酔っぱらってエリクサーを4本買わされた勇者
「今、なんて言った?」
魔法使いの言葉がむなしく響く午後2時過ぎ......キレそうな心を落ち着かせながら
再度、勇者に語り掛ける
「いやさ、町の酒場で飲んだ後広場で村民と話してたらエリクサーを大量に
荷車へ積んだおっさんが話しかけてきて『お客さん、あんたイケメンだねぇ良ければエリクサー、買ってかないかい?』って言ってきてさぁ」
「ちょっと待った!!もうすでに突っ込みどころが満載なんだけど?
まず、エリクサーを大量にってエリクサーは高価な代物だからそんな大量に持っているのが既に怪しいし、荷車で運んでいる時点で運び方も雑!!」
「世の中にはそんなおっさんもいるってことだ、世界は広いぞ魔法使い君」
「そんなおっさんがいてたまるか......
しかも、開口一番に容姿をほめてくる時点で明らかな詐欺!!勇者はイケメンじゃないし......」
「なぜか魔法使いが仲間を攻撃してきた気がするが気のせいか?まぁ、そんな感じで買っちゃった」
「買っちゃった♡じゃねぇよ!!はぁ......それでそこからなんで4本も買うことになってるの?
手に持ってるエリクサー2本なのに」
「あぁ、その場にいる村民に2本あげた。4本もいらないし」
「馬鹿なの?ねぇ馬鹿なの???なんでそんな高価なものを人にあげちゃうかな?
そもそも、4本買うことをやめなさいよ」
「いやなぁ、そのおっさんに『これから魔王退治に行くからちょうどいいな』って言ったら
だったら2本買ってくれよと言われてな?」
「だったらってなんだよ!!まじで」
「『じゃあ、2本買うわ』って言ってゴールドを払おうとしたんだけど小銭がなくてな?
1金貨で払おうとしたらおっさんが『これじゃ、おつりが出るねぇ......もう2本いってみるか』」
「いや、いかねぇよ!!何言ってるんだ???」
「『4本買うにはもう一枚金貨が必要』って言われてそのまま買った」
「はぁ.......」
魔法使いはため息をつき、勇者が買ったというエリクサーをじっとみつめだす......
そんな様子の魔法使いに勇者は不思議に思い話しかける
「どうしたんだ?何かあったのか?カルシウムとる?」
「誰が常にイライラしていてカルシウムが足りてない人だ!!
違うそうじゃなくて......」
再度深いため息をつきながら魔法使いが言い放つ
「これ、エリクサーでも何でもない下位ポーションよ?」
「は?嘘だろ?」
「本当、鑑定魔法で見たから」
「マジかよ......」
そう言い放つと勇者はまるで白い灰になったかのように崩れ落ちた
「これに懲りて夜にほっつき歩くのやめてくれるといいんだけど......あっ暫くお小遣いなしね」
実はこれ、作者の父が酔っぱらった際に
何故か4個メロンを高額で買ってきた話をもとにしてます