なんでそんなものがこんなところに」
リアナが驚いているが俺にはよくわからん。
「転移魔法の魔法陣って珍しいのか?」
「珍しいなんてもんじゃないわ、はるか昔に失われた魔法よ、昔に転換期と呼ばれる時代があってねその時にたくさん人が死んで魔法もかなり失われたらしいわ、今よりも転換期の前の時代の方が遥かに発達した文明を築いていたらしいわね、もちろん魔法も。今発見されている転移魔法の魔法陣なんて数個だけだったはずよ」
「ここは古代人が作った施設みたいでな、俺も最初見つけた時は驚いたわ、取り敢えず魔法陣の上に乗れ王国に連れてってやる」
火龍に言われるままに俺達は魔法陣の上に移動した。
「あの奥の通路の先には何があるんだ?」
洞窟を入った先に転移魔法陣の台がありさらにその先には入り口よりもかなり小さいが人は余裕で通れるぐらいの道が奥に続いている。
「さあわからねえな、なんせあの大きさの通路じゃ俺は通れねえし特に確認しようともしなかったしな。」
「そうか」
「これは王国に繋がっているの?王国に転移魔法陣があるなんて聞いたことないんだけど。」
「一応王国だが正確には王国にある魔の森の最奥にある遺跡だな。」
「魔の森の最奥‼︎そんなところに送られても困るわよ‼︎」
「安心しろ俺も一緒に行って森の入り口近くまで送ってやるよ」
なんか俺を置いて話が進んでしまっている。
「どうゆう事だ?転移魔法って好きなところに転移できるわけじゃないのか?それと魔の森って?」
「そういえばその辺の知識もないのよね。転移魔法の魔法陣で転移する場合は転移する側にも魔法陣が必要なの、つまり転移魔法陣は2つで1つって事、それと魔の森って言うのは他の場所よりも強い魔物が大量に住み着いてる場所よ。その最奥に行ったなんて記録は残ってないらしいわ。」
なんか凄いところらしいな、でも火龍が送ってくれるなら大丈夫だろ
「よし、準備が出来たから転移魔法を使うぞ」
火龍がそう言うと魔法陣が光り始め俺達はそこから姿を消した。




