騒動1 メイドは見た!!
私、メイドのミタリーと申します。
これから皆様とお話する機会が多いかと存じますが、
どうぞよろしくお願いいたします。
一大事でございます!!
あ――これは大変失礼申し上げました。私、メイドの「ミタリー」と申します。
私はアスィミ皇国の第2皇子リデル様にお仕えしておりまして――。
いえいえ、このような話をしたいのではなく、とにかく一大事なのでございます!!
私――見てしまったのでございます。
何を見たのか――でございますか?
私が見たのは、「勇者様が異世界から召喚されていらっしゃった」現場でございます。
それも幼気なうら若き――「ボクっ娘」と呼ばれるお方だそうでございます。
私、そのような文化はよくわからないのでございますが――そうですか。早く進めろと。
はい。では、私が見たその現場。再現致したいと存じます。では、どうぞ。
――衝撃的でございますよ。
◆◆◆
「どうしてボクはここにいるんだ?」
ここはアスィミ皇国、皇都フィロスにあるオニハス城の地下室でございます。
何本ものロウソクが焚かれておりまして、それはそれはいかにもっ。って感じの魔法陣が中央にございます。
その中に――えっ?ちょっと待て?!
え――私で、ございますか?さきほどお会いたしたでございませんか。メイドのミタリーでございます。
私、「なれーしょん」なるものもお引き受けいたしまして――誰から?企業秘密でございます。なかなかメイドも忙しいのでございまして。なれーしょんに覗き――ゴホン。
話を進めましょう――。
「だから、どうしてボクがここにいるっ!?」
先ほどの「魔法陣」のその先に5段ほどの階段がございます。
その上。さらに先に――またいかにもっていう「祭壇」という台が鎮座しております。
そのお方はその上にあぐらをかいて座っておられます。不機嫌そうに。
容姿は黒髪を短く――刈り上げてはおられませんが、ボーイッシュというとわかりやすいかもしれませんね。瞳は、ブラウンのくりっとしたつぶらな瞳をしていらっしゃいます。
なかなか可愛らしいお顔立ちなのですが、その中にも凛々しさもある――ちゃんと胸はおアリですよ。 たぶんCカップはかたいかと。
何が?ですので、このお方が勇者様の「ボクっ娘」様でございまして。
「ここはアスィミ皇国でございます」
ちなみにこの台詞を言ったのは私ではございません。
私はあくまで「見た」のでございます。
「誰だ、お前?」
「魔導師のマリーンと申します」
魔法陣の中央におられるそのお方は――黒いマントを羽織られ、白髪の髪を肩まで伸ばし、白ひげを蓄えられたガリガリの怪しい老人――えっーと。このお方は大魔導師のマリーン様でございます。
ここだけの話、ちょっと初対面だと――怖い姿の方ではございますが。
かなり怪しすぎる外見でございますからねぇ。怖いです、はい。
「貴女様は、このアスィミ皇国の救世主であり、勇者様なのでございます」
この展開は――えっ?!見慣れていらっしゃる?あなた様も、もしや私と同じ――メイドをされていらっしゃるので――え、そんなわけない。そうでございますよね。
さくさく話を進めやがれ!!これは大変失礼申し上げました。
あら、まぁ。これはいけません。お茶の時間をすっかり忘れておりました。
私としたことが――。
申し訳ございません。この続きは次回ということで――。
えっ?いい加減にしろ?!
大変申し訳ございません。リデル皇子は時間に厳しいお方なのでございまして。
それが終わり次第、またお話させていただきますので。
それでは、もう少しお待ちくださいませ。