騒動2 リデル登場!!
お待たせいたしました、皆様。メイドのミタリーでございます。
では2回目のお話をいたしましょう。
大変お待たせいたしました。メイドのミタリーでございます。
申し訳ございませんでした。「少々お待ちくださいませ」どころではありませんでしたね。大変お待たせいたしまして申し訳ございません――本当に。
確か「さくさく」でしたね。それではさくさくお話しいたしましょう。
さくさく――さくさく。え――口で言うな?
それはそれは――つい口に出てしまいまして。でも美味しそうな言葉でございますよね。
さくさく――え?いい加減進めないと暴れる?
それは大変っ!!すぐに始めましょう!!
場所は例の地下室でございます――なんだか、ちょっと――いけない想像してしまいそうですが。
「勇者だって?頭、可笑しいんじゃないの、お爺さん」
それは――この状況ではそう言いたくなるものでございます。
確かに「可笑しい」姿ですし、言っていることも可笑しいでございますから。
マリーン様、こめかみに青筋を立てていらっしゃいますね。
相当頭に来ているご様子。それでも我慢されていらっしゃるのは――まぁ呼んだのはマリーン様でいらっしゃいますから。
それは言われても我慢されないといけませんわね。
「勇者様のお名前を教えいただけないでしょうか?」
「その前に…お爺さん。どうしてボクとあんたの言葉が通じるの?可笑しくない?」
その通りっ!!その通りでございます。私も不思議に思っていたのでございます。
「それは…貴女様が勇者様でいらっしゃるからでございます」
あら。マリーン様、説明――めんどくさくなりましたね。
たぶんマリーン様もおわかりになっていらっしゃらなのでしょう。
召喚術に成功されたことが不思議になってしまいます。
「ふうん。随分いい加減だね」
このお話自体いい加減でございますから――え?それは言わないお約束?
そうでございますね。
「ボクは千歳優愛菜」
「チトセ様でございますか?」
「千歳は苗字。名前は優愛菜!!」
「ミョウジ?…ようはユアナ様とお呼びすればよろしいということですか」
「そう。お爺さん、大丈夫?」
「私の名はマリーンでございます」
「マリーンお爺さんって呼べばいいんだ」
「私はただのマリーンでございます」
「ふうん。じゃ、「ただの」マリーンさん」
あらあら。マリーン様ったら――青筋の数が増えていらっしゃいますわね。
それでも我慢、我慢。大人ですもの。
「ボクを早く帰してよ」
「どこへ…で、ございます?」
「「もうろく」マリーンさん。元の世界に決まってるでしょ?ここはボクからしたら、「異世界」とかいう場所なんでしょ。だったらボクの元にいた世界。わかる?ボクはサッカーの試合の最中だったの。早くしてよ」
あら、あら、まぁ。マリーン様、体を震わせて。そろそろ限界ってやつでございましょうか。
それでも、ユアナ様を呼び出した手前、責任はどうなさるのでしょう?
「それは出来ません。貴女はこの世界の勇者様なので…」
責任放棄されましたね――。
「呼び出したのはあんたなんだからっ!!早く帰せよっ!!」
限界はユアナ様の方でしたわね。そりゃそうでございましょう。
それにしてもユアナ様。私が言うのはなんですが、服装は――上は半袖の青いシャツを着られ、下は白のハーフのズボンでございましょうか。足が丸見えでございます。
女性が足を惜しげもなく見せるとは――少々はしたないと思うのですが。
「ボクっ娘」はそれでも許されるものなのでしょうか?私にはわかりかねる世界でございます。
「マリーンはこの先にいるのだな?」
あら、この声はっ。
はい。少し高めで――耳障りのよろしいテノールの品の良い声は――私がお仕えいたしております、このアスィミ皇国第二皇子のリデル様にございます。
それにしても――こんな地下室に何のご用なんでございましょう?
え?お前がもっと何のご用か、と?
私はこのお話の「なれーしょん」担当のメイドのミタリーでございますから。
私がいなければ、このお話は続かなくなってしまいます。はい。
「ミタリー…」
あら、気がつけばリデル様――スラっとしていて高い身長。意外と筋肉質のお体。
リデル様は着痩せするタイプのお方なのでございまして――。
赤い燃えるような髪に、青い空のような輝く美しい瞳。え?表現がありきたり?
そ、それは今後の課題ということで。はい。ようは「イケメン」なのでございます。
「お前…なんでこんなところにいるんだ?」
はっ。いけませんっ!!私がこのお話の「なれーしょん」をやっていることは、このお話を見てくださっている皆様以外、誰にも内緒なのでございます!!
これは誤魔化さなくては!!
「リ…リデル皇子をお探ししていてこんなところに…大変申し訳ございません」
「俺ならここにいる。マリーンに用があるから、話が済んだら部屋に戻る。
お茶の用意をしておけ」
「はい。では、失礼申し上げます」
と、いうことでございますので――続きはまたこのあとに。
もう少し――お待ちくださいませ。
急いでお茶の用意をしたしまして、すぐに戻ってまいります。