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物語3 三人の食事

お題:食べる

キーワード:感情

 現れた料理を見て女騎士レーナは驚いた。面積だけで言えば自分の頭より大きいのではないかと思われるほどの、揚げた鶏が目の前に置かれた。


 ダージーパイ……異世界から来た者がもたらした、鶏の胸肉を叩いて広げ、香草で香りと味をつけて揚げたものらしい。


 それが三つ、レーナたちの前に置かれた。


「わーっ! レーナ様っ、これすっごく大きいよぉ!」


 興奮を抑えきれずこどものようにはしゃいでいるのはウルティ。レーナの部下の密偵である。肌はダージーパイと同じく少し日焼けした褐色。その頭には寒色の頭髪と同じ毛色の、犬のような猫のような耳が延びており、腰からは狼のような尻尾が生えている。その尻尾はぶんぶんと振られ、眼の前の料理に歓喜していることを、声と同等に表現していた。


 紙に包まれているダージーパイにウルティはがぶりとかぶりつく。

 がりりと乾いた音がレーナの耳に届く。それだけカリカリに衣が揚げられているのだ。

 肉汁があふれてアチチと彼女は声を上げるが、それでも肉に食らいつくのはやめない。尻尾は相変わらずちぎれんばかりに振られていて、言葉を発さずとも彼女がその揚げ鶏の味に夢中になっていることを語っていた。


 そのウルティに静かに微笑みながら、柔らかく話しかける女性がいた。


「ウルティ、そんなに急いで食べなくても、料理は逃げませんわよ?」


 紺の神官服に身を包む、金髪碧眼の女性……神官らしく髪は短めに切られていた。胸には彼女がその宗教で大神官という立場であることを表しているペンダントが下がっている。

 だが漂わせるオーラはただの大神官とは思えぬものがあった。大神官の上の司祭か……いや大僧正か。

 その彼女の正体は、妾の娘とは言え、王国の王女で順位は低くとも王位継承権を持つ者だ。名前をカルミア・フェロ・ルーフェレンという。レーナの護衛対象だ。


 神官であり、王女である彼女はウルティのようにダージーパイにかぶりついたりせず、丁寧にフォークとナイフで切り分けている。ここは大衆的な宿・酒場なのだからそのようなことをしなくても良いのに。

 しかし上品に食べようとしても、ダージーパイの衣は、お上品ではいられなかった。がりっと音を立てる。


 口元を抑え、頬を赤らめるカルミア。それでも抑えきれない笑みが、美味しさと、彼女の心を物語っていた。


 レーナも同じように、フォークとナイフで切り分ける。フォークで刺して口に運ぶ。しかし待ち切れないとばかりに同時に彼女の頭もダージーパイに向かって進んでいた。栗色の、馬の尾の名がついた髪が軽く揺れる。


 やはり立つザクリとした音。同時に彼女の鼻孔の奥を、くんと独特な香草の香りが突いた。

 少し甘くて、それでもどこか刺激的で……

 肉も胸肉は本来ぱさぱさと乾きやすい部位なのに、そんなことを感じさせずに楽しませてくれる。


『……悪くない』


 その味と香りと音は……普段は仏頂面で融通が効かなそうな女騎士の口角を、きゅっと吊り上げていた。

 お題をいただいた時はちょいちょい挑戦している飯テロをやりたいという気持ちがまず沸き起こりました。さて、何を誰に食べさせようと迷っているところに、感情豊かなキャラを考えて……同時に「この小説をきっかけに私のオリキャラを宣伝しよう!」と考えました。

 結果、感情豊かで尻尾にもそれが現れる獣耳のウルティ、お上品な神官で姫様のカルミア、そして同じく上品系だけど感情はちょっと表に出にくくても実は出ている女騎士のレーナ、の3人が選ばれました。

 いかがだったでしょうか? 宣伝と同時に飯テロになりましたら幸いです。


 しかしこの15分で書いてみよう企画。いろんな人が参加しており、同じネタでも解釈や使い方が違って面白いんですよ。誰ですか「感情を料理して食べる」なんてのを考えたのは。そんなの私逆立ちしても思いつきませんよ!? 本当に同じお題とキーワードなのに、いろんな小説が出るのが面白いです。


 引き続き、このようなお題がありましたら投稿していきます。


 なお、今回出演いただいた3人は基本的には成人向けに出ているので、ここでの直接リンク貼付での紹介は避けておきます。pixivノベルのほうでどうぞ。


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