騒動14 初めてのバラバラ
皆様――本当にお久しぶりでございます、皆様。
メイドのミタリーでございます――。
ここまで来るのに長かったです。ようやくこのお話から復活でございます!!
え?出てこない方がよかった?!
何を言われているのでございますか!!
それじゃ、ちっともお話が進まないではありませんか!!
事実、この2話分――私のアナウンスか立て看板ぐらいで、あとはほとんどが空白だったはずです。
そんなの――ちっとも見ていて楽しくないでしょう?
一応の○者との話し合いの結果なんですが、作○から、無理にリデル様の部屋まで覗かなくていい――と。やりすぎだ――という苦情があったそうなのです。
見てくださっている皆様は、「今…部屋の中ってどうなってるんだろう?」と想像することが楽しいはずだ――ということで、私も納得をいたしました。
ギャラとか――お手当とか――まぁそのへんは。
私、完全に皆様を置いてきぼりの暴走状態だったのでしょうか?
そうでしたら、大変申し訳ございません。
ここから、じゃんじゃんばりばり頑張りますから――ミタリーの活躍をどうぞお楽しみになさってくださいませ!!
◆◆◆
〈リデルサイド〉
「…馬鹿皇子」
「うるさい…わかってる」
「バカ馬鹿皇子」
「…うるさいぞ、ガキ」
翌日。ユアナが剣術の相手を俺にやれと言ってきた。
俺は昨日、「戦いには参加させない」と言ったばかり――当然断ったし、やらせるつもりもないときっぱり言い切った。
それでユアナはずっとこの調子で俺を責めている。
「いいよ。アキュリスさんに頼むから」
「おう…頼のめ。俺のことが大好きで、俺には他の女のモノになるなとか言っておきながら、自分はアキュリスとか。ほう…そうか」
「感じワルぅ――っ!!」
ユアナは頬を膨らませソファを立ち上がると――ちなみにここは俺の部屋だ――俺の座っているベッドまでやってきて、拳を振り上げ殴る――振りをした。
俺は振り上げられた右手を掴み、驚く間も与えず、ユアナをベッドに組み伏せた。
「痛いっ!!」
「どうだ。俺はお前が護らなくても、自分でどうにでもなるんだよ」
ユアナをすぐに開放し、ユアナはますますふくれっ面で俺を睨んだ。
「馬鹿皇子ぃ!!」
「おう、馬鹿だよ俺は。でも馬鹿と言った奴も馬鹿だ。しかもお前は俺のことが大好きなんだろ?」
さっきから――つくづく俺が大馬鹿者だ。
「う――っ!!」
言い返せずに、悔しがるユアナの可愛い顔を引き寄せ、その艷やかなピンク色の唇にキスを見舞う。
「隙有り」
俺――ただの変態だな――これ。
「う――っ、もっとぉっ!!」
悔しがるのか、キスしたいのか。ユアナはわけがわからん。で、もう一度キス。
俺もユアナも――ただの馬鹿同士だろ――これじゃ。
だが、俺の部屋ばかりに居ても仕方ないし、ユアナもストレスが溜まるはずだ。
俺は折れる振りをして、この近衛騎士団の鍛練場へ向かうことにした。
で――部屋を出ると――笑顔のミタリーがいた。
◆◆◆
いよいよ復帰戦――ではなく、ここから新しい物語の始まりですよ――。
「リデル皇子。イロアス協会のガロ様がいらっしゃってますが…いかがいたしましょう?」
そう言って私、リデル様のお顔を見上げましたが――いつもはとても不機嫌そうなのですが――。
私が扉をノックしようとしたときに、開いたので少し驚いていたせいでしょうか。
「すまん」
とか言われまして――あら?どんな変化があったのでしょう?!
「リデル…お客さんなの?」
「そうだな。お前の相手が出来なくなってしまった」
「じゃ、部屋で待ってるよ」
「……いいや、ミタリー。ユアナを近衛騎士団の館まで案内してくれないか?
アキュリスに言えば、わかるだろう」
「かしこまりました」
「えっ?」
ユアナ様がひどく驚かれていられます。なんだか――お2人とも――先日より、仲が良くなっているような?まさかすでに進展している――とか?
今まではリデル様が精力的に押しまくる一方だったことが――ここにきてユアナ様も――かなり意識されてきている。ということなのでしょう。か?気になりますっ。
「でも…」
「俺は客と大事な話がある。お前はミタリーに案内してもらってくれ。頼むぞミタリー」
「承知致しております。ガロ様は応接室にてお待ちです」
「わかった。それじゃな」
「……うん」
手を振り、去っていくリデル様を見送られるユアナ様は――まさに恋する乙女っ!!
やはり――間違いございませんね。女の勘って奴でございます。
「じゃぁ…ミタリーさん、行こうか」
リデル様が廊下の角を曲がり見えなくなるまで見送られてから、ユアナ様は私を見られました。
「はい。ご案内いたします」
ここからぐいぐいと――私の話術でユアナ様から聞き出してご覧にいれましょう。
「ユアナ殿」
「アキュリスさんっ」
あら?
リデル様の部屋の前で――なんたる偶然なんでしょう。
アキュリス様ったら、そちらからお見えになるなんて――。
「どうされたのです?皇子は?」
「お客さんだって。僕は剣術の稽古の相手を探しに近衛騎士団の屋敷に…」
「でしたら俺が努めますよ。願ってもないことです。で、ミタリー殿はどうしてここに?」
それ――ちょっとひどくありません?
「ミタリーさんはリデルにお客さんが来てることを教えに来てくれたんだ」
「そうでしたか。では、ここは俺に任せて、ミタリー殿はご自分の業務に戻ってください」
「……はい」
「では、行きましょう、ユアナ殿」
「うん」
ユアナ様がアキュリス様と鍛練場の方へと向かわれました。
ちょっと――悔しいんですけど。
お茶の約束も――今、暇そうでしたよね?
ならば――私も鍛練場に向かうとしましょう。
しばしお待ちくださいませ。




