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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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"Get Free!"

掲載日:2026/10/20

前情報の通り、神罰が下る事は実際に無かった

天使を相棒に連れて銀行強盗に入った為だ


犯罪団の期待の新人だった



神罰が下らない事だけでも堪らなく嬉しくなり、僕はいま直ぐにでも相棒を抱き締めて口付けたかった

とは云っても、彼はとても気持ち良さそうに行内の天井目掛けて発砲を繰り返して居て、全然近付けそうな雰囲気が無かったが


片足には行員の男性を踏み付け続けて居る

にも関わらず

彼の翼は太陽の輝きで煌めき、横顔には神聖すらが纏われて居る

聖人の彫像の様だった


警報の鳴り響く中、メンバーが麻袋に札束を詰め込んでいく

完全犯罪が成功するかに思えたその時、光輪を頭上に輝かせた人影が、迷いの無い足取りで銀行に入り込んで来た


舌打ちの音


一瞬してから、それが自分の舌打ちなのだと気付く

天使を犯罪団に引き込んだ事で神罰の機構は誤魔化せても、現行犯を誤魔化す事は出来ない

残念な事に、入って来たのは機構の影響を受けない高位天使の保安官だった


こうなったからには、通報は既に済まされて居ると思って間違い無いだろう

残り時間の中で、場合によっては利益を丸ごと放棄してでも『生きようとする必要』が有る


高位天使の保安官は、それくらいに犯罪者にとっての死そのものだった



気付けば、天使の新人は天井への発砲を止めて静かな表情をして居た


何をするのかと視守ると、徐(おもむ)ろに踏み付けて居た行員のうなじを撃ち抜いて射殺する

流れる様に一番近くの、そしてその次に近くの行員も射殺する


狂ったとか自棄(やけ)を起こしたとか、そうした雰囲気が無い

考えが有るのかと思い視て居ると、急に彼は保安官を手で制してゆっくりと歩き寄った


度胸にも優れて居る

僕は天使の少年の堂々たる歩みを視て、彼が本当に愛おしいと思った

「無事生き延びたら」「彼を抱きたい」とも



何事かと様子を視て居た保安官に彼は突然、仲間から引っ手繰った現金の袋を持たせた

折良く、行内に通報を受けた下位天使達が殺到し、状況を視て保安官に銃を向ける


「何のつもりだ」と、保安官が動揺を隠さず天使に云う

堅物の天使達は、むしろ保安官から納得のいく説明が有るまでは銃を下げそうには無かった


後方に位置取った天使が、保安官を拘束しようとして居る現状を本部に連絡して居る

顔を真っ赤にして保安官が「やめろ」と激昂する

時間稼ぎとしては百点以上の結果だった


僕たちは全員一斉に銃を構えると、思い思いに銃弾を浴びせて天使達を瞬く間に始末した

仕損じた場合は仲間の死者も予想されたので、安堵して周囲を視渡す

よりによって一番数多く敵を殺して居たのは、天使の相棒だった



「よお」


一応の流儀として、保安官に挨拶する


それなりにさっきまでは優勢だったのかも知れないが、こうなると丸裸より無様だ

相棒が迷わず彼を殺そうとしたので慌てて止めると、僕は仲間に指図して保安官を縛り、床に転がした


念のため、行員もみんなで時間を掛けて丁寧に皆殺しにする

途中の過程で保安官が腹を立てて騒ぎ立て、数名から蹴飛ばされた



「ありがとう名も知らぬ保安官」


「僕らの罪は、生きて君が被るのだ」



犯罪団の馬は飼い主よりも気性が荒い

これ以上待たせると暴れ狂う可能性も有ったし、そろそろ立ち去る必要が有った


僕の言葉を合図に、皆が現金を詰めた袋を持って銀行を出て行く


初めての殺しで興奮した相棒が執拗に保安官を殺そうとするので、宥(なだ)めるのにはそれなりの手間を要した

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