騒動7 今日からよろしく!
前回、「ボケ」が前書きを忘れていたようで…本当に申し訳ございません。
7回目でございます。メイドのミタリーでございます。
ここのところ、毎日更新の様子。
それだけは感心しておいてやりましょう。
ちょっと、進展があったのでしょうか?私、聞こえないもので――。
え?どういう意味だ?
この次をお読みくださればわかるかと――では、どうぞ。
リデル様――急にマリーン様を蹴飛ばして――と、失礼いたしました。
メイドのミタリーでございます。前回からの引き続きでございますね。
そうなんです。リデル様はマリーン様を蹴飛ばしたかと思うと、急に
「貴様は今日一日この部屋から出るなっ!!」と謹慎処分を申し渡されて――。
その剣幕は今考えても――ブルブルものでした――。
そしてユアナ様の手を引かれ、あのユアナ様が気に入られた「カタナ」とかいう剣を一緒に持って、そのまま――まーた自分のお部屋へ戻られて。
怒ったからって、そんなに「したい」ものでしょうか?え?違うだろう?!
とにかく――続きが気になりますので――。
皆様は当然、気になられてますよね。私もとても気になります。私もリデル様のお部屋の前に場所を移しまして、「見る」だけではなく、「聞く」という機能も駆使したしまして、皆様に続きをお送りいたしたいと思います。
◆◆◆
〈リデルサイド〉
ユアナを連れて俺の部屋に戻る。
ユアナは何事かと呆然としていた――どう説明したらいいものか。
それでもありのまま言うしかないのだろう――そんな判断で、俺はユアナにその『ビャッコ』とかいう――「カタナ」の伝説を説明した。
それと同時に――俺がもっとも危惧している――簡単には自分の世界に戻れないのかもしれない――という事実と共に。
「……そっか」
ユアナは意外と――俺が拍子抜けするぐらい――呆気なく事実を受け入れた。
「とにかくあのジイさんは関係なかったということだね」
「……それだけは言える…な」
さすがは「勇者」なのか?その辺は的確に捉えている。
「ねぇ…リデル」
「なんだ?」
「……これからもちゃんとボクの面倒みてくれる?」
座っていたソファから身を乗り出し――瞳を潤ませて――ユアナが俺を見つめてくる。
押し倒し――じゃなくっ!!!マジ、可愛いんだよなっ!!くそっ!!
「あ…当たり前だっ。ちゃんと面倒をみるっ」
「一生戻れないかもしれないんだよね?」
ユアナに指摘されて――ぐっと言葉を飲み込んだ。
出来ればその事態は避けたい――ユアナのために。
「…俺がなんとしても、お前を元の世界に戻す方法を見つけ出すっ。
それがもしも…万が一叶わなくても…俺が一生面倒みるっ!!」
俺はユアナの心中を思い――気がつくことが遅れた。俺の放ったその言葉の深い意味を。
「…うん、ならいいや。今日からここは、ボクの部屋でもあるんだよね?」
「……え…あっ!!ああああっ!!!」
しまった。ここで不覚にも気がついた。
言ってしまった――「一生面倒みる」――求婚の言葉だろうがぁ!!これぇぇっ!!
「もう遅い。ボク、聞いちゃったもんねぇ」
無邪気に――一変の悪気もない無垢な微笑み。
俺の全身から「血の気」というものが失せていく――気がした。
「でも…帰りたいけどね」
ぽつりと漏れたユアナの本音――。それを俺の耳は聞き逃さない。
「帰してやる…安心しろ。毎朝ぬいぐるみ扱いされることは勘弁してもらいたからな」
「嫌?あれ…ボクのお気にいりのスキンシップなんだよ?」
だから――俺に襲われていのか――お前はっ。
「……嫌とかそうじゃなく…俺とお前は昨日知り合ったばかりだろう?!」
「時間なんて…関係ないじゃん。リデル、こんなにボクの優しくしてくれるのに…今更他人行儀なんだ」
頬を膨らませて――いじけた感じで――たまんねぇ。直球ど真ん中――思わず呼吸が荒くなりそうだ。じゃなくてっ!!
「他人だろう……」
「……そう…なんだ」
俺の言葉に傷ついたのか、ユアナは顔を俯けた。
本当のことを言っただけだ――でも――なんでこんなに胸が痛い。どうしちゃったんだ、俺――。
「他人だが…っ」
頭真っ白の状態で言いかけた言葉。ユアナが反応し、俺の顔を見た。
「……この部屋を自分の部屋に使っていいし、ベッドも使っていい」
「だからって、リデルは別の部屋に行っちゃヤダよ」
「…行かない。ちゃんといる。夜も一緒に寝るっ。お前が帰れるまでっ。
だが言っておくっ。俺は21歳の健全な男子だっ。皇子でも男だ。夜にお前を襲っても、文句言うなよっ!!それだけは言っておくっ!!」
「うっそぉ――っ!!リデルって21なのっ!!?ボクより1、2コ上ぐらいかと思ってたっ!!若く見えるねっ!!」
なんでそこだけ食いついてくる、お前はっ!!
「嬉しくねぇっ!!気にしてるんだよ、それっ!!童顔で悪かったなっ!!」
「ドーテー?」
「……違うわぁぁっ!!ドーガンっ!!「幼く見える顔」って意味っ!!「まだしてない」方じゃないわっ!!」
「あ…経験あるんだ。なんだ……」
――だから。どうして、そこでつまらなそうな――ってどういう意味だ?
「まぁ、皇子じゃ仕方ないか…」
なんでお前が寂しそうにしてる?
呆然としている俺の顔を――なんだか納得した様子で――それでもどこか悲しそうな複雑な笑みを浮かべて――ユアナは見つめてきた。
「……今日からよろしくね…リデル」
俺は――もう居た堪れなくなって、ユアナの――細い、折れそうな体を抱きしめた。
「……護るよ。ちゃんとお前がお前の世界に帰れるまで……ちゃんと護るから」
「…さっきから可笑しいよリデル…ボクとそんなに結婚したいの?!」
また言っていたのか、俺は――でも――しょうがないだろ。
自分の気持ちを伝えようとするとそう言っちゃうんだから――。
「気にするな。聞き流せ」
「ヤダ」
「聞き流せ。スルーしろ」
「ヤーダ」
俺の胸でくすくす笑いやがって。今日だけは――許してやる。まったく。
しかし――これからどうしたもんだろうな――頭が痛くなってきた。
◆◆◆
全然――まったく聞こえません。
さっきから、扉の前で頑張っているんですけど――聞こえてきません。
問題です――これは本当に由々しき問題です。
これでは皆様に、何も伝わりません。一大事ですっ。
メイド生命をかけて――なんとかしなければっ!!
しばし、お待ちくださいませっ!!