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エピローグ

「それで、お主たちが行った時にはもう、ダンジョンは崩れておったじゃと……?」

「「「「おっしゃる通りです、学園長先生!」」」」


 何日かかけて家に戻ってきた彼ら。

 身だしなみを正し、まるで魔王を倒さんとばかりにむかった学園長室で――


「俺たち、何も悪いことはしていません!」

「ダンジョンは入る前からズタボロだったわ!」

「でも道中にいた魔物とかたくさん倒したぞ!」

「……これ、証拠」


 身の潔白を証明するため。嘘っぱちに全力を注いでいた。


 ちなみに魔物を倒した証拠とは、魔物の中にある『魔石』でのことである。

 強い魔物ほど、体内に生成される魔石の大きさ、そして輝きが増すという。

 彼らの持ってきたものは、一番低くても中級の魔物から取れる魔石だった。

 それが袋いっぱいに詰めてある。


「ほう、こんなにかの」

「そうよ! 魔物がいっぱいで大変だったから少し間引きしておいたわ!」


 無論、大嘘である。

 魔物は学園に帰る前に血眼になって探したもの。

 ダンジョン壊れてた、だから許して――だけでは、うまくいかないだろうと四人が察した結果、こうした手段をとることになったのだ。

 ちなみに途中から魔の森にいる魔物たちがおびえ、住処から出てこなくなったため、泣く泣く撤退したという裏がある。


「……フフフ。お前たちは本当に面白いのう」


 無論、事の顛末を見届けていた学園長はなぜダンジョンが壊れていたか、すべて知っている。

 封印していた魔人の魔力が遠のく、もしくは出口近くに差し迫った場合、自爆機能が発動するよう仕掛けていたのは、無論彼女だった。

 どう言い訳するのか見ものではあったが、想像以上の行動力と実績に、笑みがこぼれる。


(……おい、大丈夫かこれ)

(もしかして僕たち終わり!?)

(馬鹿! 堂々としていなさい! まだバレていないわ!)

(大丈夫。いざという時は――)

 

