雨粒
コートの上で
弾く音がする
小さな雨粒が
遠慮がちに
弾けていく
雨を抱え込んだ雲は
重たそうで
小さな雨粒たちを
先に落としてゆく
堪え性のない雲は
場所を憚らず泣いてしまった
いつかの自分のようで
一粒が二粒、三粒と
頬に落ちていった
止める術なく
止める気もなく
堪えても何もなりはしない
思い切って声をあげて
泣いてしまって
頬をびしょ濡れにして
しまって
心にたまった暗いものを
落としてしまえばいい
雨粒が大きく弾けた
コートは濃く滲んだ
あの雲も堪えるのやめたらしい