 四人が無言でアイコンタクトで会話している中、学園長の笑い声がぴたっと止まった。

 おもわずビクッと体をはねる四人。


「いいじゃろう! 追加クエストは合格じゃ!」

「――――」


 四人の思考が止まった。

 そして次の瞬間、


「「「「やったぁああああああああ!」


 喜びが爆発した。


「やっぱり私が建てた方針に間違いはなかったわ! どうよ! 魔物倒して正解だったでしょうが!?」

「流石アリス! ダンジョン崩れた時はどうなるかと思ったぜ!」

「ふふっ! そうでしょうそうでしょう!」


 アリスは自身の提案がうまくいったことに、そしてエドモンドは合格したという事実に、思考が追い付いていなかった。

 まるでダンジョンが崩れた様子を見ていたような発言が飛び交っていることに。


「「――――」


 エドモンドとアリスが盛大に墓穴を掘る中、リュカとシェリーが恐る恐る学園長を見る。

 ああ、終わったな。

 と一種の諦念に似た感情を抱きつつ。


「大丈夫じゃ。わしは何でも知っておる。ご苦労じゃった」

「……あ、なるほど。知っていたんですね、学園長」

「お主が気付いてないとは、わしもまだまだ現役じゃの」


 喜んで燥ぐ二人を除いて、学園長とリュカが会話する。

 シェリーはいつものポーカーフェイスのまま、彼らの会話に耳を傾けた。


「よくやってくれたの。お主たちの功績は世界に公表してもよい」

「いえいえ! 結局アリスにおんぶにだっこだったので……それもダンジョン壊しちゃうし」


 彼の発言に、学園長はシェリーに流し目を送った。

 彼女は彼の裏人格であるリュークが魔人を倒したところを見ている。なぜそんなことを言うのか、現状まともに会話できそうな彼女に合図を送ったわけだ。

 しかしシェリーもシェリーで、何をどう答えればいいかわからず、口を噤んだままだ。


『オレのことはリュカには言わないでくれ』


 その一言は何があっても守る必要があると、自分の中で思っていたからだ。

 彼女の様子を見て、大体のことを察した学園長は嘆息した。


「あそこは魔人がいなければ存在理由もない建造物じゃった。壊れても何も文句もないわい」

「ふぅ……ありがとうございます」


 学園長のお許しに、リュカも大きく息をつく、そして安堵した。


「それはそうとその魔石、お主たち持って行ってよいぞ」

「「「「っえ!? 本当ですか!?」


 魔石は換金するとかなりいい値段になる。

 それが袋いっぱいにあるとなればかなりの額を期待できる。


「今回の報酬というやつじゃ。好きなもんでも食え」

「やったわ! ほらアンタたち! 早く売りにいくわよ!」

「やったぜぇえ! 打ち上げだぁ!」

「二人とも……はぁ。学園長先生、ありがとうございました」

「ありがとう」


 鶴の一声に、アリスとエドモンドが騒ぎ立てて学園長室を後にした。

 その様子を気にしつつも、シェリーとリュカも彼らの後を追った。


「全く、騒がしい奴らじゃ」


 彼らが去った後、学園長は一人ごちる。

 しかしそれと同時に、笑みが浮かんでくる。


「あやつらがおれば、しばらくこの学園も安泰じゃの」


 問題も多いが、その分彼らの実力は国の中枢部にもある程度届いている。

 こうした人材を輩出できている現状は、この魔物討伐者学園においてかなり有益だ。


「とりわけ、あの学園には優秀なのも多いわけじゃしの」


 傑出しているのは彼らではあるが、準じて力のあるものも台頭してきている。

 特にアリスとよく口論している女生徒は、最近メキメキと実力をつけ始めていた。


「楽しみじゃのう」


 くっくっく、と呻くように笑い、学園長は冷めた紅茶を口に運んだ。



*****



「何買おうかしら! やはり杖は新丁すべきよね!?」

「この前買ったばかりじゃないか……」


 嬉しすぎて訳わからなくなっている彼女と、その様子に嘆息するリュカ。

 しかし彼女の気持ちもわからないでもない。

 魔石を全て換金すれば、何か月か散財してもどうとでもなる金額が懐に入ってくる。

 心なしか、エドモンドとシェリーもうきうきしている。


「その前に、打ち上げだな!」

「……賛成」

「お、シェリーがそう言うのは珍しいな」

「確かにそうね! それじゃ金にしていつもの店に移動するわよ!」


 いつもの店というのは、アリスが幅を利かせている食事処だ。

 昔からよく行っており、割となんでも頼めば出てくるとのこと。

 店主が店を壊されるかもしれないから、という理由で泣く泣くやっていることに、本人は気付いていない。

 そうして外に出ようと曲がり角を曲がったところで、アリスが誰かにぶつかる。


「すみませ――ッ!」

「危ないじゃない。前を見なさ――」


 燥いでいて、前を見ていなかったアリスが言うのもどうなのかと思うのだが、ぶつかった相手が相手だけに言葉が止まった。

 ぶつかった彼女もまた、アリスだと気付き、謝罪を止める。


「……どうしたのアリス、ってルリじゃないか。一週間ぶりくらい?」

「リュカ君! 帰ってきてたのね!」


 ポニーテールがよく似合う、清楚と表現すべき女性。

 そういえば、追試をする前に会っていたなぁと、ふとリュカは思い出す。


「大丈夫だった? この口より先に暴力と魔法が飛び出る女に何かされなかった?」

「ちょっとルリ!? アンタ人にぶつかっておいて偉そうじゃない!?」

「何よ、臨時収入があったような嬉しそうな顔してたし、前向かずに歩いていたのでしょう、どうせ」

「……な、なぜ分かるのよ」

「貴女はそれほど馬鹿――ではなかったわ、単純ってことよ」

「ぬぁんですってぇえ!?」


 なぜか一気に一触即発な雰囲気になった。

 しかしルリは気にも留めず、リュカに話かける。


「ねぇリュカ君、よかったら家に来ない。おいしいご馳走を作るわ。良ければエドモンドとシェリーも」

「え、マジか。いいのか? めっちゃ高級店だろ」

「行きたい」


 ルリの実家は王都でもかなり有名な料亭だ。

 普通ではいけないが、彼女が口を利かせてくれそうのは確かである。

 しかし、


「ちょっと! 何で私を誘わないわけぇ!?」

「お店を壊されてしまっては元も子もないからですよ、破壊神さん?」

「――――ッ!」


 密かに――とは言いつつも、大体の生徒が日常茶飯事に――言っている彼女の悪名あだなを言ったところで、一触即発な雰囲気ができ始めていた。

 ああ、やめろ、とリュカは思いつつ、


「ルナ、アリスを煽らないで」

「リュカ君は優しすぎるんです。この女、優しくし続けていたらいつまでも付け上がりますよ」

「大きなお世話よ」


 魔力を練り上げる二人。


「表、出ましょうか」

「ええ。ボコボコにしてあげるわ」

「いつまでも貴女の二番手なんて思われたくないの。返り討ちにしてあげるわ」


 そうして二人は校庭に進んでいった。

 そして数十秒後、ドッカンドッコンと大きな物音が響き始める。


「あーあー。お前がうまくリード出来ないのが悪いんだぞ、リュカ」

「えっ、僕のせいなの?」

「リュカが悪い」


 なぜか自分が悪いことになっていることに、リュカは頭を捻らせた。

 その間に、物音は激しさを増し、そして――


「あーあー。窓割れた」

「校庭もヒビ入ったって」

「……もう、なんでだよぉ」


 おそらく弁償代で今回得るであろう報酬もほとんど消えてしまうだろう。


「なぜなんだぁあああああああ!」


 リュカの慟哭は、それはもう空しく消えていった。

 



くぅ~疲れましたw これにて完結です!

実は、適当にプロット書いたら書けば?という話を持ちかけられたのが始まりでした

本当は話のネタなかったのですが←

ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行り?のネタで挑んでみた所存ですw

以下、リュカ達のみんなへのメッセジをどぞ


リュカ「みんな、見てくれてありがとう

    ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」


アリス「いやーありがと!

    私のかわいさと魔法のセンスと美しさは二十分に伝わったかな?」


シェリー「見てくれたのは嬉しいけどちょっと(暴れた所は)恥ずかしい・・・」


エドモンド「見てくれありがとな!

      正直、作中で見え隠れしたオレの活躍は本当だよ!」


学園長「・・・ありがとなのじゃ」ファサ


では、


リュカ、アリス、シェリー、エドモンド、学園長、俺「皆さんありがとうございました!」



リュカ、アリス、シェリー、エドモンド、学園長、俺「って、なんで俺くんが!?

改めまして、ありがとうございました!」


本当の本当に終わり





というネタは置いておきまして。

どうも御読了、お疲れ様でした。

続きが書けそうな感じで終わらせましたが、続きは考えてませんのでこれで一度終わりとしました。

評価や感想などでウケが良ければ、続き書こうと思います←


最後に、本当に稚拙な私の小説を読んでもらい、感謝しております。

それではまた新しい(または既存の)作品でお会いしましょう。

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